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てぃーだぬふぁー通信 第21回 - 浦添市教育委員会文化部長 下地 安広

◆地域教育情報 『 てぃーだぬふぁー通信 』 は、学校・PTAと地域を結び付ける社会教育活動として行っています。どうぞ宜しくご愛読ください。

浦添市教育委員会・文化部の役目とは・・・

 浦添市は文化や教育に対する取組が素晴らしいと、内外からの評価が高いことは皆さんもご承知ことだと思いますが、その教育委員会のなかで、文化関係の担当をされている浦添市教育委員会・文化部部長の下地安広さんに市民の皆さんへ文化部のこれまでの取組や、これからの事業予定などをご紹介して頂きたいとおもいます。

浦添市教育委員会文化部
部長 下地 安広

では、下地部長宜しくお願い致します。

私は昨年(平成19)4月1日に浦添市教育委員会文化部長を拝命しました下地安広です。
今年の4月で部長職2年目に入ったばかりの部長職の新人です。
どうぞよろしくお願い致します。

Q1 では、早速質問いたします。文化部と云う部名は、市役所や教育委員会ではあまり聞かないような気がしますが、どのような組織でしょうか?

A1 これまでの浦添市は、来る21世紀の将来像を「太陽とみどりにあふれた国際性ゆたかな文化都市」として、歴史・文化を市民生活に活かす文化課を県内市町村の中で最初に設置しました。
 あれから20年以上が過ぎ、歴史・文化を活かした街づくりは徐々に進められて参りました。しかし、さらに浦添城跡の復元整備をはじめ、美術館、図書館、浦添市てだこホール等の文化財や文化施設を活かしたまちづくりや文化振興を体系的に進めるため、平成15年4月1日に新たに文化部を設置しました。

 文化部は、文化課、図書館、美術館の3つの課(館を含む)で組織されています。各課や館に共通するのは沖縄・浦添の歴史と文化に係わる業務や文化行政の仕事を日常的に担当していることです。また、各課・館とも学芸員、図書館司書、文化財調査員の資格や登録など専門的な知識を持つ職員が多い点も共通します。

Q2 美術館や図書館の仕事は概ね想像つきますが、文化課とは、どんな仕事をされているのですか?

A2 そうですね、市民の皆さんにご紹介する機会がなかなか無いので、この場をお借りして文化課の仕事について少しだけ紹介しましょう。文化課では法律の文化財保護法や県・市の条例・規則に基づく文化財や伝統文化の保存・活用に関する調査や事務をはじめ、舞台やホール等で発表公演する舞台芸術や市民の文化芸術の振興等に関する事を行っています。

修復された中頭方西海道

 先に文化財に関する仕事について説明します。市内にある文化財を調査して将来の為に残すべき文化財を指定して活用する事や、開発工事等で無くなる文化財の調査と保存に向けた調整を行います。例えば、工事に貝塚・遺跡・古墓等(埋蔵文化財)が係る場合、文化財の取り扱いの調整や発掘調査は文化課職員が担当します。その他、浦添ようどれ復元や石畳修復等のように文化財の復元整備も担当しています。本年度の事業は、区画整理事業や県道港川道路建設に係る近世墓群の発掘調査と仲間樋川の復元整備に向けた発掘調査、浦添城内に約400年前に整備された石畳の復元整備等が予定されています。

復元された浦添ようどれ

浦添市てだこホール

 前で触れたように文化課では現代の文化芸術の振興や浦添市てだこホールの管理も担当しています。この文化芸術の仕事は、時にはイベント企画から出演者交渉、会場運営、ポスターやチケットのデザイン等、イベントに関する舞台裏の全を担当することもあります。年間6〜10本のイベントを行います。また、浦添市てだこホールの市の担当窓口課として浦添市てだこホールの指定管理者との契約事務をはじめ、指定管理者が適切に施設を管理運営しているか等、浦添市てだこホールの監視監督も行っています。

 その他に浦添市文化協会や、子ども文化連盟、NPOうらおそい歴史ガイド、仲西獅子舞保存会 、内間獅子舞保存会、前田棒保存会、勢理客獅子舞保存会の団体育成や活動支援も行っています。

Q3 浦添市てだこホールの市側の窓口は文化課なのですネ!
浦添市てだこホールに新たな追加施設が誕生したそうですが、この機会にその事も含めてどのような施設なのかご紹介頂けますか?

