具志史郎コンサート・カンツォーネinギターラウンジ・エスペランサ
【LIVE・コンサート報告】
去る6月14日の夜に催されたライブ・コンサートはクラシックのみならず全ての音楽ファンを魅了するとても素適な一夜のステージとなった。
今宵はなんと、あの沖縄クラシック音楽界の貴公子こと若手バリトン歌手の『具志史郎さん』を迎えて、劇場でしか味わえない魅力を特別に舞台ステージから降りて、ライブハウス(エスペランサ)で、それも、お酒を味わいながら楽しもうというコンサート。
会場となったエスペランサは満席となりファンからの再演リクエストで実現した2度目のコンサートだけに来場客は期待に満ちた眼差しで席に着いていた。
この日は、父の日の前日とあって、夫婦等のカップルが多く客層も、若いカップルからロマンスグレーの夫婦までと幅広く、この辺からも具志史郎氏のファン層の奥行きが覗える。観客はコンサートが始まるまで、それぞれに好きな飲み物、ワインや、ビールを手に会話を楽しんでいた。
やがて開演時間が訪れると、入り口で客を一人一人出迎えていた具志史郎氏が会場に入り、本人の挨拶が始まった。開演である。♪
その挨拶の中で、本人からの言葉になんと、「今日は前回のステージには無かった特別なサプライズを皆様のためにご用意いたしました」と史郎氏が紹介した。「え〜なんだろう?」と開場はざわめき、「今日は得したかも、」と期待がふくらんだ。ラッキーである。
ステージが始まり、一曲目は具志氏の真骨頂であるカンツォーネの定番「オ・ソーレ・ミオ♪」そして、「サンタ・ルチア♪」と有名な曲から始まった。
聴衆は史郎氏の発する力強い生のバリトンの低いようで、高く響く声に痺れ、満足気。
その後、前回には無かったイタリアの歌曲が盛り込まれた。その中でも「カーロ・ミオ・ベン♪」という曲は「いとしい女(ひと)よ」と言う意味で、愛する女に対して自分のことを思ってくれるように願っている歌。具志氏はこの曲を静けさを醸し出すように歌い上げ、聖歌曲の様な印象を感じさせた。
次の「忘れな草♪」という曲は映画の主題歌にもなった曲で、かなわぬ恋に身を焦がす男が、去っていった恋人の面影を慕う切々とした唄だという。哀愁ただようメロディーが耳に残るロマンチックな曲でした。また、「優雅な月よ♪」の歌曲が続き、前半で8曲目も歌いあげた。最後はポピュラーな名曲「帰れソレントへ♪」で開場を盛り上げ前半が終了した。
しばし休憩を挟み、後半のステージが始まった。
ニコニコしながら、史郎氏は「これから後半のステージで皆さんにお届けする曲はイタリアンポップスの「コン・テ・パルティロ」そして、歌謡曲では皆さんの大好きな「千の風」などポピュラーな曲目が準備されております。」と、これから披露する曲目の説明をした。曲の合間で彼の話すユーモラスな独特のトークは面白く、会場を飽きさせなかった。しかし、先ほどから何故か?彼の顔が少し緩んでいるなぁ〜と感じていた。その後、直ぐに彼の表情が変わった理由が明らかになった。史郎氏が突然、皆が忘れかけていた今日のサプライズの事を語り始めたのだ。
思い出したかの様に、観客はとても楽しみにしていたので「どんな趣向なのだろうか?」と開場がざわめき出したのは言うまでもない。
「今日のサプライズはこちらです!」と彼が紹介すると、ステージの左袖から眩いばかりに青一色のイブニングドレスに身を包んだ貴賓ある美しい女性が現れた。皆、一同に「ウォー」と驚き、喜びを盛大な拍手で表し、目の前に突然現れた美女に送った。
史郎氏は、サプライズの演出に喜んだ観客を見て、更に顔が緩んでいった。そのまま彼女を紹介、「浦添市出身のソプラノ歌手、宮城美幸(みさち)さんです。」「彼女はこの春、沖縄県立芸術大学声楽専攻の同大学院を修了しました。そして、現在、全国各地のステージで活躍されています。今日は福岡でのステージを終えて、エスペランサにサプライズ・ゲストとしてお越しいただきました。」と紹介。
会場からは、後半のステージへの期待から宮城美幸さんへ再び割れんばかりの拍手が送られた。
美幸さんは、初めの曲をプッチーニの歌劇から「ああ!私のお父様♪」というクラシックの曲をソロで披露してくれた。歌うときの彼女はとても表情豊で見る者の目を奪う。まるで綺麗なお人形さんが歌っているかの様な可憐な可愛らしさの中から彼女の発するソプラノの華麗な高い声が会場に響き渡り、聴衆は彼女の歌にうっとりと聞き惚れた。
そして、待望の史郎氏とのデュエットは、迫力満点なイタリアンポップスの「コン・テ・パルティロ♪」そして、歌謡曲では大ヒットした私たちの大好きな「千の風♪」を続けて披露してくれた。このコンサートの中で特に最後のこの2曲を聴いた観客は「本当に今日は来て良かった!」と思ったであろう。
その中でも、ポピュラーな曲「コン・テ・パルティロ♪」では、宮城美幸さんのソプラノの高く突き抜けるような透明な美声と、具志史郎氏のバリトンの高さも出る低く響く声量。低音と高音が交互に会場を響き渡らせ、また、絡み合うような息の合ったハーモニーが伸びたり、交差したりと素晴らしく私たちを痺れさせた。そして、交互に旋律を歌い合うような高度なテクニックも交え、鳥肌が立つ感動を聴衆に与えたのです。
最後は観客が総立ちになり、お二人にスタンディングオベーションで「感動をありがとう!」と最大限の惜しみない賛辞を送った。
皆さん!今度、てだこホールで行われる「琉球交響楽団第14回定期演奏会」に於、『日仏交流150周年』を記念したオペラ『ファウスト』が催されます。その演奏会に浦添出身のバリトン歌手、具志史郎氏が選ばれ、今回はコンサート形式での演奏会で、ヴァランタン役として出演いたします。是非、応援していただきたいと思います。