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おから商店(ヴォイス・アンサンブル・ユニット )
歌:テノール:田里直樹 バス:前川佳央 バリトン:具志史郎
伴奏ピアノ:船越しのぶ
まずはおから商店とはどういったユニットなのか、ビデオでご覧ください。
(プロフィール)
オペラやクラシック界で活動していた留学経験もある声楽家3名と演奏家が、気軽に楽しく音楽を聴いてもらいたいと2008年に結成。舞台のない小さな会場にも出向き「普段着のままのコンサート」をコンセプトに、オペラの話や海外でのエピソード、普段の何気ない話などを交えながら、童謡や唱歌、流行歌などを披露している。
クラシックまたオペラの世界で
その声を響かせている3名の声楽家と、
声楽や器楽など幅広い分野の伴奏などで
活躍するピアノ演奏家が
「おから商店」という、
摩訶不思議なネーミングで活動中です。
もっと気軽に、
もっと楽しく音楽を聴いてもらいたいと、
「普段着のままのコンサート」がコンセプト。
そのステージは
オペラや童謡、唱歌、ジャパニーズポップスなど
ジャンルを超えた音楽を豊かなハーモニーで紡ぎ
叙情豊かな音楽の世界へと引き込んでくれます。
歌と絶妙なトークによって観客は笑い、
心を浮き立たせ、ときに涙を流してしまうほど。
歌で、心が潤っていくことを実感させてくれるのです。
そんな素敵な歌を届ける彼らによる
「ビジネス・モールうらそえ」の3周年記念コンサートが
9月21日(祝・月曜)に開催されます。
コンサートに向けた思いや
4名の音楽家の軌跡などを尋ねることができました。
「おから商店」が実感させてくれる
クラシック&オペラも身近で楽しい音楽!
歌って、わくわくする!
歌って、心が晴れやかに、浮き立つ!
歌って、心に染みる。心を洗い流してくれる。
そんな楽しい感覚を実感させてくれるのが、ヴォイス・アンサンブル・ユニット「おから商店」です。メンバーは、クラシック&オペラ界で音楽家=音楽のプロとして活動する4名。4名はそれぞれが海外留学などでもその視野を広げ、多くのクラシックコンサート、オペラなどにも出演し、高い評価を得ている音楽家です。
ガラスサロン・さめじま にて
歌をもっと気軽に、楽しく聴いてもらいたいと結成され、舞台のない小さな空間にも出向き「普段着のままのコンサート」を実行中です。楽しさを弾むように表現しながら歌う彼らの姿はとても印象的で、クラシックや音楽コンサートに全く興味のなかった人にも「音楽は楽しい!」「クラシックやオペラは意外と身近なのかも!」と、音楽への間口を広げてくれるのもうれしいところ。
ギャラリー「しびらんか」 にて
先日行われた小さなギャラリーでのコンサートでは、声量に圧倒される場面あり(マイクを使わないのです!)、オペラの1シーンのドラマに興味を抱く場面あり、トークに笑いが起こり、また歌に癒されすすり泣く声も漏れてくる場面もありました。
一番高いパート、テノールを歌う田里直樹さんは、「それが、おから商店。ハンカチを取り出した方を見つけたときは、ちょっとびっくりしたけれど、聴いてくれる人の心に届くよう選曲をしているからかな?」と穏やかに語られました。
ピアノ伴奏の船越しのぶさんは、「おから商店らしい選曲で歌を歌い、癒していきたい」と語ります。
おから商店らしい選曲で
音楽の楽しさを共有
おから商店らしい選曲とは、ジャンルを問わない選曲。専門であるオペラは解説や聴き所・見所なども盛り込み、わかりやすく披露。J-POP(ジャパニーズポップス)など流行歌や世界の名曲、童謡や唱歌など、さまざまな曲を、豊かなハーモニーで聴かせてくれるのです。
バリトンの具志史郎さんは「唱歌は、昔、学校で習ったくらいだったけど、最近、とてもいいなと感じる。直接心に入ってくる。ご年配の方々には懐かしさなど、もっといろんな思いがあるような気がしますねぇ」
それを受けて一番低い音域のバスを担当する前川佳央さんは、「唱歌は見向きもしていなかった曲。でも、4名で歌うとすごく楽しい!」
4名全員が深くうなずき、「お客様目線の選曲」と繰り返しました。
クラシック界のコンサートは、研究・研鑽成果を発表する場であり、巧みな技術を盛り込むことが前提。観客はもちろんのこと、音楽界に向けてのアピールも重要なところです。でも、おから商店は、そういう既成概念をとっぱらい、自由に楽しむこと、聴いてくれる人が楽しむためのものであることが基本のよう。異端児といわれればそう、でも「おから商店」では純然たるクラシックの世界とは違う、おから商店ならではの楽しさを追求しているようです。
おから商店は実験的!
