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カーミージー 子供たちの熱い想いが造った「奇跡の海」と「奇跡の橋」

(2019年6月26日記事掲載)

私たち浦添市民は、2018年3月に開通した浦添西海岸道路(北道路)によって お目見えした長さ3キロに渡る浦添西海岸の貴重な「イノーの海」のことについてあまり知らない。

この海は戦後、74年もの間、昔ながらのイノーの海が戦前から残されてきたとても貴重な海なのである。専門家の話では、以前は沖縄本島の各所にイノーの海が見られたが、復帰後の開発により、自然の海岸線はなくなり、現在は浦添のこの海しか残されていないとのことで、それも自然のままの貴重なイノーの海が 大都市那覇に隣接して、なんと3キロに渡って残っているのだ。 「こんな奇跡的なことは考えられない大変素晴らしいことだ」と評価されている。

そして、この海には希少な海洋生物が多く存在し、「カーミージー」の名称で呼ばれる一帯の海域には自然の砂地に繁茂する海藻が育む希少な生き物と、サンゴ礁に囲まれたイノーに生息する豊富な希少生物の宝庫といわれているのだ。今はもう来なくなってしまったが、港湾道路建設工事の着手前まではジュゴンが海藻を食んだ跡がよく見られ、絶滅危惧種ジュゴンの希少な餌場としても確認されている。

又、私たちが食す県産魚の多くは産卵期になると、この様に外海の荒波からリーフによって守られた穏やかな内海のイノーの藻場に訪れ、魚たちは ゆらゆらと繁茂する海藻の森を好んで産卵をする。正に、ここは海洋生物の“ ゆりかご ”なのだ。こんなに素晴らしい貴重な沖縄の財産の海が有りながら、私たち浦添市民は見ることもなく海の存在さえ忘れ、防波堤で囲まれた海岸の海と思い込み埋め立てようとしていたわけなのである。

 

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それもそのはず、これまでキャンプ・キンザーという米軍牧港補給基地に遮られ、目隠しされた状態だったのでほとんどの浦添市民は知らず、「自然の海」の存在を知っていたのは海岸へ出入り出来る基地フェンス沿いの小道を知る 港川の地元住民と、数少ない一部の釣り人達のみであったため致し方なかった。

ところが、西海岸開発計画が動き出していた2005年頃に地元である港川自治会によってこの海の価値の見直しが始まった。自治会はこの海を、自然を保全しながら活用する「里浜」と位置付け、翌年、港川小学校と共同で小学校児童4・5年生を対象にカーミージー海岸に生息する海洋生物の観察会を始めたのであった。

そこには、海洋生物の専門学者である「しかたに自然案内」の鹿谷法一、麻夕ご夫妻の先生らが子供たちの指導に当たり、子供たちはカーミージーと呼ばれるイノーの海での観察会を楽しみながら、この海にくらす生き物たちのことを学んでいった。指導に当たった鹿谷先生らの丁寧な座学での事前学習や、海での実施観察の詳しい指導によって子供たちがいろいろな生物を見つけては、手に取り、どんな生き物なのかを学んでいった。そして何と、子供たちによって、この海域に生息する生物たちが大変希少な海洋生物であり、この海域は希少生物の宝庫であるということが分かって来たのである。

そのことは、大きく地元新聞やテレビで取り上げられ、一躍 港川小学校の児童たちの活躍がクローズアップされることとなった。この報道によって浦添市の西海岸の海には、希少生物が生息する相当価値のある自然の海であるということが認知され始めて行ったのである。

保護者のメディアへ働きかける応援があった

港川小学校の子供たちは自分たちが学んだ海洋生物が生息することで自然環境が保たれているという自然の摂理である循環についても学び、その大切さを作文にした。

【港川小学校4年生児童作文】2009年

「私たちの大切な海をうめ立てると生き物が死んでしまいかわいそう、大切な生き物のかんさつができなくなるので、うめ立てをやめてほしい」 (児童作文より抜粋)

