環境特集 第1回 川まつり 〜牧港川に清流を取り戻そう〜わたしたち人類は20世紀、生活の便利さを求めて、知らず知らずのうちに大切な地球環境を破壊して来ました。その付けが21世紀の今、地球温暖化というとてつもない問題として大きく圧し掛かっています。 私たち大人には子ども達に『未来を夢と、希望あるもの』として残す義務があります。この代償は人類全体の問題として考え、そのために私たち一人一人があきらめず自然環境を取り戻す努力をしていかなければなりません。また、子ども達へも自然環境の大切さを伝えて行かなければなりません。 「ビジネス・モールうらそえ」では、日頃からボランティアや NPO等で、環境改善や 回復活動に取組んでおられる方々の活動を取り上げ、環境特集として市民の皆さまへご紹介し、その活動を応援すると共に、皆様の啓蒙・啓発のお役に立てて頂くことを目的としおります。 今回は、去る平成20年6月29日に「NPO法人まちづくりてだこ市民会議」の皆さんの主催で行なわれた『第一回 川まつり』について取り上げたいと思います。理事長の運天政徳さんと、実行委員長の比嘉宥海さんに次のステップを前に『第一回 川まつり』を振り返っていただき、お話を伺いました。 「第一回 川まつり」を終えて 「NPO法人まちづくりてだこ市民会議」 理事長:運天政徳さん、大会実行委員長:比嘉宥海(ユウカイ)さん 聞き手 : 浦添市社会教育委員 平良 健二 Q1:今回の川まつりを企画するきっかけはどのようなことだったのですか?A1:運天 私達てだこ市民会議としましては8年前から牧港川の浄化活動に取り組んで来ました。主にEM菌の培養液を牧港川に散布することを中心とした活動でした。 基本的には市民に対する啓発活動と意識していました。3年前に「地域づくり団体全国研修交流会(沖縄大会)」というのがありまして私達は浦添で第10分科会を主管して、約50名くらい全国から集まりまして、「グスクと水辺を考える」のフォーラムを開催しました。その内容をまとめて浦添市と浦添市議会、商工会議所に提言書を出しました。その中でやっぱり川の問題がクローズアップして来ました。専門の講師を招聘して勉強会をひらきました。そこで、新たな活動としてみんなで議論して得たのが啓発手段としての「川まつり」を行うことでした。 浦添グスクが世界遺産に追加登録されるかもしれない、またモノレールが来るかもしれない、そういう問題が絡んできたときに、この周辺全体の環境として、やっぱりグスクの眼下を流れる牧港川が問われるんじゃないか。今取り組まないと間に合わないという共通の認識がきっかけとなったのです。 Q2:どのように企画を立てたのですか?A2:比嘉 会の活動の仕方について従来から話し合われてきたことではありましたが、昨年の4月の総会で「川まつり」が議題として検討され、毎年開催することで、川への関心を高め清流を取り戻す運動を展開しようと決議しました。内容は、シーカヤック、環境学習、イベントを行うことが採決されました。詳細については、実行委員会で議論しながら進めました。 Q3:仲間のスタッフはどのように集められたのですか?A3:運天 実行委員長と相談をしながら、技術的なバックアップを沖縄環境分析センター(株)、(財)沖縄県建設技術センター、カヤックは笹尾商工(株)、会場はコープ牧港店と絞って、それぞれを訪問し説得して了解をとりつけました。あとは浦添市環境保全課と自治会、社会福祉協議会、ボランティア団体の参加を促し、輪を広げました。 Q4:問題意識は?実行する意義は?A4:運天 まずその実行する意義というと、川が汚れている実態があんまり知られていないこと、もっとひどいといったらおかしいけれども、どこを流れているのかわからないというのがありました。浦添には那覇を流れる安謝川が一部食い込んで流れており、小湾川、シリン川そして牧港川があります。もう一つ、宜野湾市を流れる宇地泊川が牧港川の河口で合流しています。自分の住んでいる近くの川は知っていても他の川は知らないケースがあるわけです。浦添大公園の中は牧港川が流れていますが、行って見ると臭いなぁとか、汚れているね、とかそういうのが分って、どうにかしなくちゃと思うはずなんですが、無関心なので県内ワースト1というおもしろくない汚名をもらっているわけなんですよ。 やっぱりそこをなんとかしないといけないという啓発運動が必要なわけです。川まつりを通じて、川の汚れを知り、きれいにしようという意識を喚起して、多自然型の河川に生まれ変えさせ、清流を取り戻す。時間はかかるかもしれませんが、将来の子供たちにできる大人の責任でもあると思います。そう言う意味では、意義ある活動ではないでしょうか。 A4:比嘉 地元の自治会長さんが、川の現状を自分の目で確かめておっしゃった言葉に、「ここで私達がで生きているかぎりここを故郷として生きていかなければならない、やはりその川に無関心でいるわけにはいかない」という話を聞いたときに、あぁよかったと思いました。この人達が気づいてくれて、これから良くしていこうという気持ちがおこってきたということは非常によかったなと思っております。