4名の音楽の自由な感覚。
だからこそできることがある
田里さんはクラシック&オペラの世界で活動する4名にとって、「おから商店は、実験」と表現しました。
10年ほど前から、音楽を自由に楽しむためのアンサンブル構想を持っていたという田里さん。多角な角度で音楽を楽しめる声楽家を求めつつ、イメージをふくらませていたのだとか。
クラシックになじみの薄い人にも音楽の楽しさを届けること。正規のクラシック&オペラコンサートではできないことを試みてみること。アンサンブルとして、つくり出す音や世界をどうつくり出していくのかを楽めること。
田里直樹さん:
高校時代は軽音学部で
バンド結成、一世を風靡!?
音楽は大好き、でも音楽の授業は嫌いだったという田里さん。小学校で鼓笛隊、ピアノ教室にも通う、中学時代は吹奏楽部にも所属するなど、クラシックに馴染んでいたといいます。それがひょんなきっかけで、普天間高校の軽音楽部に入部。フュージョンやロック、フォークなどのバンドを組み、ボーカルやシンセサイザー、ドラムなどを担当していたといいます。「バンドは最高!だった」と軽快に笑い、バンドマンとしてプロになることを考えていたといいます。プロになるためにも音楽の基礎ともいえるクラシックをやってからでも遅くないと考え、音楽大学へ進学。そこで歌・セリフ・演技を声楽家が行うオペラに出合いました。勉強をするうちに、オペラが楽しくなってきたそうです。東京でプロとして活動していましたが、沖縄に活動の場を移し、今に至るそうです。
前川佳央さん:
一人よりチームがおもしろい
オペラのパフォーマンスに没頭
小さな頃から、テレビに張り付いて聴くくらい音楽が好きだったという前川さん。浦添の内間小学校でシンセサイザーオーケストラに参加、中学校で合唱とブラスバンドでクラリネットを担当。それが歌一辺倒になったのは、停電しても、楽器や機材がなくても、歌ならどこでもいつでもできると思ったから。一人ひとりの単音が重なり合い、一つのメロディを奏で、ハーモニーをつくり出すことに心酔したそう。
「いろんな人が集まって、ハーモニーを生み出す。それが好き。チームが大好き!」ただ芸大進学の誤算は、音大などの専門分野では、合唱ではなくソロの声楽家を育てる場所であったということ。オペラも大嫌いだったといい、奏でることを欲していたといいます。それがオペラ「フィガロの結婚」で、オペラに開眼。日常生活ではできないことを演じること、自分ではない自分を発見していくことに、おもしろさを感じたそうです。
「オペラをやってるときの自分は、確実に生き生きとしていると思うなぁ」
具志史郎さん:
HIP HOPにDJ、BMX、クラシック
秘めたギャップがエッセンス
具志さんは現在浦添の牧港に住んでいらっしゃる浦添市民期待のオペラ歌手でもあります。
お父様が音楽が大好きで、お兄さんにはピアノ、具志さんには7才の頃からバイオリンのレッスンをつけたといいます。中学生になりサッカーやバレー部に所属。そこで応援団として張り上げていた声を聞きつけた合唱部の先生にスカウトされ、ヘルプ部員として合唱に参加したそうです。自らをベスト10世代だといい、お風呂場をステージに歌を歌っていたという具志さんは、合唱との出合いでハーモニーのおもしろさに初めて触れたといいます。その後、興南高校の声楽コースに誘われ進学、学校でクラシックを学びます。しかし、具志さんはそれだけの触手ではなかったよう。RUN DMCなどラップと呼ばれるジャンルの音楽と出合い、ダンスとDJプレイに夢中に。今でいうクラブ、当時のディスコのDJ見習いの経験もあるというから驚きます。自転車競技のBMXフリースタイルにも夢中になっていたそう。
そんな多趣味な中、たまたま自身のもとに残ったのが歌を歌うこと。高校1年生のときに聴いたテノール歌手、パパロッティの声に感銘を受け、発声に興味を持ったことも、今思えば大きな出来事だったのかもしれないといいます。
船越しのぶさん:
音楽は音楽!