「車のじゆうたいをへらすための道路も大切だけれども、私たちの未来のためにも、自然の海のカーミージーをのこしてほしい」  (児童作文より抜粋)

このような子供たちの純粋な想いを「ことば」にして書いた作文が、学校の廊下にはりだされ、授業参観日におとずれた保護者の胸を打ち、こころを揺さぶった。子ども達の純真むくで清らかな ことばに 心を洗われた保護者らはそれぞれの立場で子供たちの頑張りを出来る限り世に知らしめようとメディア(新聞・ラジオ・TV)へ伝える努力を行ったのである。

 

当サイトも、我が子、当時4年生の娘からの質問に  娘Q「大人はこんなに 大切な生き物たちのいる海をうめ立てても、なぜ平気なの?」  父A「市民は基地にかくれて大切な海が有る事を知らないのだと思うよ。」 娘Q「だったら 知らせてあげれば いいんじゃないの?」  父A「えっ、そそうだね!」という単純な会話のやり取りの中で、娘の純粋な言葉に教えられたことを昨日の様に覚えている。

ちょうど、浦添市の総合ポータルサイトとして「ビジネス・モールうらそえ」を開設したばかりの13年前の頃。子供の言葉に、当サイトの役目である「地域メディアとして市民目線で有益な情報を市民へ届ける」というコンセプトに改めて気付かされ、その後から子供たちの里浜活動を取材し、市民へ知らせるべき内容の特集記事を作成し掲載してきたのだ。あれから取材記事を通して観察会の応援を13年も続けている。

 

農学博士 下地幸夫氏

そのなかで、浦添市民でもあり、沖縄の自然案内人である生態学の研究者、農学博士の下地幸夫さんに協力を求め、彼がイノーの環境に詳しいことから子ども達の活動の意義と重要性を市民と生態学者の立場からエッセイで2度にわたって解説してもらい市民や、行政側へ向けてその希少な自然財産の資源価値を提起することが出来た。

浦添の西海岸開発で思うこと (エッセイ1)
浦添の西海岸開発で思うこと Part2 (エッセイ2)

 

 

さらに、子供たちの書いた作文をメールで総合事務局の空港港湾整備事務所の技師の方々に届け、子供たちの想いを伝えるサポート活動も行ったのである。

 

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臨港道路浦添線が 何故、一部 橋梁道路なのかご存知ですか?

皆さんは、港川小学校の子供達の観察活動が、カーミージー海域に住む生き物の希少価値を高め、しだいに、浦添市西海岸埋め立て道路建設計画を、橋梁道路建設へと計画を変更させて行ったという経緯をご存じだろうか?

その頃、行政は国、県、浦添市、宜野湾市との共同でこの海岸を埋め立てた西海岸道路の建設計画を進めようとしていたのであった。そして、その建設計画に影響が出始めたのである。港川小学校児童生徒の観察会の活動は当時の国土交通省が推進する「里浜活動」にあたるため、行政側もむやみに無視した建設が出来なくなっていたのである。

当時、総合事務局にある空港港湾整備事務所の設計士や、南部国道事務所、県の中部土木事務所、浦添市、宜野湾市などが共同で西海岸埋め立て道路の建設計画の説明会を港川自治会において公聴会を開き、埋め立て計画の理解を得ようと自治会及び里浜活動を行う地域の皆さんへの説明が行われていた。(2007年11月~2008年末までに数回開かれた)

行政側は海岸を完全に埋立てた敷地に、ボックスカルパート工法という少し海水路を通した「水路方式」の道路建設計画を住民へ丁寧に説明していた。しかし、その工法は専門家でなくとも、海域環境が護られるとは思えないと判断できる内容であったため、参加した住民側(浦添市民里浜ネットワーク、自治会、小学校、保護者)から理解を得られる事はなかった。(2007年)

当初案の完全埋立を前提で道路下に水路を空ける

ボックスカルパート工法(水路方式)2007年

その際、住民側から「里浜活動である港川小学校児童の観察会によって行政が埋め立てようとしている海には大変希少な海洋生物が多く生息している海であることが分かったはずで、海を保護、保存すべきである。
道路建設には反対はしませんが、但し、埋め立てではなく、海域の環境を守ることの出来る工法に変更すべきであり!現代の建築技術であれば可能なはずではないのか?」との意見が多く出され、公聴会は予定通りには進まなくなってっしまった。

