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企業特集 第15回 - フォーモスト ブルーシール株式会社

アイスがもたらす笑顔のために

ブルーシール、苅谷社長が語ってくれた
企業のあり方と社員へ抱く寵愛の思い。
創業60年を迎え、新たな羽ばたきを見つめながら
元気企業であり続ける秘策を明かしてもらいます。

取材・掲載日:2008/7/14

 読者の皆様へ、最後に素敵なプレゼントがありますので、特集記事をご覧頂いた上でぜひご応募ください。

沖縄を代表するハッピーフレーバー
創業60年のブルーシールアイスクリーム

 ブルーシールといえば、アメリカ生まれ沖縄育ちのアイスクリーム。沖縄生まれ沖縄育ち、生粋のウチナーンチュに愛される郷土の味。ウチナーンチュの思い出エピソードにも数多く重なる、たくさんの思いに抱かれたハッピーアイスクリーム。そして今や、日本各地にファンも多い、沖縄を代表するオキナワンフレーバー。

 フォーモスト ブルーシール(株)は、沖縄を代表する会社であること、さらに深くいえば沖縄を胸を張ってアピールできる企業であることを、沖縄全県民が戦後の復興、アメリカ世、本土復帰と、共に沖縄の紆余曲折を一緒に立ち会ってくれた大切な企業として認識しているブランドともいえます。

 沖縄の戦後復興は大動脈であった1号線沿い(国道58号線)を中心に浦添から発展して行きました。ブルーシールは1948年、終戦から3年後にアメリカ合衆国との契約のもと創業。そのアメリカ世を象徴するように浦添の城間から牧港を中心に宜野湾にかけて『マチナト・コマーシャルエリア』という外国商社資本の商業地域がありました。

1948年アメリカ合衆国との契約のもと
現在のうるま市具志川で創業

1960年頃 マチナト・コマーシャルエリア
にできたブルーシール本店(現在の牧港本店)

アメリカに生まれ、沖縄に育った
オキナワテイストのフレーバーがブルーシールです

1970年頃の牧港本店

 ブルーシールは、1963年よりそのエリアの中心に本拠を構え、マチナト・コマーシャルエリアのシンボル的な存在として人々より愛されていったのです。その後、株式譲渡など、いくつかの変遷を重ね、1996年(株)ポッカコーポレーションの傘下に入ります。今でも県民の心にアメリカ世と現在を結ぶことの出来る貴重なオキナワン・カンパニーとして愛され続けています。現在は、カフェスタイルパーラーやアメリカンスタイルレストラン、東京福生・渋谷・多摩、神奈川鎌倉にフランチャイズをオープンするなど、そのブルーシールブランドは全国区に広がりを見せ始めてもいます。

 「こんなに地域に愛されてきたこの会社を潰してはいけない」それが覚悟のひとつだったとおしえてくれた、苅谷社長。苅谷社長の配属は、名古屋に本社があるポッカコーポレーションに由縁します。通常約3年任期のところを、沖縄に転籍という沖縄永住を覚悟する思い切った形での社長就任の道を選びました。

社員誰一人として知らなかった
赤字という事実

 苅谷社長が一番重大だとする問題は、社員自身が「赤字を知らない」ということでした。ブルーシールブランドは確立されながらも、実際は6年間赤字が続き、すぐにでも改革が必要な状態だったというのです。

「組合が強く、業績公表ができない。しかし今、本音で話し、協力体制を整えなければチャンスは巡ってこない」社員に対するアクションは急務だったのです。

まず業績不振をありのまま社員に提示。社員からの反応は「まさか…」というもの。「まさかの事態は起きている、この赤字を消したいのだ」と、苅谷社長は正直に、真正面から向かい合うことを社員に求めました。

対話重視を信念とし、「一緒にやろう」「一緒に何とかしよう」と呼びかけたといいます。


 そうして改革を打ち出し1年半で黒字に転換、3年で累積赤字も消えたといいます。中小企業の多い沖縄において、このスピード感と達成度は参考になります。

ムダな社員はひとりとしていない
対話重視を実践し、改革に打ち出る

 苅谷社長行ったことは、まず123名の全社員との個人面談。個々に思うことなどを丁寧に聞き出し、問題の点と点とをつなぎ合わせていく作業を始めたといいます。骨の折れる時間ではありましたが、とても有意義で有益な展開をイメージできる時間だったのだとか。

 そして、経費的なムダを徹底的に排除していきました。例えばペン、社員の机の中で眠るペンを集めたというのです。それは段ボールいっぱいになり、小さなムダがどれほどのものなのかを実感させたといいます。ほか、ガソリンスタンドも数社・数カ所と契約。在庫管理を徹底しムダな冷凍庫を撤去することで、電気代は年間1千万円の経費削減を実現したといいます。

