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企画特集第24回 地元密着型不動産屋さんを目指す -有限会社てだこ-
有限会社てだこ 代表取締役 新里義一さん |
地元密着型不動産屋さんを目指す 「てだこ」があるから「その地元に住みたい!」といわれたい。 社長新里義一さんは、地元をこよなく愛している。 地元の住宅を借りることで地元の住民になったお客さん、地元に物件を持つオーナーさんも愛している。 地元で不動産業を営むことを誇りにし、そこに働く社員たちを誇りにし、地元の不動産屋さんとよばれることを誇りにしている。 地域密着型で、ユニークなアイデアを経営戦略に用いる「てだこ」。 常に一歩前を見つめる新里さんの経営哲学と、「てだこ」の営業方針をうかがいました。 |
30歳過ぎてからのスタート
Qてだこを創業されるまでのいきさつを教えてください。
新里 「生まれたのは宮古島市狩俣。畑がない貧しい家だったため、沖縄に家族で出てきました。仲西小学校、仲西中学。首里高校を経て琉大に入りました。卒業後、公務員になりました。安定した公務員生活は多くの人たちの憧れでした。でも私は、2年余勤務した後、親戚を頼って大阪の紡績工場に。女性の多い職場で、美人が多かったと聞かされていたという、ただそれだけの理由で。おかげで公務員を辞めた時、母にはさんざん怒られました。しかし、不思議と父は一言も文句を言わなかった。
その頃の私は何かを求めてがむしゃらだったのですね。だから紡績工場でも、経営者からとてもかわいがってもらいましたが、しかしずっと続ける仕事ではなかった。沖縄に戻って、職場を転々とするのですがどこに行ってもしっくりこなかった。30歳は目前だし、焦り、不安もありました。しかし、弱音は吐けません。友人が不動産業を始めるというので、宅建主任の資格を取り始めました。ついでに行政書士、社会保険労務士の資格も取りました。
資格を生かし最初はどんな仕事でも引き受けていましたが、こんなことをしていたらどれも中途半端になりそうだと考え、思い切って不動産業だけにしぼることを決心。これが私の人生の転機になったといえるでしょう。この時期、私はいろいろな職業に就きながら人生を模索していたのです。」
いろいろな出会い
新里 「30代前半に独立しました。妻の実家を事務所に、妻と二人で始めました。仕事を通して辛いことや苦しいことは一杯ありました。しかしそれを上回る楽しみや、生きがいを発見できたことが、私にとって非常にラッキ-でした。
今年で『てだこ』は28周年。いろいろな人に出会いました。高齢者や障害者の方たちにも、快適に住んでいただけるよう支援しながらお貸しするようにしています。 賃貸住宅は生活の場ですから、いろいろな人間模様、ドラマを見せてもらえた。それは私の人生を深いものにしてくれました」
創業当時の店舗 |
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得意分野に的をしぼる
「事業を始めた当初は、賃貸、売買どちらもいくらでも引き受けていました。というより賃貸や不動産管理を少し軽く見ていたところがありました。というのは売買の手数料は大きいので、魅力があるのです。創業当初、一度の売買仲介で170万円の手数料を手にしたこともありました。はじめてこの札束を見た時、目を丸くしましたよ。この調子で売買専門にしようと考えたこともあった。
しかし一回の手数料が大きくても、売買には安定性がありません。反対に賃貸には景気の波が少ない。仕事を長く続けるのであれば賃貸だ、コツコツ汗水流して働き、業績を積み上げるのが本当の経営とすると、それはむしろ賃貸ではないかと考え直したのです。 そこで賃貸中心に会社の的を絞ったのです。しかし不思議なもので、賃貸を一生懸命するようになると、売買の依頼も増えてきました。
次第に事業が拡張し人を雇うようになり、平成5年、『有限会社てだこ』を創業。 これまでなんとかやってこれたのは、賃貸に絞って、その分野を掘り下げてきたからでしょう。得意でない分野は見切りをつけ、得意分野に絞るというのがよかったと思います。経営方針として間違っていなかったのです」
原点は西原
新里 「西原は妻の出身地だったのでここで仕事を始めたわけですが、そうこうしている間に区画整理事業が始まり、バイパスや高速道路が整備されて交通の便がよくなり、畑が次第に宅地へ変わってきた。今から考えると、ここで不動産業を始めたのは非常に良いタイミングだったのです。私が頑張ったということではなく単に運が良かったのですね。それと、地元の協力も大きかったですね。有難いことです。」
入居者を大切に
Q社内の組織で営業部、管理部を廃止されました。その理由は?