しかし、国側は、事前に予期していたようで里浜活動の重要性を認識し、頂いた意見を持ち帰り検討したいと、再度、説明会を持ちたい旨、国側が申し出たのであった。

なんと、驚くべきことであろうか、子供たちの里浜活動での学習成果が国の建設計画に影響を与えているのであった。

それから、数か月後、再度開かれた公聴会の席で、国側が提示した代案に、皆が驚き、耳を疑った総合事務局の空港港湾整備事務所の設計士が持ち込んできた厚紙で作られた橋の模型を見せ、子供たちの里浜活動の継続と、海の自然を保護するために検討した結果、埋め立て道路建設を一部橋梁化することで解決したい」と申し出たのである。(2008年~2009年の間に橋梁化の設計調整が始まった)

後日、浦添市も約2.5キロで計画している臨港道路浦添線について、北側の約900メートルを「水路方式」から環境に負荷の少ない「橋梁(きょうりょう)方式」に変えるよう国に提案することを決めたと発表した。(2008年5月30日琉球新報記事より抜粋)

橋梁完成イメージ(沖縄総合事務局空港港湾整備事務所より)2009年

行政側の国が、かたくなに推し進めてくることを予想していただけに、国の配慮の深さには、さすがに感動をさせられたことを覚えている。しかし、額面通り受け取っていいものか信じがたかったので、専門家の意見も交えて様々な質問で返し、国の対応に感謝しながらも、国から出された代案が本当に誠実な内容なのか確かめていった。

その時、専門家の鹿谷法一先生から、イノーへ流れ込む 或いは 流れ出る潮の満ち引きの流れを止めることの無いように橋の着地点の埋め立て面積計画を縮小する必要性があるとの指摘が出された。

説明会では、見直しの議論が行われ、皆が地図や橋梁模型の前に集まり、住民と設計技術者が立ち話しで意見を交わし、お互いが出来るだけ良い方向へ答えを出そうと、皆が協力的な姿勢に変っていった。住民側から設計士に現場で潮の流れを確認してほしいとの意見が出たため結論は持ち越した。

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橋梁にするとはいえ、橋げたや、橋の両端の着地場所は最低限、埋め立てる必要があるため、潮の流れを止めることの無いように現場で潮流の位置の確認をすることが決まり、後日、自治会や、浦添市民里浜ネットワークの方々と一緒に海へ入り、確認作業が行われたのである。

やはり、問題点は多数存在していた。橋の着地する場所が交差点へ繋がる為、その土台として大きく埋め立てられる予定となっていた。そこは海洋生物には不可欠な海流の道が存在する。ここを埋め立てた場合、海流の変化によりサンゴに影響を与え、せっかく建設計画の変更で埋立てが橋に変わったとしても、サンゴが生き残れない可能性が高いといわれていた。しかし、子どもたちの切なる訴えが綴られた作文や、里浜活動を支援する地域の方々の努力で、国の技術者らの理解を得ることが出来た。

画像を通してみても潮の流れがよくわかる

埋立て予定地を調査する国の設計技術者の方々

当初埋立てが予定されていた部分

大幅に埋立て部分が縮小している

総合事務局の技術者らは鹿谷法一氏や

下地幸夫氏らの専門家らとの現場確認に

よって潮流の位置確認を行った。

 

 

 

 

橋梁の着地部分は橋の幅で垂直に落ちていて、横に埋め立てる予定の

部分が殆どなく、削られていることが分かる。凄い!(現在)

その際に、設計士が、「確認しなければ、潮の流れを止め、やがて海を死なせてしまうところでした」とつぶやいた。この設計士の言葉には、子供たちへの暖かい配慮の気持ちが込められていたと 今でも忘れられない。このように、取材のために我々も立ち会ったが、子供たちの純粋な想いが国を動かすことになったんだと、素晴らしい、凄いことが起きていると、改めて その時感じたのである。

