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「十二支最初の子年、今まで以上に夢多い一年となるよう祈念しつつ、市民のみなさんのご多幸をお祈りいたします。」
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Q 昨年2007年を振り返って伺いたいのですが、市長の入院に市民はびっくりいたしました。
体調はすっかり元に戻られましたか?
儀間
「完全に戻りました。声だけがまだ100%ではないですね。ボイストレーニング、カラオケに行かないといけないかなと(笑)。
入院生活は独房のようでした。来客はいっさいシャットアウト。ですから本をずいぶん読みました。浅田次郎の「中原の虹」(4冊)、「興亡の世界史」・原聖の「ケルトの水脈」、R/Fジョンストン「紫禁城の黄昏」(2冊)・・・。
休んだから言うわけではないけれど、健康なときでも、立ち止まって我を振り返る時間は必要だとつくづく感じました。みんな我を忘れて走りに走りまくっている。政治的にも行政的にもさらに財源も厳しい。私自身は立ち止まることすら許されない状況でしたから走りまくって、気がついたらダウン。それではじめて、はっと我に返りました。」
Q でも取り残されそうでなかなか立ち止まることができないでいる人が多いです。
儀間
「私の場合は、ゆっくり療養をして休める立場にないわけです。焦っても仕方ないので、そこで開き直りました(笑)。現実を認め受け入れて、しっかり向き合って病気を治そうと思った。これも天の采配、しばらく休んでおれという天命、と。もし許される期間内に治らないのなら、それも天命、腹をくくろうと思いました。」
Q 去年も「現実を受け入れしっかり向き合う」とおっしゃっていましたね。
儀間
「現実を無視していては何もできない。すべては現実を直視することから始まる。それは自分の存在を意識することでもあるのです。
人にはそれぞれの立場があります。フリーター、ニートもいる。その立場を認める、つまり現実を直視するというのは自分自身を見つめることです。その中で与えられた自分の責任を全うすること。
それは今日を生きること、でもある。それが積み重なって人生となる。過去は振り返ることはできますが生きることはできない。明日につながる今日を生きることだけが、未来を作る。
今、病気療養中の方々もそうです。今日を真剣に生きることが明日へつながります。」
Q 昨年、浦添市民の活動はどうでしたか。
儀間
「地域が強くならないと市は強くならないと、ずっと考えてきました。そのために子ども達を地域に戻し、お年よりも地域に戻ってもらう。それがこの7年間展開してきた私の施策の根本です。地域公民館、児童センターや老人福祉センターなどは、地域力のためのインフラ整備です。小学校に児童センターを作り、コミュニティーソーシャルワークを中学校区に設置していく。
その成果が目に見えてきましたね。各中学校区では、子どもからお年よりまで地域の人たちが参加するイベントを自主的に企画しました。神森中学校区はこいのぼりをあげたり清掃作業をしていましたね。経塚のイルミネーションはテレビでも取材されていましたが、住民総出で飾り付けしたようです。」
Q このように地域のみなさんが積極的にイベントに参加するための仕掛けづくりもされていましたか。
儀間
「人々の行動は地域力の魂です。普段から市長部局をはじめ教育委員会、福祉関係者が地域に出向き、出前の講座をしたり、地域からの提言を受けたりという地域懇談会をしています。
地域のイベントに子供たちが参加するというのはとても大事なことです。自分は故郷がここだ、ここの出身であると自覚します。それは大人になってから強力な地域力を発揮できます。
また地域で人々が活動するとみんなの目が注がれますから、防犯防災の点でも安心です。事実、浦添市は犯罪も交通事故もずいぶん減りました。地域力アップの成果です。」
Q 地域力についての施策を市長は最初から提言されていましたが、何がヒントだったのですか。
儀間
