松川会長 「松川オートは(創業して)確か37年目だと思う。私が名護から那覇に出てきたのが20代の時。沖縄クラリオンという会社でカーステレオなどのオーディオ機器の修理と、取り付け販売をやっていた。あの頃は復帰前で、オーディオ関係は車に付いて来なかった。それで、私らはトヨタ車や他のディーラー車が入港した後にオーディオ機器の取り付けをする仕事を行っていた。
関税の関係で、向こう(本土)で取り付けしたら15〜20%の関税が付いて、ここ(沖縄)で取り付けしたら5%程度の関税で安いため、ここで取り付ける方法をとっていた。その時、トヨタに出向して取り付けの仕事をやっていたんですよ、2年ぐらいかな。」
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1970年から1979年頃の仲西にある防錆・板金工場「松川オート」 |
スタートは防錆工場「松川オート」
その頃に、松川さんの日々の仕事振りを見ていた当時のトヨタの常務から「自分で何か仕事をしないか、応援するから」と言われたそうです。その言葉がきっかけで、自分の会社の設立を決意。防錆メーカーのジーバートを扱っていた関係で、27歳の時(1970年)に浦添市仲西に、防錆工場「松川オート」を設立します。銀行から4000ドル、今のお金に換算すると4000万円ほどにもなる金額を借りてのスタートでした。「車がドンドン売れている時分だったので、塩害のひどい沖縄では、車の内部まで錆を防止する防錆の依頼が引きも切らず、毎朝6時から夜中の12時、1時まで作業をしていた」と言う。その頃は、睡眠時間4時間ほどで、家に帰る暇も無く車で寝る毎日だったそうです。4年後にふと「これだけではいけないんじゃないか?」と思い立ち、板金塗装も始めることに。さらに法人化を経て整備工場も手がけることになります。
安心して愛車をまかせられるシステムを次々に導入
その後、ホリデー車検、カーコンビニ倶楽部、オニキスと、次々に画期的なシステムを導入し、お客さんのニーズに答えるサービスを提供し続けています。
短時間で車検ができるホリデー車検は、予約制で前もってお客さんの車種にあった部品を揃えておき、4人のメカニックが法律で決められた60ヶ所以上のチェックを確実に行います。お客さんの立会いのもとで必要な所だけ、部品の交換や修理を行い、お客さんが納得したうえでの作業なので、トラブルが非常に少ないのも、ホリデー車検の特徴。
またカーコンビニ倶楽部も、先端技術とテクニカルスタッフによる丁寧な技術で、短時間で車のキズを直すことができるのが好評です。新車が半額でリースできるオニキスは、月々の支払いを安く押さえ、5年後にはその車を買い取ることも、別の新車に替えることもでき、5年間はメーカの保証もつくというシステム。支払いも普通車なら月2万円ほど、軽自動車でも月に1万円ほどで乗れるということで、利用者も増えているそうです。
ホリデー車検の西日本大会で優勝
「常に前を向いて歩かないと、人とおんなじことをしててはダメだということですよ。ホリデーやってよかったのは、従業員がなにごとも素早くやる、という態度が身についたこと。1時間で車検が終わるわけだから、動作に無駄がなく作業も早くなる。そうすると、会社にもだんだんと変化が起こってきて、売上が上がって来ると、従業員もうれしいでしょう。お客さんが松川オートに自分で車を持って来て、そのまま持って帰るので、代車もいらなくなる。支払いもキャッシュ。だから、安く早く出来るんですよ。」
ホリデー車検には、毎年メカニックの技術を競う大会があり、今年の西日本大会で、従業員の照屋誠さん(26歳)が一位になり、全国大会でもベスト4に入ったそうです。ここ7年間は常に松川オートが沖縄大会では優勝しており、過去には全国大会で優勝したこともあるほど。また大会には同じ人は出場できないため、「次は自分がでるぞ」という意気込みで、大会前になると各自が1時間早く出勤して練習するそう。従業員同士競い合い、切磋琢磨するからこそのNO1なんですね。それから、松川会長いわく「この実績を積み上げるには現社長の名嘉真朝次氏の存在がなければ成し得ないことで彼の貢献がとても大きいのですよ」と従業員と経営者トップの功績をしっかり認められていました。
社員教育の大切さを実感
「社員教育には力を入れています。12年前に内地でバブルがはじけた後に2〜3年して沖縄にも影響が出て、業績が低迷、車も売れないし、社員もやる気も無く落ち込んだ状態で、何名か辞めた従業員もいた。これはやる気を起こさせないといけない、と、年間計画500万円で社員教育のコンサルタント会社を頼んで、全社員に「浦添荘」で一泊のセミナーを受けさせた、朝から晩までずーっと。それから、各部門順番に一週間に一回ずつ、仕事終わってから7時から9時まで、一年間続けました。あの頃は売上も少なくて金も無い時期だった。だからこそやらんといけなかった。そのお陰で何事にも一緒にまとまってやれることができるようになったんですよ。それから教育ということを見直して、今は朝早くから、社員が倫理法人会にも参加していますよ。ちなみに現在の社員総数は約60名です。」