導かれるべくして鍵盤の前に
船越さんは、同じピアノ教室に通っていたという田里さんによると、小学校の頃から格段の違いがあるピアノ演奏者だったとか。小学校1年のころから始めたというピアノ、漠然と「音楽は私のもの」と思っていたといいます。小さな手からこぼれる音は、今と変わらず、音楽が大好き、奏でることが大好きと愛にあふれたものだったことを想像させてくれます。小学校で誕生したオーケストラにフルートで参加、中学時代はサックス、また多くのクラシック音楽家を輩出している「沖縄ジュニアオーケストラ」にフルートとピッコロで参加。
高校時代には歌を習い始め、バンドにキーボードとしてメンバーに加わり楽しんだそうです。そんなふうに音楽に触れ続けている船越さんが、実は音楽に対してショックを受けたのは小学校の頃。「クラシック以外は音楽じゃない、という言葉にショックを受けたんです。私は松山千春も大好きだったから。音楽は音楽!そう思ったんです」この感覚が今も尚、音楽を楽しむ船越さんを支えているようです。
音楽の実験を自由にする!
本当にやりたいことを
完成させてから披露したい
4名のバックボーンにあった、いろいろな音楽の楽しみ方を経験してきたこと。そこに田里さんは、音楽は音楽、音楽を素のまま楽しめる感覚を感じ取ったようです。さりげなく会話を重ね、田里さんの中に「こいつ、おもしろい」「こいつ、変!」と、印象に残っていったのだとか。共に音楽の実験を楽しみたい!そんな欲求を刺激したようです。
クラシック界ではみられない、アンサンブル形式のおから商店、結成。
「途中でやめてもいいから、やってみよう。楽しんでやってみよう」そうしてスタートしたと語る田里さん。ただ「やるからには、本当にいいものをやりたい。一流の歌を歌う二人と一緒にやるのだから、本当に納得して、きれいに完成させてから披露したい、それだけは思っています」
また、船越さんは「拍手をいただいて、楽しい!拍手が欲しいのかといわれればわからない。でも、もらえるとすごくうれしい。この感覚は……」と、このタイミングで4人そろって「おから商店ならでは!」と笑いました。
「素直に喜べるんだよね」と田里さんがいえば、前川さんが「共有している感覚がたまらない。しかされ上手(豚もおだてりゃ木に登る)だからさ!自分たちが楽しんでいることを、楽しんでいる人がいるというのはうれしい」、具志さんは「いい演奏をやるプレーヤーがいれば、歌うって楽しそう!おから商店かっこいい!とか、クラシックを楽しめるきっかけや刺激にもなるかもしれない」
『ビジネス・モールうらそえ』の
記念コンサートでは
細胞をふるわせる歌を!
さて、『ビジネス・モールうらそえ』の開設満3周年を記念したコンサートは『敬老の日・スペシャル謝恩コンサート』として9月21日に“てだこホール”市民交流室にて開催されます。
「いつも通り、一生懸命。全力!」「常に新鮮で、実験的」と、楽しむ姿勢はいつも通り。プログラムは『敬老の日』にも合わせて、お年寄りが喜ぶ唱歌を多く盛り込む予定だそうです。
船越さんは、細胞と音楽で表現してくれました。「人間は細胞が記憶する心地いい音楽を、一人ひとり持っているんですって。その音楽はみな、違う。だから、一人ひとりに向けた音楽を奏でたい」
いろんなジャンル、いろんな曲を、おから商店らしい温かなピアノの音と、男性の声楽家3名による美しいハーモニーで。自分自身でもまだ気づいていない、細胞が記憶している歌に出合えたら、こんな幸せなことはありません。
そうそう、「おから商店」という摩訶不思議なネーミング。これはステージの上のおしゃべりでおしえてくれるはず。栄養満点のおから、音楽の栄養も満点です。
このコンサートは『NEW!ビジネス・モールうらそえ』の地域貢献を兼ねた開設3周年記念事業『敬老の日・スペシャル謝恩コンサート』として催されます。
『おから商店』さんの素晴らしいピアノと三人の男声アンサンブルの心地よいハーモニーで、お年寄りが幼い頃に口ずさんだ懐かしき唱歌を中心にオペラから流行歌まで涙で潤す癒しの時間をあなたの心へお届けいたします。
皆さんお楽しみに ・ ・ ・。
緊急告知!!ビジネス・モールうらそえ』開設3周年記念事業『敬老の日・スペシャル謝恩コンサート』
先着順です!詳しい内容はこちらから>>
◆田里 直樹 (テノール)
普天間高等学校卒業 昭和音楽大学卒業 同大学専攻科修了 (財)日本オペラ振興会オペラ歌手育成部修了