 

その後、子ども達の活動が全国的に評価されることが起きる!
その後の2011年7月に、港川小学校の子供達が7年にわたって行なって来た取組みを、総合学習の一環として、戦前の自然がそのままのこる貴重な海岸(カーミージ)の生態系や自然環境の保護・保全活動などの活動が評価され、全国174団体の中から「第18回コカ・コーラ環境教育賞(活動表彰部門)で大賞を受賞するという快挙を成した。

子供達の想いが残してくれた「奇跡の海」と「奇跡の橋」そしてカーミージー海域の自然は 県民の財産!

その後も、約束通り、子供たちは観察会を毎年続けることが出来、現在も続けられている。そして、昨年の3月に浦添の西海岸道路が開通した。この綺麗な美しい景観は橋から眺めることが出来るからで、下の道路からは光が反射して砂地のエメラルドグリーンの色は眺められない。又、埋め立てていたら、恐らく潮の流れをさえ遮り、生物が死滅した海となっていただろうと思えるのである。

この橋の名は国からの配慮で子供たちに名前をつけさせて頂いたと聞いている。その名は「カーミージー橋」この橋は子供たちの里浜活動によって架かった「奇跡の橋」であり、この海も子供たちの活躍により、生かされた「奇跡の海」なのである。国も子供たちの里浜活動である観察会の継続と、このカーミージー海域一帯の自然保護の重要性を認め、費用そっちのけで里浜活動へ協力して頂いた経緯がある。

実は、当初予定していた埋め立て道路建設の費用に対し、変更建設された橋梁道路建設には、なんと約6倍の建設費が掛かったと関係者から聴いている。このことからも、沖縄総合事務局の空港港湾道路整備事務所の方々が、港川小学校の子供たちが書いた作文を読み、その想いが設計士たちの心を動かし、国の道路建設計画を巨額の橋梁道路建設へと変える途方もない奇跡を起こしたことが分かるのだ。

このように、「自治会」から「学校」へ提案された事業が「港小の子ども達」に伝わり、子どもたちの活動によって浦添に残る素晴らしい自然環境が全国にクローズアップされ「親」たちを動かした。浦添市も国との調整に乗り出し「メディア」を巻き込んで、当初計画されていた西海岸の埋立てを自然環境をできる限り保全する方向に変えていった。同事業は、当初予定されていた埋立て計画を橋を架けるという計画に変貌させてしまったのである。橋梁という構造を考えてみても、かなり予算の変動があったのではないかと思われるが、そのことも含め「国」の計画をも変えてしまうほどのパワー(奇跡)を子供たちは生み出したのである。

子供たちはカーミージーに生きる生物たちについて事前学習(座学)で学び興味深々!

質問のある人はいますか?に皆が手をあげるほど、自然観察は楽しい学びなのだ。

我々市民・県民の大人たちは、橋梁から見える、この素晴らしい自然景観と、希少な生物の住む自然の海を残す純粋な訴えをしてくれた港川小の子供たちに感謝し、また、子供たちの想いの訴えを聴き入れてくれた国に対し、お礼の気持ちを持って大切に使い、この海を沖縄県のかけがえのない自然財産として次世代へ護り残して行かなければならない。

その意味で、浦添市が里浜条例なる「カーミージー海域一帯の自然を護る目的の保護条例」を昨年の平成30年4月に施行した訳である。

 

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【里浜条例全文掲載】

ガイドライン掲載

【 法的課題と解決への取り組み 】

ところが、制定された里浜条例は「里浜を保全し、活用していきましょう」という宣言をするための理念条例であり、法的な強制力はなく、策定された「うらそえ里浜の保全・活用のガイドライン」の具体的な指針を市民・県民に理解して頂くことでしか環境を守ることができないのである。