「ある日の社内会議で、その仕事は営業部がするのですか、管理部ですかという発言が社員からあった。これはまずい、ダメだと思った。やりたくないという気持ちがあるからこういう言葉が出てくるのです。これでは、このきびしい時代に、生き残ることはできない。その原因になる組織の壁を取っ払ったら、オーナー、お客さん、てだこ、の関係がもっとうまくスムーズにやっていけるのではないか。
地元密着で営業活動している我々は、オーナーさんであれ入居者であれ、またそのほかの面でも、地域の方々に支えられています。営業部、管理部を廃止し、お客さんである入居者をもっと大切にするという形を考えたのです。管理している部屋の数だけお客さんがいるわけです。中には10年以上住んでる方もいます。そんな方は私たちにとって宝ですよ。
入居者をもっともっと大事にしなくてはならないはずです。単に不動産の貸し借りを仲介するだけでは仕事として不足だと思いました。入居した人たちが、ずっとこのまま一生住んでいたいと思うくらい住み心地がよい物件にするべきである。その意味でももっとお客さんに気を使い、生活が快適であるよう支援しないといけないのではないか。
不動産業の鉄則でもある「入居者に長く住んでもらう」ためにできることを、我々業者は、もっと真剣に取り組む必要がある。こんな簡単なことに、なぜ私は気がつかなかったのだろうかとはっとしましたね。 不満を言わないで、だまって不満を溜めたまま引っ越していく入居者が一番怖いです。そんな人を絶対作りたくなかった。
しかしクレームは電話でもなかなか言いにくいでしょう。そのためメールで受け付けるようにしました。携帯メールでもいいのです。いずれにしても不満をちゃんと言ってくれるお客さんはありがたいですね。 そんなことを考えた末に、入居者の生活を支援する『生活支援課』を設置しました。同様にオーナーさんを支援する『オーナー支援課』、不動産を探している人のために『住み替え支援課』と組織の形を変えたのです。
お客さんを大事にするコンセプトがもっと浸透し、「てだこ」が管理する住宅に住んでいたら良い事がたくさんあるといわれるようになれたらいいですね。「てだこ」があるから、その地元に住みたいとも言われてみたいです。それが私の目標です。」
※オーナー支援課、生活支援課、住み替え支援課については後半に担当者インタビューを掲載しています。
パソコンで管理、ペーパーレスが目標
QITの活用は業界でとても早かったようですが、目をつけた理由は?
新里 「はははは、私の直感です。私は女房以外は何でも新しいものが好きなので。 携帯電話もそうですが、時代の動きを見ているとITを避けて通ることはもはやできない。ダーウィンの進化論的発想ですよ。進化に適応するものだけが生き残 れるわけです。年配の社員の中には苦手そうな人もいましたし、内心反対しているなとわかる者もいましたが、ITから逃げていては話にならない。 | |
社員全員一台ずつパソコンを持っています。不動産や入居者の情報をパソコンで管理しています。まだ紙ファイルが残っていますが、平成23年中には当社はペーパーレスになる予定です。 パソコンで管理すると履歴が残るので、より管理が楽です。もちろん早い。その中から必要なものだけ印刷すればいいので、経費の節減にもなる」 |
インターネットで不動産情報が検索できるパソコンルーム |
社員の緊張感を維持する経営
「わが社は長く勤めてくれる社員が多く、それはそれでありがたいのですが、長くなればそれだけマンネリ化し、危機感や緊張感がなくなります。それをそのまま放置すると活気がなくなり、そんな会社では細やかなサービス精神がなくなってくる。
どうすれば刷新できるか。緊張感を取り戻せるか。 IT化はある意味、年配の社員には刺激になりました」
※実際のITの活用は、後欄の担当者新里仁美さんのインタビューを掲載しています。
会社と地域は一緒に発展
Q社員に求めることは?