「ぼくは3世代時代に育ちました。核家族時代という現代のカタチと明確に対比できるのですが、何が違うのかと考えてみると、それが地域力の差なのです。それぞれの地域にはいっぱい貴重な教材がある、それが「じいちゃん、ばあちゃん」です。その方々の力が核家族時代になって生かされていない、活用されていない。
その力を引き出して地域が力を取り戻すためには、じいちゃん、ばあちゃんが出てきてもらえる場所が必要です。つまりインフラ整備だったのです。核家族が増加した今の社会を癒すのは、じいちゃん、ばあちゃんの力、子ども達の力、つまり地域力だと、政治的にも政策的にも考えたのです。
区画整理事業にもそれは反映させました。碁盤の目に道を通すのではなく、地形を生かしたS字カーブの道。生活道路は大きくなくていい。緊急車両が通れたらいい。道幅は隣の家のおかずの匂いがわかるくらいの近さがいいんだ、という考え方です。
歩くのが楽しくなる都市(まち)づくりです。S字の道は向こうになにがあるか見えないからわくわくします。みんな歩くのが楽しく、人が都市(まち)に出る。これは安心安全な都市(まち)づくりにもつながるわけです。また、歩いて楽しめる都市(まち)には、花と緑と水があるわけです。」
Q 昨年は市民会館「てだこホール」も華やかに落成しました。
儀間
「てだこホールは昨年4月28日オープンして、文化の殿堂として好評です。
人間が豊かになるためには感性を磨くことだ。何で磨くかというと文化です。生活の豊かさの違いは、言い換えると文化の差だと思います。それが幸せにつながると思います。
浦添城址は浦添の象徴ですが、琉球の歴史文化の象徴でもあります。浦添市はそれに相応しい都市(まち)でないといけない。「国立劇場おきなわ」があり、「てだこホール」が出来、生涯学習を含めた文化施設が揃ってきました。
Q さらに、昨年は、子ども達の文化活動にも新しい動きがありました。
5つの子供の文化団体、「ジュニア吹奏楽団」「ゆいゆいキッズ」「若松会」「浦添少年少女合唱団」「鼓人衆若太陽」が『
太 陽 樹
』(てぃーだじゅ)という組織をつくりました。去る12月に、太陽樹約100人で台北に教育文化交流で行きました。そして今月、台北からやはり100人規模でマーチングバンドの子ども達が来ます。子どもの教育文化交流です。
子ども達の視野を、市外へ、県外へ、国外へとどんどん広げていく。子ども達の感性をインターナショナルに、豊かなものに育てていきたいです。」
Q 成人を迎える新成人へメッセージをお願いします。
儀間
「とりあえず行動してみよう。一歩前に出ると、なにか新しい発見があります。君たちには若いエネルギーがあるのだから、迷ったら一歩踏み出してください。見えなかった新しい窓が開くかもしれない。
夢実現に向けて汗をかくこと、そして、今日を生きることです。夢に一歩踏み込まなくては、夢を実現することはできない。行動しないで停滞していると腐敗にもつながります。チャレンジして視野を広げ、自分に付加価値を付けてください。それが自分を高めることになります。」
Q 最後に、新しい年の抱負をお聞かせください。
儀間
「子どもやお年よりの方々が住みやすい都市(まち)づくりのためには、いわゆる生産者である大人の人たちの生活が安定しないといけません。経済的な安定です。産業振興、雇用の安定が必要です。そして、仕事は選択肢がたくさんあった方がいい。
働き手世代の雇用と所得が安定すれば、子どももお年寄りも生活が安定するわけです。地域の産業を創出し、経済的な安定を実現するための政策の展開を考えています。」
Q 全国の人が住みたい都市(まち)になりますね。
儀間
「言われたいですね(笑)。私が浦添を人に紹介するとき、最もやりいい小ささであると言うんですよ。理想的な小ささとでもいいますか、人口は11万人。今のところ毎年1000人の自然増です。
私の夢は大きい。夢がないと進歩はない。市民と夢を共有する都市(まち)にしたい。もちろん歴史、伝統のある都市(まち)です。市民は若いです。古さと新しさが混在しています。それこそが、新文化を創ることができるエネルギーだと思います。浦添にはそれができるのです。」
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