峰井浩子 五十嵐喜芳 森敏孝 山田祥雄 呉恵珠 C.モルガンティ M.ゴヴォーニの各氏に師事
98年、新国立劇場において日本オペラ協会公演「春琴抄」(久助)に出演した他、「ディドとエネアス」(エネアス)「フィガロの結婚」(バジリオ)、「マクベス」(マルコム)、「蝶々夫人」(ゴロー)、「太陽への門」(ニヨー)、「高山右近」(原マルチノ)等に出演
オラトリオでは、ベートーヴェン「第九」、ヘンデル「メサイア」、モーツァルト「レクイエム」などのソリストとして出演
また藤原歌劇団、日本オペラ協会の合唱団員として多くの舞台に出演
昭和音楽芸術学院オペラ科非常勤講師 (財)日本オペラ振興会オペラ歌手育成部助演などをつとめ多くの指揮者、演出家のもとで後進の指導にあたる。 留学 1998年 イタリアに渡り研鑽を積む。
2000年に帰国し活動を沖縄へ移す。 2005年イタリア・ルッカにおけるプッチーニフェスティバルにおいてオペラ「蝶々夫人」(ピンカートン)に出演し地元の歌手と競演した。 2007年 ソロリサイタル開催
第4回世界のウチナーンチュ大会ではテーマソング「ニライへの風」(アコースティックVar.)をCD録音、閉会式に出演
現在、藤原歌劇団準団員 沖縄県立芸術大学非常勤講師 近畿大学九州短期大学非常勤講師 育成保育カレッジ講師 コールよなばる指揮者
◆具志 史郎 (バリトン)
1973年、那覇市に生まれる(現在浦添市在住)。沖縄県立芸術大学声楽専攻中退。在学中、同大学開学10周年記念公演オペラ『フィガロの結婚』のアルマヴィーヴァ伯爵役でオペラデビュー。
1998年キプロス共和国にて同政府主催のキプリア祭オペラ『フィガロの結婚』でも同役で出演。
2000年第6回おきでんシュガーホール・新人演奏会オーディション入選。第33回新報音楽コンクール声楽部門第1位。 2001年愛知県にて県文化振興事業団・ニッセイ文化振興財団主催オペラ『夕鶴』に運ず役で出演。同年、グルッポ・ムジチーニ主催オぺラ『ラ・ボエーム』にマルチェッロ役で出演。
留学 2003年イタリア(ミラノ)に渡り研鑽を積む。2007年森の音楽館主催オペラ『愛の妙薬』にベルコーレ役で出演するなど数多くのオペラ出演をはじめ、ベートーベン『第九』等のソリストや各種コンサート、学校公演等において県内外で幅広く活躍している。これまでに声楽を花城卓司、久場正勝、宮原卓也、ウーヴェ・ハイルマン、Jルラ・ヴァンニーニの各氏に師事。 2008年10月てだこホールで開催された『日仏交流150周年』を記念したオペラ『ファウスト』でヴァランタン役として出演。琉球交響楽団の大オーケストラの前で彼の歌声は、ゲストで本場フランスから来日した有名オペラ歌手に引けを取らず、素晴らしい声量で聴衆を魅了した。
◆前川 佳央 (バス)
沖縄県立芸術大学及び大学院修了。キプロス共和国キプリア祭にて同大学・キプロスオペラ協会合同オペラ公演「フィガロの結婚」にてフィガロ、同大学オペラ公演「魔笛」「コシ・ファン・トゥッテ」「ファルスタッフ」に出演。
オラトリオでは「マニフィカート」、「第九」、「エリア」、「メサイア」にソリストとして出演。留学 2002年より約1年半 ドイツに渡り研鑽を積む。 声楽を小池哲央、ヴォルフガング・ブレンデル、フリーダー・ラングの各氏に師事。
◆船越 しのぶ (ピアノ)
普天間高等学校卒業 昭和音楽大学卒業 同大学専攻科修了
斉藤美土、石沢秀子、金井紀子、S.ペルティカローリ、C.モルガンティ、呉恵珠の各氏に師事。
昭和音楽大学伴奏研究員、(財)日本オペラ振興会オペラ歌手育成部伴奏員を勤め、多くの指揮者、演出家の下で研鑽を積む。東京においてジョイントコンサートを開催。
1998年イタリアへ留学。イタリアにおいても様々な演奏会に出演、好評を得る。
2000年に活動を沖縄へ移す。
帰沖してからは、声楽、器楽、合唱の伴奏など幅広い活動を行っている。特にオペラでは豊富な経験を生かし、コレペティトールとして多くの声楽家の信頼を得ている。
ソプラノ歌手宮良多鶴子のCD録音にてピアノを務める。
沖縄平和賞祈念コンサート(万国津梁館)、海フェスタおきなわにて秋篠宮・同紀子妃両殿下御前演奏(ラグナガーデンホテル)などに出演
2004年Nostro Regaloを結成。子供からお年寄りまで楽しめる演奏会を催し、保育園、病院、施設などでボランティア活動を行っている。
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