沖縄の方言で太陽のことを「ティダ」と呼びます。太陽樹とは、小さな種が太陽(ティダ)の光を浴びて大きく成長していくように、浦添の子どもたちが大樹のごとく大地に根を張り、自分らしく光輝く人間になっていくことと、この居場所が「原点を見つめる場所」「還る場所」となるよう願いを込めて「太陽(ティダー)樹(ジュ)」(ティダージュ)と名づけました。太陽樹は「教育」・「文化」・「芸術」の光をあてながら、自立(自律)し輝いてゆく子どもたちを育成し、支援していく団体で、平成18年3月29日に設立されました。現在加盟団体は「鼓衆
若太陽」「浦添市ジュニア吹奏楽団」「浦添少年少女合唱団」「組踊うらそえ若松会」「浦添ゆいゆいキッズシアター」の5団体、加盟人員は1600名余になります。今回の音楽祭にも太陽樹のメンバー568人が出演しています。 |
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公演の後、今回の音楽祭の企画・演出を担当した「太陽樹」の事務局長・町田宗正さんは
「今回の舞台のテーマは融合です。最初は各団体バラバラでした。それをジュニア部の部長が演出したんです。全部子どもたちが中心になって作り上げたんですよ。この舞台で何を伝えたらいいか?と子どもたちが迷っていたときに、それぞれの手を重ね合わせて、この温かさを伝えなさい、そういいました。それが融合ということだと。今回のこけら落としは、出演した子たちだけではなく、音響、照明から裏方や場内外のお父さんお母さん、来場者まで、会場全体が一つになって、大人も子どもも新しい文化の扉を開いた。今回の舞台は去年11月にやった平和音楽祭がベースになっています。まだまだ荒削りだったのを少しずつ直していきました。準備は4月に入ってから始めて、各団体は個別に練習していたんです。通し稽古は昨日一日だけです。子どもの力ってすごいです。結果は大成功でしたねえ」とうれしそうに話してくれました。 |
また太陽樹の音楽監督で浦添中学の伊敷健先生は
「今日の舞台は、浦添市民10万人の一握りの人しか見ていないので、来年もぜひやりたいです。もっとたくさんの人に見てほしい」と、抱負を語ってくれました。 |
太陽樹のメンバーで、今回の舞台を演出したジュニア部の部長・金城美希さん(浦添ゆいゆいキッズシアター所属・首里高校二年生)は「ゆいゆいキッズシアターは中学一年の頃からやっています。今回はまとめ役ということで、小さい子はカサカサ落ち着かないし、大人は段取りが悪いと気分を害する人もいるし、まとめるのは大変でした(笑)。でも、今回の舞台では、自分の力だけじゃない、周りがみんな協力し合って成功したんですから、みんなの力の大きさを実感しました。これからもいろいろな経験を積んで、浦添から文化が広がるように頑張りたいと思います」と、力強い決意を語ってくれました。
金城さんや出演した子どもたちを見て、太陽樹の目指す浦添市を担う人材が確実に育っているという、確かな手ごたえが感じられます。 |
浦添市が将来的にも独自性を発揮し活性化していくためには、人材育成が一番肝要であるとの認識のもと、太陽樹は結成されました。次代を担う子どもたちの育成のために必要な「心の教育」や「体験学習」は、本来、家庭であり地域社会にこそ求められるべきものといえます。
しかし、都市化や少子化、核家族化が進み、家庭と家族を取り巻く環境は大きく変化しています。地域社会の人間関係の希薄さ、地域における家庭の孤立化、地域活動の沈滞など、子どもたちの育成にきわめて重要な家庭や地域の教育力の低下が指摘されている昨今、私たち大人は、文化活動を通して、それぞれの子ども組織団体のネットワークを図ることで、崩壊した子ども集団など、子どもたちが失った教育環境、心の居場所を確保し、子どもたちのいやしの場を取り戻す必要があります。 |
子どもたちが太陽樹に参加するには、親の協力がもちろん欠かせませんが、なかには参加そのものに無関心な親や「塾や勉強に差し支えるのでは」と反対をする親もいるそうです。町田さんは「親の気持ちを変えるには感動させることが一番です。最初は参加に反対していた親御さんでも、子どもたちががんばって作り上げた舞台を見て、感動し、それから活動にも熱心になっていきます」と話していました。親だけではありません。学校の先生方や地域の大人たちなど、舞台を見た人は誰でも、その素晴らしさを体感することになります。 |
歌や踊り、演奏、演技など技術面の向上とともに、自制心や自立性など、太陽樹の活動に参加することは、子どもたちの「生きる力」を育てることに繋がります。生きていくうえで、どんな困難にぶつかっても、一生懸命がんばれる強い子を育てていく。それが太陽樹の一番の目標でもあります。また、各団体の交流を通して、異なる年齢や文化活動を行う仲間たちと触れ合うことで、子ども同士の相互理解や社会性が養われます。子どもたちの社会参画の機会と拡充を図り、子どもたちの夢と希望を実現できる環境を整えることも目的の一つです。 |
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 儀間社長(左)と西原教育長(右) |
子どもたちが元気になれば、地域も元気になります。子どもたちの居場所づくりとして、この太陽樹の活動を支えようと、浦添市城間にあるディスカウントショップ「Big1城間店」を経営するひかり商事株式会社の儀間恒雄社長が、活動資金にと、自らのポケットマネーを寄付してくださったことも、うれしい話題の一つでした。
多くの人に支えられて活動を続ける太陽樹を、これからも地域の宝として、見守り、育てていきたいものです。 |
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太陽樹の事業として次のことが行われています。
①「清明祭」於-浦添城「ようどれ」
②「浦添太鼓カーニバル」(てだこまつりとリンク)
③浦添グスク夕凪祭りコンサート」
④「ゆいゆいキッズシアター」児童演劇の推進
⑤地域リーダー育成キャンプ 夏・冬/毎年 |