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新玉の年に思うこと 下地 節於(浦添市 企画部長) ビジネス・モール うらそえ 開設満8周年記念特別企画『投稿エッセイ』「大好きな沖縄へのメッセージ」

下地 節於 (しもじ せつお)
(浦添市 企画部長)

1959年宮古島市下地字上地出身
大分工業大学航空工学科、琉球大学短期大学部法経学科卒業
土木設計コンサルタント勤務を経て浦添市都市開発部区画整理課に就職
都市建設部参事、都市建設部長、総務部長を経て2014年企画部長を拝命

平成27年 賀正
新玉の年に思うこと

毎年そうであるように、イルミネーションがまちを彩り始めると「今年こそは、今年こそは」との思いで過ごしてきた日々を振り返り「来年こそは」との新たな思いと決意の中で新玉の年を迎える。

そして、今年も多くの方々が初日の出と初詣でに出かけ、思いと決意を胸に両手を合わせ、まずはこの一年の健康と家内安全、秘めた思いと決意が成就するよう何度も心の中でつぶやいたことだろう。それぞれの思いが交錯する中で2015年も明けた。

アベノミクス効果で経済状況は回復してきているとの期待感をもった報道がなされる一方、為替問題や非正規労働者の構造的な問題など、格差社会と雇用環境の課題解決に向けた納得できる市民感覚での解決策は示されないが、「思いがあるから夢があり、夢があるから頑張れる。」との強い思いと意志を大切にしていきたい。

世界的に有名なアニメーション・キャラクター、ミッキーマウスの生みの親であり、ディズニーランドの創設者でもあるウォルト・ディズニーは「夢見ることができれば、それは実現できる」と言った。キャンプ・キンザー返還と西海岸海域。どうやって原石を磨き付加価値を高めていくのか。それぞれの思いを大切にしながら新玉の年の新玉の月に思いを馳せてみたい。

 

イノーと波の花

着陸態勢に入った機内から本島の影が見え出すと頃になると、眼下には群青色の海が見えてくる。さらに高度を下げていくと、島を取り巻くリーフに押し寄せては散っていく波が、波の花となっていく様子が見て取れ、海の色も群青色から次第にコバルトブルーや緑色に変化して見えるなど、透明感と共に珊瑚礁の織り成すイノーの美しさと生き物たちの生命力の強さを改めて実感する。
そして、珊瑚礁に守られ育まれてきたこの小さな”島”のこれまでとこれからのあり方を考えさせられる。

昨年11月にアメリカのオーランドで開催されたIAAPA主催のAttractions Expoに参加する機会を得た。テーマパーク関連のアトラクションを中心に、コンサルタントを含め一千社余りが出展していた。宜野湾コンベンションセンターの10倍はあろうかと思えるオーランドのオレンジカウンティー・コンベンション・センターでは、関係者が館内の移動をセグウエイで時速20キロ程のスピードで気軽に楽々と移動している光景には唖然とした。

こうして博覧会で見聞したものの多くが、これまで経験してきたことのない規格外であったことは、改めて直接体験することの大切さに気づくと共に、キャンプ・キンザーを含めた西海岸海域のその潜在的可能性について考えて行く際の、多くの示唆を感じ取ることが出来た。

その示唆から気づいたことの一つが、イノーと波の花を活かした西海岸とキャンプ・キンザーとの一体的開発をめざすことこそが、地の利を最大限活かした利益の最大化を図ることになる。という確信を抱いたことである。

西海岸とキャンプ・キンザーをどうイメージするか

西海岸とキャンプ・キンザーどうイメージするのか。とは、キャンプ・キンザー返還後の跡地利用計画との海域の一体的利活用を含めた開発のあり方を考える。という事である。

キャンプ・キンザー返還は、地主が自らの土地の絶対的所有権を取り戻し、自由に使用収益が可能な状態に戻すことである。

では、なぜ、これだけキャンプ・キンザー返還が注目され、そして期待されるのか。
それは取りも直さず、キャンプ・キンザー返還のもたらすポテンシャルの高さにある。
そのポテンシャルこそが人口減少と少子高齢化が進展する中にあってさえ、これかの県経済は勿論の事、本市の持続的発展を可能にすることでき、公共の利益の最大化を実現可能にする”何か”を持っていることに尽きるのではないか。

その”何か”とはなんだろうか。

キャンプ・キンザーは約2.5キロもの海岸線を有する。この海岸線こそは、西海岸海域との一体的開発計画をする際、潜在的価値を左右する最も重要な要素になってくる。

沖縄県知事公室基地対策課が毎年発行する「沖縄の米軍及び自衛隊機地(統計資料集)」によると、273ヘクタールの敷地を有するキャンプ・キンザーには、現在約2800名の地主がいる。地主の数だけ跡地利用計画に対する思いも錯綜することであろうし、西海岸海域については、浦添埠頭の公有水面を管理し、市益は基より県益の最大化をめざした取組を沖縄21世紀ビジョンに基づき推進して行きたいとする港湾管理者と、地元自治体・浦添市の思いが交錯する。

つまり、西海岸海域とキャンプ・キンザー跡地の一体的利活用を含めた開発のあり方を考え場合には「個」と「公」の価値が混在することになる。この二つの価値をどうやって調整し価値の最大化を図り新たな価値を創造していくのか。そのことこそが、西海岸とキャンプ・キンザーどうイメージするのか。としたことの本質であると考える。