A3 それでは、紹介いたしましょう。浦添市てだこホールは今年の6月以降、大ホール棟、生涯学習棟、小ホール棟の三つの棟全てが供用開始されます。各棟の状況は次のとおりです。

大ホール棟には、

  • 客席1001人のコンサートや舞台発表ができる多機能の大ホール
  • 約300人が研修や学習あるいは交流会などができる市民交流室
  • 演劇やコンサート等の練習に利用できる練習室(1室)
  • さらに楽屋は九つの部屋があり利用者が使いやすい充実した施設となっています。

生涯学習棟には管理事務室をはじめ、

  • 小研修会や集会に利用できる多目的室(1室)、
  • パソコン25台が設置されたパソコン学習に最適なマルチメディア学習(1室)、
  • 待ち合わせ場所などに最適な市民サロン(1室)、
  • 子どもが遊べる部屋キッズルーム(1室)があります。

小ホール棟には

  • 舞台・客席のかたちが一部変えられる多機能の小ホール(客席300人)、
  • 音楽バンドの練習に最適な防音完備の音楽スタジオ(2室)、
  • 演劇やコンサートなどの練習に利用できる練習室(1室)、
  • 会議や研修会に利用できる多目的室(1室)があります。

大ホール棟

生涯学習棟

小ホール棟

音楽スタジオ

施設案内図

Q4 文化振興関係の催しとして今年はどのようなことを予定しているのですか?

A4 浦添市としては、地域特性やこれまでの実績を踏まえた、@浦添市の文化芸術を担う次世代の育成と世代間交流、A浦添らしい特色ある事業の展開、B市民参画による文化芸術の振興を基本方針して次の事業を推進したいと考えています。

  • 事業は次のことを予定しています。
  • 児童生徒や市民の音楽活動を推進する市民の音楽活動事業として「小中学生音楽祭」
  • 演劇と舞台を体験する舞台演劇の発表事業といして「こども演劇」
  • 国立劇場と連携し伝統芸能の次世代育成を目的とする「国立劇場おきなわとの連携事業」
  • 様々な文化芸術を市民に提供する「文化芸術の鑑賞事業」

浦添小中学生音楽祭

国立劇場おきなわとの連携事業

 なお、事業の実施については、出来るだけ本市の文化関係補助団体である浦添市子ども文化連盟太陽樹や浦添市文化協会、市内各学校の教員や児童生徒と協働して事業展開を図りたいと考えています。

Q5 次に先日新聞にも掲載がありましたが市立図書館の何が変わったのでしょうか?
また、浦添市美術館についてもご紹介をお願いします。

浦添市立図書館

A5 先に市立図書館を紹介します。図書館は市民の図書その他の図書資料に対する要望に答え、自由で公平な図書資料の提供を中心に行っています。昭和60年4月23日の開館から平成17年度に開館20周年を数え、本年度は開館23周年を迎えます。蔵書は平成19年4月現在で250,445冊を数え、年間の貸し出し冊数は364,968冊を数えました。多くの市民の方々に利用していただいている施設だと思っています。
 平成20年度の4月は1ヶ月間臨時休館し、図書館利用者の皆様には大変ご迷惑をかけましたが、5月1日から開館しています。図書館の臨時休館につきましては、市の広報やホームページなどでお知らせしましたが、図書資料や図書館ホームページを管理しているコンピューターシステムが古くなった事による機械やソフトの総入れ替え工事によるものでした。

 変わったのは、新コンピューターシステムの導入です。本の貸出し情報がリヤルタイムに更新される事をはじめ、図書館の最新の情報が自宅のパソコンや携帯電話インターネットから入手できるようになりました。また、パソコンや携帯インターネットから個人の貸し出・予約状況の確認が可能になります。図書館ホームページサービスが以前に比べ拡充し、申請書の入手や図書館に関する情報入手が便利になりました。詳しくは、浦添市立図書館ホームページをご覧下さい。

 その他、浦添市立図書館の特徴として沖縄の色々なことを学習出来る本や資料を集めた沖縄学研究室と米国に関する英文資料をはじめ、児童生徒の英語学習に役立つ絵本やアメリカ留学案内などの資料を集めたアメリカン情報コーナーがあります。また、新たな事業として平成19年度からスタートした「浦添市移民史編纂事業」と、従来からある「としょまる」によるステーション巡りの移動図書館も浦添市立図書館の特徴の一つでしょう。

 最近、図書館で気になっている問題として貸出した本への落書きや切り取りの増加があります。本は市民共有の知的財産ですので、貸りた本はマナーを守って大切に扱って欲しいと思っています。市民各位のご理解とご協力をお願い致します。

