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トップ >> エッセイ >> 空の楽しみ(1) 〜飛行場の楽しみ〜

エッセイ - 空の楽しみ

井上徹英 (いのうえてつひで)

(浦添総合病院 院長)

山口県岩国市出身 医学博士
広島大学医学部卒業後、救急医、麻酔科医として北九州の病 院に長く勤務し、平成15年に浦添総合病院に赴任。院内改修 事業や救命救急センター創設、ヘリ事業などに携わり、副院長 を経て平成20年4月に同病院院長に就任。
趣味は日韓問題研究や現代思想史研究で、猪木正道氏の評 伝などの著書がある。

飛行場の楽しみ

 仕事柄出張が多く、年から年中飛行機に乗っている。沖縄から出る手段としては通常はこれしかないので仕方がない。

 これだけ乗ると飽きそうなものだが、飽きるどころか、飛行場に行くと、あれはボーイング737、こちらは777、あれはエアバスのA 320、といつもキョロキョロしている。といってもマニアのように非常にこまかく把握しているわけではない。767−300と777は機体とエンジンの大きさが異なるのだが、形が似ているので遠くから見ると瞬時には分からないのが少々悔しい。ドルフィンの愛称で親しまれている737は、機体を伸ばしたストレッチ型はあるが、概してずんぐりむっくりで小さく、初代はともかく、後発機はエンジンの吸気口が全ておむすび型をしているので絶対に間違えることはない。737シリーズでも700以上になると両翼の先端が立っているウィングレット方式なので、「あ、これは737の新しい機体だ」というのがすぐに分かる。全く新しい機体はコストが嵩むため、航空機の製造会社はベースを決めて改良型という形で開発を進めることが多い。改良機は本体の後に300とか700とかの番号で示すわけである。ちなみに、新しく開発され近々に市場に出る機体としてはボーイング787がある。これは767の後継機として機体を軽くして大幅に燃費を向上させており、全日空も既に導入を決めている。ただ、新規だけにさまざまな問題が生じたりして導入が遅れに遅れ、まだ見ることができないのが残念である。

DHC-8-Q402

 ボンバルディア社のDHC−8−400(改良機としてQ402がある)を那覇空港で見ることはほとんどないが、スマートで美しい機体のプロペラ機で、ブーンというターボプロップ特有の飛行音で舞い上がる時は何とも言えない爽快な気分になってしまう。この機体はよくトラブルを起こすのではなはだ不評なのだが、それを心配する知人にある時、「いや、全く心配ない。この前もエンジンの一つが止まっていたが、片方のプロペラだけで全く問題なく安全に着陸している」と擁護してあきれられたぐらいのシンパである。 ちなみに、兄弟分のDHC−8−300は久米島航路などで飛んでいるので那覇空港でよく見る。こちらは機体が短くあまり美しいとは言えない。


「U-PITS」と井上氏

 那覇空港には非常に珍しい立て看板があるのを皆さん御存知だろうか。それは「飛行機に注意」という看板である。どこにあるかというと、飛行場の北端で滑走路を車両が横切るところにある。ヘリが着陸するスポットは旅客ターミナルから滑走路をはさんで反対側にあるため、ヘリのところに行くには瀬長島から大回りするか滑走路を横切る形で車両は移動しなければならない。着陸寸前の飛行機とクロスするのはさすがに危ないので、北側から飛行機がアプローチしている時は通り過ぎるまで待たなければならないのである。ここで待っている時にジャンボ、すなわちボーイング747の巨体が迫ってくるのを見るのはまさに壮観で、マニアにとっては垂涎に違いない。もちろん、通常はここに入ることはできず、ヘリ事業に携わるがゆえのささやかな特権を享受している次第である。ちなみに747はロングセラーで改良型も多くある。エアバスの客室が2階建て仕様で収容能力が747を凌駕するA380を市場に出したため、今後747を擁するボーイング社がどのような戦略をとってくるか楽しみである。


 縁あってエッセーを依頼され、私ごときでと躊躇したものの、元来が書きものが好きなのでお引受けすることにした。折に触れ御笑覧頂けたら幸いである。

>> 【エッセイ】 空の楽しみ 第2回

>> 【エッセイ】 空の楽しみ 第3回

>> 【エッセイ】 空の楽しみ 第4回

>> 【エッセイ】 空の楽しみ 第5回

>> 【エッセイ】 空の楽しみ 第6回

>>【特別インタビュー】 救急ヘリ搬送システム「U-PITS」 2007年6月掲載

掲載日:2008/10/2

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