快活に話してくださった苅谷奨治代表取締役社長。人を大事にするその姿勢に、信用と信頼が寄せられているのだと実感しました

 また総務部や営業部など分散されていた事務所を、ひとつにまとめ、社長室という個室もなくしました。「社長室を開放した、金魚鉢社長室なんです。どこからも覗くことができる。社員は社長にノンアポ制、今、話したいことを話に来れるようにしています。社員との話を後回しにしては、それだけ問題の発見や解決の処方箋が遅れてしまうということ。」

 スケジュールも効率を求め、透明性と計画性を用いるようにしたといいます。全社員の月間および当日のスケジュールを、パソコン上で管理し閲覧できるシステムを導入。これは社員だけではなく、社長のスケジュールも全て閲覧が可能。「私がサボればバレるわけです。今日、こうしてインタビューを受けていることは、社員のみなが承知のことなんですね。」

 「社員にムダな人は、ひとりとしていない」と、確固たる強い響きで述べた苅谷社長。「ただ、ムダなことをしている人がいるだけ。そのムダなことを減らすことが、会社経営には必要なのだと思います」と、会社改革の第一歩を語ってくれました。


 「私は社員が大好きなんですね。社員一人ひとりの個性を愛しく思っています」と満面に笑み。「社員がかわいいし、成長し続けてほしいと思う。共通の目的を持ち、通じ合いたいと思う。だから対話重視でありたい」と言葉を続けます。対話重視とは「雰囲気で、なんとなくわかるのではなく、頭できちんと理解を深めること」といい、「私の役目は、目的を明確にしてあげること。とても単純明解なこと」と理路整然と語ります。

ブルーシール直営店とFC店
個性を発揮するオリジナルパーラー形態

 社内改革は進み、業績は上昇安定へと辿ります。「成績が変わると社の雰囲気も明るくなる。この雰囲気がまた、新たにプラスな方向へと向けていきますね」と苅谷社長。企業にとって黒字経営は、新たなビジネスチャンスを切り拓く糧ともいえるもの。現在、ブルーシールはさまざまな展開を見せています。

リックビット国際通り店

 今年4月には、那覇・国際通りにクレープとタピオカ、アイスクリームというスイーツを極めた「リックビット国際通り店」をオープン。話題を集めています。

 また全国展開を視野に入れたFC(フランチャイズ)店1号となる、東京・福生店が2006年にオープン。2007年には神奈川・鎌倉腰越店、2008年に東京・カフェ渋谷、カフェクロスガーデン多摩店と、関東地区に4店舗をオープンさせています。ビルインのカフェスタイルと、海沿いなどロケーション重視の沖縄スタイルというブルーシールテイストを昇華させています。

 「ただのアイスクリーム屋としてではなく、また沖縄ブランドとしての認知力だけではない。ブルーシールの歴史を尊重してくれたという点が、FC店オープンの決定打でした。今後もポリシーに重点を置き、全国展開を検討して行きます。1店舗ごとを大切にしたいですね」


クレープ

タピオカとアイスクリーム

オキナワテイストのフレーバーを全国でも。FC店として県外での出店となった
パスタなどフードも楽しめるカフェスタイルの渋谷店と多摩店。

横田基地のそばにあり沖縄とどこか似ている福生店と、海沿いにある鎌倉店は沖縄スタイル

 また苅谷社長はこうも語ってくれました。「ブルーシール直営店は、小さなスペースで憩えるパーラー。アイスあり、パスタやサンドの軽食あり。家族で気軽に楽しんでいただける存在であり続けたいのです。」

共に育つ、共育
アイスがもたらす笑顔にために

 ブルーシールは今年、60周年という節目を迎えることもあり、大きく社会への貢献をも考えたいと様々な60周年記念事業を展開しています。

 そのひとつが、ジュニア育成。テーマは「共育」。教育ではなく、共に育とうという共育にこだわっています。

 サッカー、野球、ゴルフなどのスポーツ支援を通して、子どもたちの成長と共に、ブルーシールという企業自らも成長したいという思いを込めているといいます。

 苅谷社長が感動したというシーンが、共育にもつながっていると教えてくれました。

「試合が終わって、アイスを手渡すシーンを見る機会があったんです。手から手へとつながるそのとき、子どもたちから何ともいいようのない笑顔がこぼれる。その笑顔を見た大人だって笑顔になる。何度見ても感動します。この感動のお返しをしたい」