浦添美術館

 次に浦添市美術館について説明しましょう。美術館は優れた文化遺産や現代作家の創作した優れた作品を収蔵・保存・展示する代表的な文化施設です。特に本市の美術館は、琉球王朝文化の誇る琉球漆器を主体に陶磁器、染め織物、絵画、書、金工品、彫刻など、600点を超える優れた作品の収集と研究を行っています。また、展覧会は工芸に関する企画展を柱にしながら絵画や彫刻、写真、学生や児童生徒の作品展等、色々な展示会の開催に努めています。

 今年の自主企画展は、「親子のアトリエ展」「現代琉球漆芸作家展」「上神氏コレクション漆器展」等が予定されています。いずれも注目される展覧会です。美術館ホームページやポスター・チラシ等で会期を確認して御観覧いただきたいと思います。また、市美術館では市民・県民に身近で美術作品に触れていただくため、陶芸教室やうるし教室等、専門の作家を招いた楽しい作品づくり教室を開講しています。他に、博物館や美術館を担う人材育成への協力として、大学で学芸員の資格を取る際に必要な博物館実習の学生を受け入れしています。当館の館長や学芸員が美術館や博物館で行う展示企画から作品の扱い等について講義や実践を通して実習生に指導・助言しているのです。私たちの美術館は県内の学芸員養成にも貢献しています。

小中学校美術作品展

 市美術館の常設展示は、毎年、変わっていることご存じですか。実は毎年2回、新しい展示テーマを設定して展示替えを行っています。また、当美術館の企画展示室は貸し出しているため、作家や企業、大学・高校等が主催する展示会も年間で10〜15本ほど開催されています。

 結びに、市内の文化財や文化施設、文化事業に個人や家族で足を運び、浦添市の歴史や色々な文化芸術を「見て、聞いて、触れて」「感じたり、知識を得たり、感動したり」等、心豊かな生活を過ごしてみませんか!  以上をもって、浦添市文化部の紹介とします。有り難う御座いました。

Q6 最後に、「ビジネス・モール うらそえ」に対してご意見・ご感想がありましたら、お聞かせください。

A6 私は「ビジネスモール浦添」のホームページを定期的に開いて見ています。
 感想としては浦添市産業振興支援センター・結い街のホームページでありながら、浦添市や市内の学校情報、防犯情報、浦添の文化・歴史アーカイブが充実したホームページだと思っています。
 特に「地域の安全のために」の防犯情報と「こころのオアシス」のエッセイは良く読んでいます。防犯情報は浦添市内の防犯最新情報が掲載され、新聞やテレビ等のニュースにはでない事件が身近で多く起こっていることにいつもびっくりしています。市内で定期的に行っている中学校区内の夜間パトロールに参加する際は活用させていただいています。
 また、エッセイはタイトルどおり「こころのオアシス」として読んだり、時には活躍する方々の考え方や実践を学ぶ機会とさせていただいています。

下地 安広 文化部長 プロフィール
  • 略歴
  • 1957年11月  沖縄県石垣市生まれ
  • 2001年 3月  沖縄国際大学大学院・地域文化研究科
    (南島文化)修了
  • 1984年4月  浦添市文化課文化財係採用
  • 1993年4月  浦添市教育委員会文化課文化財係長
  • 2002年4月  浦添市美術館学芸係長
  • 2003年4月  浦添市教育委員会文化課長
  • 2007年4月  浦添市教育委員会文化部長
  • 現在(2008年5月)   同上
  • 所属学会など
  • 沖縄考古学会会員
  • 日本考古学協会会員
  • 沖縄国際大学南島文化研究所特別研究員
  • 論文など
  • 1986年「高麗系瓦の製作技法考察--浦添城跡出土の瓦を中心として--」『南島考古』第10号 沖縄考古学会
  • 1994年「沖縄の遺跡から出土する近代磁器」 南島考古第14号 沖縄考古学会
  • 1997年「朝鮮と琉球」『考古学による日本歴史10.対外交渉』
    雄山閣
  • 1999年「沖縄嘉門貝塚出土の楽浪系土器」『人類史研究』第11号 人類史研究会
  • 2000年「土器からみた琉球列島の交流史」『古代文化』
    古代学協会
  • 2001年「沖縄諸島における弥生相当期の交流--沖縄出土の弥生土器を中心として--」『南島考古』第20号
  • 2004年「浦添市の文化芸術振興事業について」『文化部紀要』
    浦添市教育委員会
  • 2004年「浦添グスクと周辺遺跡」『グスク文化を考える』
    新人物往来社
  • 2006年「玉城朝薫の墓と朝薫」『うらそえ文芸』
    浦添市文化協会文芸部会

掲載日:2008/5/13

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