聞いた人は驚くであろうが、実はこの海岸と海域は、権利が幾重にも複雑に重なり合い絡み合っているために単純に法的な網をかけることが出来ないというのである。この海は以前より那覇・浦添・宜野湾漁協が漁業の権利を有しており、もちろん昔からの地元住民の権利も存在している。また、埋め立て計画に基づいた水面域としての権利が那覇港管理組合にもある。

そして、海岸は現在臨海道路が建設されており、この道路も南は港湾道路、北は国道の自動車専用道路、東に延びる県道の丁度、三叉路の交差点になっているのだ。行政区分は国・沖縄県・那覇港管理組合・浦添市・宜野湾市と、浦添市行政区域にありながら浦添市が勝手に触れられない権利区分が存在する。

浦添市が環境保全のために海岸道路に看板を一つ立てるにしても市の一存では出来ない、それぞれの道路の管理権限先の行政許可が必要なのである。

浦添市は、策定した里浜条例の理念を市民県民に周知する前に、この海域に携わる各関係機関・団体を集めて里浜条例の理念・ガイドライン実現のために協力機関として浦添市里浜保全活用促進協議会を設置し、13の関係機関を束ねて協力・情報交換しあい、海域の保全と活用について同じ方向へのベクトルに進めるよう一年かけてまとめ上げなければならなかったのである。

はたから見ると、じれったい様に映るかも知れないが、それぞれの権利関係先が勝手に動き出すことこそ、危険で、どうにもならなくなる可能性があった。そういう意味で、市はしっかりと環境保全と活用に向けて働いてもらっているのだ。

一気に広がった「広大な自然海カーミージーの魅力は見る人たちを引き付けた」

しかし、時間は待ってはくれなかった 昨年の平成30年3月18日に浦添西海岸北道路が開通して、約1年3カ月が経ち、この間に多くの県民の目にこの素晴らしい広大なイノーの海の景観が映り、必然的に多くの方々がお訪れたのである。これまで目隠しされてきた自然の海カーミージーを目の当たりにし、連日訪れて海に入り、潮干狩りにいそしむ姿が見られる様になった。

ところが、残念なことに、この行為によって戦前から残された希少な海の生き物たちが絶滅しつつあるのだ。事実、昨年2018年夏の7月中旬に行われた子供たちの観察会では海洋生物が殆どいなくなった海を観察することとなり、観察会を待ち望んでいた子供たちは、楽しみにしていた生物がいないことに、とても がっかり していたそうだ。

このままでは、私たち大人は、この海の生物を死滅させてしまい、子供たちとの約束が果たせなくなり、さらに国が巨額の費用をかけて橋を造った意味がなくなってしまう。これまで様々な要因で奇跡的に戦前から昔のまま残った自然の海が埋め立ての危機に会い、子供たちの努力で奇跡的に救われたのに、経緯を知らない大人たちが 寄ってたかって生物を取りつくし、いっときで死滅させてしまう!

正に、カーミージー海域の海洋資源が残されたことの経緯を市民・県民が知らない事と、そして生物の乱獲を防ぐ実行的な保護のルール作りや、活動が追い付いていない事が、このような事態を招いていることは明らかであった。これは、私達大人が急いで啓蒙活動を実行し、子供たちの努力で せっかく残った、沖縄の貴重な天然資源の海を残す努力をしないと間に合わないという危機感を募らせる。

【危機的状況】

自然には限りが有る。膨大な年月をかけて形成されてきた自然も、生命は儚く、放置すれば、あっという間に滅んでしまう。もし、この危機的状況を放置し、西海岸地域開発の観光資源である海の自然が滅び、テトラポットの海と同様になってしまったら、おそらく西海岸地域の魅力価値は下がり開発の未来は暗くなってしまうだろう。

当サイトも、沖縄県の環境保全課や漁港漁場課、沖縄総合事務局の農林水産部 林務水産課へ問い合わせてみたが、やはり、カーミージー海域一帯を資源保護のために法的な網をかけることはできないとの返事であった。要するに、広く県民にカーミージーの海洋生物の保護を訴え、啓蒙するしか方法がないことに気付かされたのである。