本店(仲西) |

新都心店 |

港川店 |

中部店 |

内間店 |
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夢を持ち、会長を慕う9人の「息子」
「実はね、11月1日から、専務だった息子が副社長になったんですよ、そろそろ社長交代の時期かと思って。息子は九男までいる。その中にほんとの息子は3名だけ(笑)。うちのグループ企業の幹部が『俺は長男』『俺は次男』とか決めて、向こうから『息子にしてくれ』ってくるから。要するに弟子のようなもんですよ。」
「人間というのは一番自分が大事、一番儲かりたい、実力がある人は自分で会社やりたい。でも会社は、そういう人が一番欲しいんです。そういう人をどう留めるかなんですよ、幹部として。そうすると待遇でしょ、夢を持たすことでしょ?辞めるのは自由ですから。八男、九男までいる息子が、なぜそこまで頑張っているかというと、夢があるからですよ。給料だけ良くてもいかんのです。今はいいけど将来はどうなるんだ、将来に夢が持てる会社なのか。本人がいたい環境を作らんといかん。環境さえ作れば辞めませんよ、辞めろといっても。あなたは次は専務になれますよ、社長になれますよと言ったら、夢があるわけでしょ。『ぜったい社長になろう』と頑張るわけでしょ。やりがいがあるし、責任感が強くなる。経営者としては、仕事しやすい環境も整えないといかんです」。
松川オートには、フラワーショップなどいくつのグループ企業があります。経営者として社員のやる気を引き出すことは重要なこと。それぞれの企業の幹部から「息子にしてくれ」とまで慕われる会長は、社員のやる気を引き出す名人といってもいいでしょう。
お客様へ感謝を込めた、年に一度の牛汁会
松川オートには、年に一度のお客様感謝デーというべきイベントがあるそうです。
「うちは年に一回、牛1頭をつぶして牛汁会をやるんですよ。お客様へ、一年間の感謝を込めての還元です。今年も12月の7、8、9日に新都心店でやりました。すごく美味しいですよ!」寒い冬場に社員の家族も、お客様と一緒になって、温かい牛汁をいただくこのイベントは、今年でもう3年目になるそうです。これが大変好評で、一人で4、5杯もお代わりをする人もいるとか。お客様への感謝の心は、しっかりと伝わっていることでしょう。
「ビジネス・モールうらそえ」についての感想
松川会長は最後に、
「『ビジネスモール・うらそえ』は、教育や子育て、地域安全情報など、子どもに関連するページが充実していると思います。浦添市は市民の平均年齢が36〜7歳と非常に若く、子育て真っ最中の世代が多いので、このような情報はとても大切だと思います。また、インタビュー記事が充実していて、浦添市には色々な人材がいるのだなあ、と感心し、記事を読んでおります。これからも、さらに浦添の特色ある人々を発信していただきたいと思います」
と、話してくださいました。
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