21世紀型経済は感動志向
リアル店舗とバーチャル店舗
選書コーナー
智子さんが起こした変化はまだあります。お客さんがじっくり本と向き合えるように、また、気軽に子どもへ読み聞かせができるようにと、店の奥に選書コーナーを設けました。最初は「暗い」といわれていた店内の、棚でふさがれていた一面の壁を取り除き、明るい外光が入るようにしたのです。窓ガラスにはカーテンを引き、よりリラックス感を演出。
また、仕入れたはいいものの、売れずにずっと何年も棚に陳列されたままになっている膨大な数の文具類など、店内には物があふれ、ごちゃごちゃとした印象でした。その在庫を整理し、卸元に引き取ってもらうことに成功。すっきりと、どこに何があるか見やすい文具コーナーに生まれ変わりました。
お正月の餅つき大会に、バレンタインデーにはお客さんにチョコを配ったり、さらに今年の予定は、無機質な雰囲気のトイレを居心地のいい空間に改造することと、そのアイデアはとどまるところを知りません。
「わたしはね、みんなに幸せになってもらいたいの。毎日笑って暮らしたいじゃない、ねえ」と、明るくおっしゃる智子さん。従業員への気持ちも大変強いものが感じられます。
「社員のみんなには感謝しているの。みんなほんとうによくやってくれています。今年はね、サービスを体験させるためにもディズニーランドに社員旅行に行く予定なの。お金は社員のために使わなくっちゃあ」と朗らかに笑う智子さん。そのパワーと思いやりが店全体を引っ張っているようです。
そんな智子さんの横で、徹也さんはおっしゃいます。
「店は妻にまかせて、僕は別の展開を考えているんですよ。20世紀は売上志向の経済だったけれど、21世紀型経済は感動志向なんですよね。だからリアル店舗(ビジネス館)では、妻を始めみんな女性なので、女性の感性を活かし、居心地の良い、お客さん密着型の感動を与えられるような店舗にしたい。で、自分はネット部門に力を入れたいんです。沖縄の本を出版し、それと文具類をネットで販売する。今年はこの事業に力を入れていくつもりです」
この明確な役割分担は、先代の社長夫妻そっくりです。夫が会社の方向性をつけて、妻がお客さんとのコミュニケーションをとっていく。これからも、夫婦の二人三脚で、ビジネス館は大きく発展することでしょう。 |