私達がこの活動をすることによって県も浦添市も西原町も非常に関心を持っていただき、協力をしてくれる体制ができたことと推察できます。ここにも活動の意義を見つけることができると思います。 Q5:このイベントを行なっていて苦労した事は?A5:運天 この川まつりをするための資金集めです。ほとんどゼロの状態からスタートして見積もりをとったら100万かかる120万かかるということになってきたんですね。手分けして企業を訪問し協賛金や広告、のぼり旗と寄付金集めに奔走しました。 A5:比嘉 資金の点では確かに大変苦労いたしました。よりいいものに作っていこうと考えていくとどんどん予算がふくれあがっていくんですね。最初はこれくらいと概算予算を立てていたものがだんだんふくれあがっていって、頭を抱えるわけです。どうやってお金を集めるかと何回も話し合いました。啓発していく、知らしめていくということが大きなねらいですから、できるだけ多くの人に声掛けをして1000円でもいい2000円でもいいから募金に協力していただくよう努力しました。おかげさまで最初はひやひやものだったんですが、沖縄の特徴ですかね、後半ぎりぎりになってやっと何とか目標額を集めることができました。 Q6:イベントはどうでしたか?A6:比嘉 イベントは、多くの人を集めることが目的でした。歌手のユキヒロさん、仲西礼奈さんに協力していただきました。それから浦添の太陽樹のみなさん、ゆいゆいキッズのみなさんや鼓衆のみなさんやブラスバンドの方々にも協力していただきました。会場ではコープさんが食事コーナー、そうめん流し、環境にやさしい食材の特売等企画してくださいました。ゴミをださないということで、那覇市の協力を得てエコカー(フレンド号)を借りてきました。食器やカップ、箸などをその場で洗浄し再利用することで、ゴミをださない工夫もいたしました。その他、明治乳業さん、ブルーシールさんなどが無料で飲み物やアイスクリームの提供をしてくださいました。これは大変人気がありました。風車つくり、知恵の輪つくりの子供たちが楽しむコーナーもありました。 Q7:今回、第1回を行ってみてのご感想は?A7:比嘉 大勢の人が参加した中で事故がなかったことが一番の安心でした。また、予想以上の1000名近い人が集まっていただきました。それから100名近い人からアンケートを取ることができました。ほとんどの人から「すばらしい企画だ!今後も続けてほしい」そして「他の川も一緒にきれいにしていきたい」という感想を得られたことは心強いことでした。 A7:運天 川まつりというのはある面では子ども達に対する環境教育でもあると思うんですね。そういう意味で家族といっしょに来てくれた子ども達がたくさんいたことは大きいと思うんですね。子ども達が来て子ども自身が川に下りる、そういうことができたのがよかったなぁと思いましたね。次の世代を担う子供たちが育つことを願っています。 Q8:浦添大公園の上流をみると浦添市ではないですよね!という事は浦添市外の上流に関わっている人達を巻き込まないといけないですし、ここに流れてくる汚水は市外の人達のたれ流しだという問題にもなりますよね、その辺はどうお考えですか?A8:比嘉 上流の方の西原はまだ下水道がまだ完備されていなくて、ほとんど単独浄化槽が多いわけですね。単独浄化槽の場合はし尿以外は全部川へ流れますので、非常に負荷がかかるわけです。この西原の方の協力がないとこの川は確かに良くならないわけです。それで今回は西原の棚原自治会に行きまして区長さんにお会いして川の状況の説明を行い、協力をお願いしました。それから坂田小学校に伺いまして坂田小学校の校長先生ともお会いして、川の現状を知っていただき、協力を呼びかけました。 Q9:これからの計画は?A9:比嘉 川の下の方の人達は川の上流を知らない、上流の人達は川の下の方の汚れを知りません。ですから下の人達は上流を見る、上の人達は下流を見るという川の観察会を開いて、お互いが川の現状を認識する必要があると思っています。その次に川のフォーラムを計画しています。その中で、私たちが身近にできるもを見つけて行きたいと思います。 平成20年11月24日に「牧港川フォーラム」を開催し、改善方法をみんなで模索したいと思いますので、ご多忙とは存じますが、一人でも多くの方をお誘い合わせの上、ご参加くださいますよう、ご案内申し上げます。 Q10:最後に総論をお願いします。A10:比嘉 第一回目の川まつりが予想以上に反響が大きかったということですね、市民が期待していることを力強く感じました。これを今後どのように発展させて、川の浄化へつなげていけるか知恵を絞って真剣に取り組んでいきたいと思います。あとは、今回、この川まつりをすることで、地域流域の人達の協力体制が得られたということと、行政が協力をしてくれたということが大きな力となっております。行政とタイアップしていかないとなかなか思うように進まないところがありますので、行政とのつがながりを築けたことは大変よかったと思います。今後とも、協力体制をとりながら牧港川の浄化に取り組んで、一日でも早くこの川の浄化が進むようにしたいと思います。 |
掲載日:2008/11/18 |