新里 「社員の仕事への姿勢です。なぜこの仕事をするか、どうして『てだこ』で働くのかを考えて仕事をして欲しい。お金のためだけで仕事をするのはつまらない。やりがいのある仕事でなければ、仕事ではない。面白くなければ仕事ではない。 また地元で仕事をしているわが社にとって、会社の発展と地域の発展は一体です。もちろん、会社の幸せと社員の幸せも一体です。いつも私は社員に、私が社長である限りみなさんの生活を支えるから、私を信用して仕事をしてくれと言っています。
経営理念と『てだこ10訓』を作りました。この通りに経営をし、この通りの会社であれば100年繁栄し続けると考えますよ」
経営理念 『社員の物心両面の幸せを追求すると共に、地域の発展に貢献する。』
「会社が万一倒産したら、地域の皆さんだけでなく、社員や取引先にも大変な迷惑をかけることになる。だから、会社は100年どころか、永遠に発展し続けなければいけないと思うのです。そういう意味でのプレッシャーは大きいですね。」
仕事を好きになれ
Q人生や仕事で悩む若者が多いですが、同じく20代に仕事探しを経験した新里社長からアドバイスをお願いします。
新里 「最初に言いたいのは、仕事はいやいやながらするものではないということです。そのためには与えられた仕事を、ともかく好きになれるよう努力をすることです。いやいや仕事をしていたらいつまでたってもその仕事を好きになれない。好きになれない仕事では力も付かないままですし、不幸なことですね。 仕事は、一生懸命やればやるほど面白くなる。ということに気付けば、もうしめたものですね。
そしてそれは、短期間働いただけではなかなかわかりません。継続は力なりといいますが、まさにそのとおりです。続けることです。社会人になってからは、自分を磨いたり人間性を高めることができるのは仕事を通してだけです。趣味や遊びで人格が高まることはない。
かの人生の達人である本多静六氏(明治時代の農学博士で日比谷公園など多くの公園を造った)は、こういっています。 「人生の最大幸福は、仕事の道楽化と、家庭円満である」と。私もそう思います。」
生活支援課 |
生活支援課
入居者は大事なお客様です。住み心地をよくすることで出て行く人を減らす、そのための部署が「生活支援課」です。 コンセプトは、てだこの管理物件に入ったら、、、、、 生活支援課が提供するサービスとは>>
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たとえば10年以上住んでいる入居者には、畳の表替え、網戸交換、照明器具の交換などを提案しています。
オーナー様には、「空室になるとリフォーム等の改修工事費がかかってしまいます。どうせかけるなら、今住んでいる入居者に有益な費用をかけましょう。そうすれば、ずーっと長く住んでもらえると思いますよ」と話して承諾してもらっています。
入居者にはとても喜ばれるサービスですよ。
外灯の電球交換は、入居者より連絡を受けてからの対応としていますが、今後はLED電球を取り入れて、定期的に一斉交換する など検討しています。又、家賃の支払いに困窮している入居者に対しては失業などによる住宅手当や生活支援費の貸付制度などハローワークや社会福祉協議会に 積極的に紹介をしています。
入居者にお会いしたら、社員全員で「お困りごとがあれば私にご相談ください」と、御用聞きに徹するようにしています。生活支援課の仕事は沢山あります。
オーナー支援課
アパート経営や、税務対策などを多角的にサポートするのが「オーナー支援課」です。
