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子育て特集 - 第2回 いじめ問題「親は 地域は 学校は どうすればいい?」




荷川取 優(浦添市PTA連合会会長)
長男(社会人)、長女(大学生)、次男(中2)の父。

● 子供を守るのは親だ!

 私がPTA活動に関わったのは長男のいじめ問題がきっかけでした。15年以上前になります。
 上級生からの金銭せびりにあっていたのです。当時、私は県外に単身赴任していました。正月休暇で帰ったとき、女房に聞いたのです。女房は一言、「お金は稼いだら取り戻せるけれど、このままこの子を放っておいて万が一自殺でもしたら命は取り返せないよ」と言ったのです。

 次の日私は会社に辞表を出して、それから2ヶ月間毎日、息子のボディーガードをしました。毎日、廊下で授業を聞いていました。ところがその間一度も、その学校の校長は私に会おうとしなかった。任せられない、自分の子どもは自分で守らないといけないと、その時つくづく思いました。

 でも私がしたようなことは、親であってもなかなか出来ません。まだそこまで深刻になっていないだろう、もう少し様子を見てみよう、多分大丈夫だと思ってしまう。もちろん親だって生活もありますから仕事を辞めるなど簡単ではありません。しかし、子どもは失ったら取り返せないのです。
 

● 自信を失った親たち


 世界の一番核になるのは家庭です。そこから、学校や地域、市町村、日本、世界となるわけですが、その元になる家庭が、崩壊しかかっている。
 入学式で保護者のみなさんに挨拶するときに、「義務教育というのは親として果たさないといけない義務があるから義務教育というのだ」という話をします。給食費を払う義務、遠足でお弁当を持たせる義務・・・など親の義務です。これは学校や行政がやってくれることではありません。礼儀を教えるのもやはり家庭の親の義務です。しかし、出来ていません。そしてそんな親自身が、残念なことに、自分自身にも子育てにも自信を無くしていると私には思えます。

 じつは、私の娘が高校生の頃のある日、化粧をして学校に行こうとしていました。  「なにをしてるんだ!」と叱りつけ、いきなり蒸しタオルを顔に押し付け拭いたことがありました。あるいは、夏休みに娘が髪を金髪に染めた時も「丸刈りにするぞ!」と叱りつけた。
 ちょっとのお化粧くらい、あるいは髪を染めるくらいいのかもしれないい。友達はしているんだから反対したら除け者になるかもしれない、などと気弱になりがちです。しかし、親は、「違う!」と思ったときに、はっきり子どもに言えなくてはならないと思うのです。なぜなら親だからです。本当にぼくの意見が正しいかどうかはわかりません。しかし、子どものためを思わない親はいません。だから親はもっと自信をもって子どもを叱るべきではないでしょうか。
 フレンドリーな親子関係など私は少しもいいと思いません。フレンドリーというのは、日本語に訳せば「友達関係」、沖縄口だと「なーなー」です。そんな親を子どもは尊敬できません。私は子ども達に、「これからおまえ達がどこに行こうと何歳になろうとも、おまえ達のお父さんは一生涯私だ」と言っています。

● 現在のいじめは陰湿で悪質!

 いじめは昔からありました。しかし質が変わってきています。かつてよりずっと陰湿に悪質です。しかも仲間うちでのいじめが多いように思います。
 以前は仲間の一人がいじめられたら、みんなでかばって「敵討ち」などしました。しかし今では仲間の間でのいじめです。仲間からいじめられたら子ども達は、「ぼくが悪かった・・・」と思う。そして気に入られるためには、欠点を直したらまた仲間にいれてもらえるんだと考えるのです。あるいは気に入られるために何かしたらいいのだと。たとえばそれはお金を渡すことだったり、あるいは別の子をいじめることであったり。
 多くの子ども達が携帯電話を持ってメールをしています。このメールや携帯電話を使ったいじめもあるのです。傷つく言葉をメールで送ってくる。そんなメールは消去して忘れたらいいとか、アドレスを変えたらいいのではないか、大人は簡単に考えます。しかし、違うんですね。どんなメールでも受け取ることが、仲間と繋がっている証拠なのです。どんなにいじめられても、仲間と連絡を途絶えさせることのほうが、今の子ども達には恐怖なのです。
 いじめられている子ども達が、いじめられないために、次にいじめる子を探さにといけないこともあります。そんないじめの連鎖が、子ども達をどんな気持に追い込んでいるか、真剣に私達は考えなくてはなりません。


● 学校への提案

 私が子どもだった頃は、勉強がわからない生徒に先生は居残りを命じて、わかるまで教えてくれたものです。しかし今の先生は非常に忙し過ぎて、そのような余裕がありません。
 先日、不登校の委員会に出たのですが、小学校の不登校生が130人もいるそうなんです。保健室でいいから登校させようとしますが、保健室では学習は追いつかない。保健室で補習授業をするだけ、学校に先生の余力がないからです。しかしある学年で授業に遅れたら次の学年ではさらにわからなくなり、中学になったらもう到底追いつけなくなってしまいます。
 それなら地域の力を借りるというのはどうでしょうか。地域には退職した先生や教育実習を受けた大学生がいるではないですか。先日、琉大の先生と話をしていたのですが、依頼があればゼミの学生を派遣できるとおっしゃっていました。学校、先生だけでは出来ない問題を、親や地域が協力して解決できることがあると思います。


● PTC(コミュニティー、コミュニケーション)A活動をめざす

 今の子ども達は30年たったら40代。世の中動かす原動力になります。そしてこの子たちをちゃんと育てておいたら、次の世代をまたちゃんと育ててくれるわけです。そう考えると、今、私達の子育てというのは30年後、それからその次の世代のための活動をしなくてはならない。真剣に取り組まなくてはなりません。
 しかし、親も学校も変わってきました。いじめの問題、学力低下など、もう親だけ、学校だけではもう解決できません。地域も含めてみんなが協力しなくてはなりません。
 
 まず保護者のみなさんに言いたいのは、親同士が仲良しになることです。親同士が友達だったら、その子どもをいじめることはできません。また先生とも仲良くなって、お友達になってほしいです。そのためにも学校に足を運んでください。

 PTAというのは、以前は Parents - 保護者と Teachers - 先生という関係でしたが、そこにCを入れて地域を巻き込まないといけないと思います。私がいうCにはいろんな意味があります。

Community - 地域で、
C
hildren - 子供たちのために、
C
ommunicate - 関わっていくという事です。 


 皆さん「地域の力」ということばを、勘違いをしないでください!よくPTAの役員会などで「地域の力を得て」といいますが、「P」も「T」も家に代えれば地域の一員です。私達は保護者としての立場と地域の立場と、両方の立場があります。地域に要請というは、我々に我々が要請することです
 Aはいまや、Association - 会だけではなく、アクション、アタックの意味も必要になっていると思います。子ども達は口先だけの大人は期待していません、自分たちのために行動してくれることを期待しています。

 結論を言うと、残念ながらいじめはこれからもなくならないでしょう。
 しかし、今みたいな悲惨な状況になることを、みんなが力をあわせることで、回避することはできると思います。大人たちが仲良く、友達いっぱい作る努力をすること。その姿勢を子ども達に見せること、そして協力しあうことです。
 

大きな社会問題となっている「いじめ」。子どもたちの自殺という悲しい知らせが続いています。
何ができるのだろう…親は、学校は、先生は、あるいは地域は、子供たちにどうしたらいいのでしょう。

当サイトでは「いじめ問題」をシリーズで取り上げます。
皆様のご意見・ご感想をお寄せください。お問い合わせページよりお送りいただけます。

 

掲載:2007/02/08

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