 アイスクリームは子どもたちの笑顔を引き出す、ハッピーアイス。元気いっぱいがんばった子どもたちへの、最高のねぎらいのごほうび。

「笑顔が忘れなくてね、私たちは“アイスがもたらす笑顔にために”これからもがんばりたいですね。」


豊見城少年野球大会

豊見城少年野球大会

ブルーシール Tシャツデザインコンテスト

 人材育成の一環として、中学生を対象にしたTシャツデザインコンテストも開催(応募期間2008年9月5日まで)。
 中学生自身がデザインすることに興味のある自身の可能性を感じ、デザインする楽しさを体感してほしいという願いが込められています。どんな作品が飛び出してくるのか、とても楽しみです。

社員によるお出かけ絵本の読み聞かせ
大きな手作り絵本から生まれる心の交流

 クリスマスイベントから生まれたという、コミュニケーションイベント「巨大絵本の読み聞かせ」は今や社員の楽しみの一つだともいいます。

 クリスマスイベントとして、幅2メートル、高さ1メートル50センチもの大きな大きな絵本が完成しました。アイスクリームが登場する、ハートウォーミングなお話です。高見知佳さんが読み手となった第1回目が好評で、リクエストに応えて出張読み聞かせ会を開催するに至ったといいます。第2回目からは、社員のうちだれかが読み手を引き受けての開催です。

 「緊張もするでしょうが、出張読み聞かせ会に出かけたスタッフは、みんな笑って帰ってくるんですね。子どもたちの笑顔がうれしかった!みんなうれしそうでした!そんな喜びの感想をお土産に抱えてね。笑顔はなによりのごほうびですね。」

 今後も保育園などから要望があれば対応していく予定だそう。どんな物語が生まれ続けるのか、どんな笑顔がこぼれるのか、想像しただけでわくわくを生み出します。

おきなわファイバープロジェクト
健康フレーバーアイスで発信中

 元気企業・ブルーシールの取り組みには、「おきなわファイバープロジェクト」への参加もあります。厚生労働省発表による摂取を増やすべき栄養素のひとつ、食物繊維を取り上げた取り組みです。沖縄県内9社の企業が自社製品を通し、食物繊維で健康と長寿に取り組むのがおきなわファイバープロジェクト。

食物繊維の入った
シークヮーサーアイス

 ブルーシールは、シークヮーサーアイスをデビューさせています。乳由来の原料を使わず、シークヮーサー果汁を配合して、食物繊維を摂れるよう工夫。またシークヮーサーのほかに、鉄分豊富なアサイにも着目するなどヘルシーな商品開発を進めています。

 苅谷社長は「おいしいだけではなく、体重や体調を気遣う人にもやさしいアイスクリームを作りたい」といいます。カロリーオフのアイスや、食事制限の多い病院食にも対応できるようなアイスクリームを。献血の後、鉄分補給のためにアイスクリームを食べられるとうれしいかも。


 「アイスクリームがもたらす可能性は、まだまだ多くあると思っています。アイスがもたらす笑顔のためにも、私たちは成長し続けたい。私は人と理解しあい、分かちあい、喜びを共有することが大好きですから、これからもかわいい社員たちと、そしてお客さまたちと繋がり続けていきたいですね」 快活に笑い、少しずつ軌道修正しながら歩む苅谷社長、そしてブルーシールの企業姿勢は印象的でした。

さて、最後になりますが、苅谷社長に当サイトビジネスモールうらそえについてコメントをいただきました。

コミュニケーションツールとして最高の
「ビジネス・モール うらそえ」の役割

「浦添の中のいい企業が紹介され、多くのビジネスヒントが隠させていると思っています。一企業の優秀な取り組みを知ることができるだけではなく、私たちブルーシールの情報も発信することができる。

 特に個人事業所などにおいては、情報が少ないのが現実です。 このサイトで知ることができる意味は大きい。共に成長しあえる循環型システムができあがっていると思います」

フォーモスト ブルーシール株式会社

【本社所在地】 沖縄県浦添市牧港5丁目5番6号
【電話】 098-877-5103(代表)
【企業情報】 企業情報ページはこちらから
【URL】 企業ホームページはこちらから

【マップ】 

●読者プレゼント!  (応募終了しました)

「ビジネス・モールうらそえ」をご覧の皆様へ
フォーモスト ブルーシール株式会社さんのご好意により、抽選で
・ブルーシールオリジナル 60周年記念 壁掛け時計 を1名様
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ご希望の方は住所・氏名・年齢・職業を明記の上、b-mall@yuinomachi.jp までどしどしご応募ください。
締め切りは7月31日です。(文字化けする方は こちらから 必要事項と「ブルーシール 読者プレゼント」と記入の上ご応募ください。)

ブルーシールオリジナル
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掲載日:2008/7/14

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