今すぐに生物の乱獲を止めさせたいと思い、様々な角度から検討を行ってきたが、方法は市民・県民の心に訴える啓蒙の方法しか残されていない。それでも、行わない訳にはいかないのだ。このままでは希少な生物を絶滅へ追いやってしまう事になるため、市民・県民の皆さんへご協力いただき、海の生物を蘇生させるために生き物を獲る行為をできるだけ控え、観察するだけにして頂きたいのである。

まもなく、県内最大級の大規模ショッピング複合施設(駐車場4000台)が海岸沿いへオープンする。行き場のない渋滞の中、来場者がとめどなく海へ降り立つことはどなたでも想像できるはず。行政側も事業者側も予想できる自然環境への影響を放置せずに協力して自然環境を守る対策(出展事業者への働きかけ)を考えて頂きたい。

また、平日は海外からの観光客の来場者が7割を見込んでいるというが、テイクアウトした飲食品を海岸で楽しむことが予想される。店舗で買った飲食物の包装紙やビニール容器類、現在世界中で問題となっているストローが海辺に散乱することは既にお考えになっていると思うので、そのゴミを発生させない、海に持ち込ませない対策を期待したいと思う。

海浜の環境保護はマナーを守ることが前提のはずであるが、その対策(ゴミ箱の設置等)や、啓蒙説明するすべ(各外国語表記)の印刷物や看板等は準備されているのであろうか?もし間に合わない場合は対策として海浜の清掃活動を行う事も考えて頂きたい。事業関係者の善処に期待したい。

浦添市では、地域住民とともに里浜を守っていくため、全国初となる「浦添市里浜の保全及び活用の促進に関する条例」を制定し、条例の具体的施策となる「うらそえ里浜の保全・活用ガイドライン」を策定。海岸入り口にも複数看板を設置し、利用者に里浜の保全等に配慮して頂くことを啓発し始めている。

すでに今、浦添市には里浜条例に基づく里浜(海)の環境保護と活用のガイドラインが策定されていることを忘れてはならない。私たち市民・県民はせっかく残された貴重な自然財産を守りながら活用していくために策定されたガイドラインに沿っての海の活用の周知実行を、啓蒙・実践して行かなければならない。そうでなければ、残す努力をしてくれた子供たちに大人として恥ずかしく合わす顔がないのではなかろうか。

市民・県民・観光客へ 海の自然が残された経緯を説明する啓蒙活動が重要!

本サイトである「ビジネス・モールうらそえ」も、今回の特集記事を通して、この自然の海が今に残された理由である「子供たちの活動努力の経緯」を説明し、題して「奇跡の海、奇跡の橋 カーミージー橋」という内容説明を行い、市民・県民に理解を求める啓蒙活動を行っている。

【県内メディアのパブリシティーでの協力】
さらに、浦添市環境保全課と共催で県内ラジオ局や各新聞社・テレビ局等の公共メディアに出演し、或いは取材して頂く 啓蒙告知活動の協力を依頼し、「子ども達の努力のおかげで昔ながらの自然の海が残った経緯を紹介し、自然の海を絶滅から救うことに ご協力頂きたい」旨の説明を今年のゴールデンウィーク期間中に県民に向けて行った。

【現況報告】

今年の平成31年4月7日(旧3月3日浜下り)には西海岸三叉路交差点バイパス道路沿い両脇に150台余りの自家用車両の駐車があり、多くの家族連れが海に下り立ち 潮干狩りに興じていた。

更に、今年のゴールデンウィーク(10連休)中には、大潮となった5/3 ~ 6日の4日間で、延べ約200台余りの駐車があり、およそ800名ほどの家族連れがカーミージーのイノーの海に下り立った。

当サイトでは、昨年2018年のゴールデンウィークと、今年2019年のゴールデンウィークの潮干狩り状況を取材し、家族連れの収穫状況を調査し、生物の増減を比較分析するため取材した。