そして、本質を考える場合の視点の一つは、浦添の意味を考える。ということであり、二つ目は、沖縄観光の意味を考える。三つ目は、何を創るのではなく、なぜ、創るのか。を考えることではないのか。

これら三つの視点の意図するところは、一体的計画・開発利益を単に波及効果としてではなく、乗数効果として実現すること。である。そのためにも、プロトタイプから持続性は生まれない。とした明確な機軸を持って、科学的思考と協働のまちづくりの中で利害調整をしながら政策を練り上げていく地道な取組が求められているものと考える。

現段階でのキャンプ・キンザー全面返還予定は、国道58号線沿いに広がる倉庫群一体が返還される2025年またはそれ以降となっている。その間にあってさえ、進めていかなければならない、取り組まなければならない課題等が山積する。

ウォルト・ディズニーはこうも言っている「夢をかなえる秘訣は、4つの『C』に集約される。それは、『Curiosity・好奇心』『Confidence・自信』『Courage・ 勇気』そして『Constancy・継続』である。」と。西海岸とキャンプ・キンザーどうイメージするのか。今、まさに調整役としての行政の本気度が問われている。

キャンプ・キンザーにテーマパークの可能性は・・・

全米第2位の会場規模を誇り、それに伴う近接宿泊施設は11万室となり、10万人規模のコンベンションを催行出来る、フロリダ州オーランドのオレンジカウンティー・コンベンション・センターと、周辺の土地利用計画のあり方から、キャンプ・キンザーにおけるテーマパークの可能性について考えてみたい。

オーランドは沖縄とほぼ同じ緯度に位置し亜熱帯気候に属する。そのオーランドの最大の魅力はなんと言ってもディズニーワールドやユニバーサル・スタジオ、シーワールドなど、冠たるテーマパークの存在が上げられるのではないか。

それぞれのテーマパークは施設の内容で競合することなく独自色を出しながら、他のテーマパークと”同質化”するのではなく、徹底した”差別化”を図ることで、それぞれの施設が結果として集客と創客をすることでの乗数効果を生み出している印象を強く持つ。

コンベンションを核として宿泊施設が整備され、さらにその周辺にはテーマパークが整備されるなど、全てがほぼ30分圏内の同心円状の連担した軸線上に存あり、必然的に乗数効果が担保できる仕組みになっている。

現在、県内でも観光客誘致に大きく期待されるとして、MICE施設の誘致が豊見城市と西原町・与那原町が一体となって繰り広げられている。

現在の誘致合戦を概観していると施設建設が目的化していて、MICEをどのように利活用して観光客1千万人、さらに基地経済から脱却した県経済のエポックとするのかなど、真に観光と経済政策の戦略的政策となっているのか否か、明確でないように思える。

オーランドを成功事例として学ぶならば、現在、県はMICE建設に向け動きだしているが、計画するMICEを核に関連する各施設は速達性を有する交通網で繋がり、”同質化”することなく差別化による乗数効果は期待できるのかなど、一抹の不安がよぎる。

一方、現在名護市と本部町においてUSJ進出が報道されている。MICE誘致自治体から80キロ以上も離れたテーマパークをMICE計画とどのように軸線上に関係付け、乗数効果を期待するのかなど課題は少なくないものと考える。

オーランドのテーマパークは海に面してない。にも関わらず自然の海に面しない不利益性などまったく感じることはない。徹底したエンターテイメントの追求と差別化により、その課題を克服しているように感じた。

翻って西海岸海域とキャンプ・キンザーの一体的開発によるそのポテンシャルは県内いずれの観光地よりも高いことは、議論する余地さえないほどに絶対的である。と確信する。そのポテンシャルの高さこそは、空港から20分、港湾から10分圏内に位置するばかりか、サンセットを望むことができる最後の広大な都市空間と海域を有する地理的優位性にある。

つまり、宿泊施設とテーマパークを含めたエンターテイメント機能、アクセス機能など、観光に必要なすべての可能性を持っているのは、西海岸海域とキャンプ・キンザーだけである。観光客1千万人、基地経済に替わる県経済のエポックとなるすべての要素が、キャンプ・キンザーと西海岸海域には内在している。
そして、その内在する可能性を実現化へと導く推進役として、ワンコインによる珊瑚バンク(コーラルバンク)設置による海の庭園・シーガーデンをめざした取り組みを提案したい。

しかし、忘れてはならない最も大切なことは、約2800名の地主の思いに寄り添い、その心のひだに触れ、価値を共有しながら、キャンプ・キンザーと西海岸だからできる”何か”を考えていくことである。そして”何か”の具体的事例としてテーマパークの可能性を含めた、宝石の原石の磨き方をしっかりと考えていきたい。

最後に、ウォルト・ディズニーの言葉から「夢を求め続ける勇気さえあれば、すべての夢は必ず実現できる。いつだって忘れないでほしい。すべて一匹のねずみから始まったということを。」そして、お寺の説教から「初日の出、拝む心でこの一年。」国は違えども言葉には合い通じる何かがある。合掌。

 

ビジネス・モール うらそえ 開設満8周年記念特別企画『投稿エッセイ』「大好きな沖縄へのメッセージ」

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