バブル崩壊後、時代が貸し手市場から、借り手市場へと大きく変動しています。常に時代に乗り遅れない先見の目を持ち続け、斬新な有益情報を提供しながらオーナーとより良いパートナーシップを保ち共存共栄していかなければなりません。
オーナー支援課で取り組んでいくことは>>
- 定期的にオーナー向けのセミナーを開催
- 弊社顧問税理士による無料税務相談
- オーナー通信の発行
- 遊休地を賃農地として利用
- 斬新な空室対策の提案
- アパートの屋上を利用した太陽光発電事業
- 無料収支システム・不動産の無料査定
- 収益物件の紹介
- 不動産コンサル
- 付帯商品の提案
以前から継続して取り組んでいることから、新規で提案していくことまでやるべきことが一杯あります。
これからが楽しみです。
住み替え支援課
住み替え支援課の事業実績 |
賃貸住宅を探しているお客様と、借手を捜すオーナー様の仲介が賃貸不動産会社の主な仕事ですが、単に仲介するだけでなく、お客様の具体的な要望を聞き、オーナー様と修繕・リフォーム等の相談するのを心掛けてます。
クーラー、ウォッシュレット、浄水器を設置しましょう。女性にはセキュリティーが人気です。畳を洋間にしましょう・・・・・。
世の中は激変しています。不動産会社だけが旧態依然としていては取り残されてしまいます。沖縄は入居率95%で全国的にいい方ですが、地域密着営業を継続し、危機意識を持って入居者へ喜ばれるサービスを提供し、その中で「浦添市西原にてだこ有り」、「てだこが管理しているから住みたい」と言ってもらえる存在になりたいです。
IT担当 新里仁美さん |
HPは私が入社する8年前からあり、不動産業界では最も早い会社です。トップページは定期的に変え、情報は常に最新情報に更新しています。本社フリースペースには、ご来店頂いた方が自由に物件検索が出来る様、パソコンを設置して利用して頂いています。 ここ数年は、県外から賃貸物件を探す人も増え、ネットで検索してHPからメールの問合せが増えてきました。又、直接物件資料をプリントアウトして、お部屋を見に来られるお客様もいらっしゃいます。問合せメールの他に、入居者の方から相談事や修繕・修理依頼等のメールが届きますので。素早く担当者に転送し対応してもらっています。 他にも2ヵ月ごとに「てだこ通信」として印刷物を発行。入居者様とオーナー様向けの情報紙で、中には抽選でプレゼントが当たる楽しい企画もありますよ。 |
未来のヒントに満ちるサイトに
Q最後に、ビジネスモールうらそえについて、ご意見ご感想をお聞かせください。
新里 「日々、ビジネスだけでは飽きてくるので、もっと面白く気楽に見たいですね。たとえば歴史や文化、伝統、花火大会や、相撲、美人コンテスト、世の中の流 れ、今ヒットしている商品 話題性のあるサ-ビス、伸びている企業の秘訣や新しい時代を予感させるヒントなどを、拾えたらすばらしいサイトになると思いま す。
かといって総花的になってもいけないので、直接ビジネスとは関係ないものとビジネスそのものを融合するような、体系的な面白いサイトを期待しています。こ のサイトに未来のヒントが一杯、さりげなく隠されているような感じとでもいいますか、そういうサイトをぜひとも作ってほしい。」
新里社長さんを始め 社員の方々の名刺に 描かれた似顔絵イラスト |
一言インタビュー 【ご趣味は?】 読書です。「致知」という雑誌は、みなさんに読んで欲しい一冊です。 人間学というのか、著名な人たちへのインタビューなどで、生き方について意味深い言葉や考えるヒントが多い。 【ご家族は?】 妻と2人 |
有限会社 てだこ
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