「人は心に訴えるのが一番響くんですね。」
九州で1番交通量が多いのはどこかご存じですか。浦添市内なんですよ。国道58号線の牧港。2番目もやはり浦添で58号勢理客から安謝の間、なんと3番目も浦添で、330号旧健康増進センターの前です。流通業界や経済では発展している街という意味でありますが、事故も当然多くなる。
飲酒運転もまだまだ減りません。取り締まりが厳しくなり減ったように見えますが、せいぜい0,1%減です。18年間、死亡事故で連続ワースト1。大阪に次いで検挙数は2位。人口比を考えると異常です。居酒屋から出てきて運転する人はさすがにいなくなりましたが、それ以外の場所で取り締まりをしたら相変わらず捕まるし、女性も多いですよ。
でも浦添市内では確実に減るだろうという自信があります。というのは今、レター作戦をしているんですよ。飲酒運転で違反した人にすぐ翌日、私の名前で「飲酒運転撲滅へのご協力依頼について」という手紙を送っています。取り締まりを強化するより、このワンプッシュは効果があります。
これは西洲の経験なのです。西洲にドリフト族が結集していた。見学の車も多く、110番通報が一昨年は145件もありました。車両ナンバーから持ち主を割出して「暴走行為をなくす作戦へのご協力依頼について」という手紙を、私の名前で送りました。そんなに迷惑だったのかとびっくりして反省をしてくれました。そのお陰で、昨年度は通報は一件もありません。大成功だったわけです。
「ギネス記録の村なのでは・・・・」
石垣市白保の出身です。ここは警察官村で、670世帯ほどの中に警察官が50人近くもいるんです。叔父も警察官でした。
中学生のとき、夜中に映画館から友達と歩いて帰る途中、厳しいお巡りさんに捕まって足蹴りされて叱られた。あとでわかったのですがその先輩、空手の有段者なんですよ。叱られたけれどなんとなくかっこよかった。私自身も中学校から風紀委員で、自転車で村を見回りして、夜中うろうろしている子供がいたら、こら!と叱る役だった。高校では柔道部でした。男の子というのは、なんとなく正義の味方に憧れるじゃないですか。
そんなわけで、高校を卒業後警察学校に入って、最初の勤務先は普天間の交番でした。でも沖縄初めてでしょ、言葉(本島の方言)も分からない、水も不味い。石垣の水はとても美味しかったものだから、こんなところに住めるのかなあと最初思いましたよ。
「驚きと、生命の尊さを感じた」
まだ20代でしたよ。一人で交番勤務していたのです。そしたら「助けて、産婆さんはどこですか、生まれそうだ」と男の人が駆け込んできた。車の後ろ座席に奥さんがいて産気づいている。一緒に乗って産院に行く間にも、「生まれる生まれる」と・・・途中で、生まれてしまった。仕方ないから私が取り上げました。へその緒が赤ちゃんの首に巻き付かないようにして落とさないように抱いてあげたら「オギャー!」って泣きました。祖母が産婆だったので、いつも湯沸かし役をさせられていて、見よう見真似でなんとかできたのですね。その子の名付け親にもなりました。昭和43年のことです。
「でも仕事なんだ・・・・・」
故郷白保に勤務になったときは辛かったです。空港問題で一番揉めていた最中、あんたも土地持ってるでしょ、説得しに行ってこいと。おやじの土地に滑走路ができることになり、その土地は県に売りました。反対運動の人たちからは、なんで県を擁護するのかと卵を投げられたり、腐った魚を家に送られたりしましたねえ。
「地域の人たちが防犯運動に燃えた」
事件事故を減らしたい、発生した事件は必ず解決したいという願いは警察官の原点です。しかしそのためには市民の協力がどうしても必要です。今、市内に1401人のボランティアの人がいて、すごい力になってくれています。仲西小学校区は、一昨年は月に7,8件不審者通報がありました。市民パトロールの強化のお陰で今はゼロ。すごいよ〜。
「ちゅらさん運動」も効を奏してます。ちゅらさんとは「ちゅら3」、つまり「人」「街」「結い」の三つの力で犯罪を減らそうという運動です。ボランティアの人、地域、そしてネットワークです。太陽の家もそうだし、この「ビジネス・モールうらそえ」での情報交換もその一つです。
今みたいに市民が子供を守ろう、自分たちの地域を守ろうと燃えていることはかつてないのではないですか。このような警戒心は自主防犯力になります。その結果、空き巣、車上狙いといった身近な犯罪が1割も減りました。不況の中で犯罪が減ったのは驚きです。
「市民だけでなく事業者も参加して欲しい」
イギリスのお巡りさんは警棒だけでピストルを持っていないの知ってますか。市民が厳しく見張っているからできるのです。こういう市民の力が、地域の「結い」であり、地域力、地域の目です。沖縄でも拳銃を持たないお巡りさんは実現できると思いますよ。
地域の安全は地域住民の一番の願いです。その中にはもちろん事業者も入っています。事業者の経済活動がうまくいくのも、そこが安心できる地域だからですよ。いい経済状態の場所は必ず治安がいい。そのようなことを事業者のみなさんもぜひ考えて欲しいと思います。つまり、地域への参加。いつも地域に関心を持って、地域の目を持っていて欲しいです。安全な地域を実現するためには、その地域の全員の力が必要です。
警察署からこの「ビジネス・モールうらそえ」に、多くの情報を提供しています。市民も事業者もその情報をぜひ有効に利用してほしい。そのために、事業者の会員としてのサポートも必要だということです。「ビジネス・モールうらそえ」に関わって参加することで、意識が高まり、地域活動に貢献できると私は考えています。地域の安全は、決して人任せでは実現しません。それぞれができることをする、それが地域への参加の第一歩です。
出発前の班分け(整理客自治会区) |
出発前の班分け(牧港自治会区) |
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牧港自治会において、一斉行動の趣旨を説明する生活安全課長 |
団地の出入口に盗難防止を呼びかけるポスターを貼付 |
「お願い」
警察官は2年ごとに転勤があります。私は今まで21回転勤しました。そして、2年勤務した浦添署もこの春異動になるでしょう。そんなわけで今回の緊急のお願いとなりました。
市民のみなさん、経営者や事業所のみなさん、安全安心な浦添市を作るためにはみなさんの力が必要です。どうぞみなさんの力を結集してください。
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