【 生物が激減!ゴールデンウィーク中に 潮干狩りに訪れた 人々が採った生物の量を

昨年と今年で比較分析!】

○2018年 平成30年 GW ゴールデンウィーク の場合

一家庭平均バケツの半分~満杯(30個~100個)収穫量

(マキ貝 ・ サザエ ・ タカセ貝 ・ くも貝 ・ タコ ・ ハリセンボン魚等) 平成30年4/29日大潮

様々な貝や蟹・タコ・ミーバイまでも採れている。昨年のGWは道路が開通したばかりで海は未だ豊かな海の幸で一杯だったようだが、採りすぎだと思う!皆さんがこれだけの量を採ったので昨年の夏(7月)に行った子供たちの観察会は生き物が少なかった訳だ。これでは絶滅へ向かうのも無理はない。訪れた家族が皆これだけ採れば、翌年は生物が激減して大変だと思う。鉄のバールが見えるので恐らくサンゴを割ってまで採ったのかも知れない。

 

2019年 令和元年 GW ゴールデンウィーク の場合

一家庭平均バケツの底が見える程 少ない3~10個程度の収穫量 やはり生物が激減していた。

(マキ貝のみ)  昨年の 1/10 程に貝の種類も量も 激減している。 令和元年5/3 ~ 6日大潮

見てお分かりのようにマキ貝しか見当たらない。もう他の貝は採りつくされて全く無いのであろう。それも、マキ貝の背に苔が生えているのでサンゴの奥に有ったものを恐らくサンゴを割って採り出したのだろうと推測される。アバサー(ハリセンボン)は浮いていたのを偶然捕まえた(鑑賞用にする)とのこと産卵しに来たのかもしれないが残念である。

◆(注意報告! 貝が殆どいなくなった状態にあり、生物は絶滅寸前にあると言える!

 

ゴールデンウィークGWに訪れた家族連れは、まさか生物が絶滅寸前だとは思わずに 少なくなった生物を探し廻り、自らの子に潮干狩りの体験をさせ、わずかに採れた貝類・蟹・魚類などの生物を持って帰る光景が見られた。残念ながらその行為に規制をかけられない事への空しさと、無情にも海域生物を絶滅へ追いやろうとしている我々大人の無責任さを感じずにはいられない。

それは、カーミージーの海に訪れた市民及び県民らが、残された貴重な自然の海を無意識に壊滅させてしまう行為を行っているとはどなたも考えていないからだ。

啓蒙活動の効果としては、今年のゴールデンウィークGW中、市環境保全課の担当者と伴にラジオに出演し「子供たちのお蔭で橋になり自然が守られて来た経緯を伝え、乱獲で絶滅しつつある生物の蘇生に協力をお願い」したことや、そのことを新聞社に取材して頂きタイムリーな記事の掲載が出来たことで、啓蒙活動が少しだけ実ったと感じた出来事があった。

今年、潮干狩りに訪れた家族連れおよそ800人の内、2割の方々が採った生き物を帰りがけに 海へリリース(戻す)して頂けたことである。おそらく、ラジオか、新聞で啓蒙情報を知っていて頂けたのだろうか、うれしい一幕だった。

この様に、けっして手遅れではないと思えるのである。 「子供たちが頑張った経緯と、絶滅寸前である」事を伝える努力を続ければ必ず多くの県民に伝わり、カーミージー生物保護の意識と機運が高まると思うのである。発信を続けることが大切である。公共メディアの皆さんにはGWの連休中に大変お世話になりましたが、今後とも継続して啓蒙活動を取り上げて頂ける様お願いしたい。

 

港川小4年生児童による今年のカーミージー観察会の様子を報告

今年の5月21日~22日の2日間に浦添市港川小学校の4年生全児童による毎年恒例のカーミージー探検隊(海洋生物の観察会)が行われた。しかし、海で観察できた生物は少なく、砂地には海藻とナマコばかりで、そのナマコも人に踏まれて切れてしまい短くなったナマコを多く見かけた。子供たちは切れて短くなったナマコを手に取り、かわいい、小さいから子供かな?と勘違いしていた。

貝類は殆ど見当たらず、「ヒトデも、エビ・カニも小さく僅かでした」。指導する先生たちも海は綺麗だが子供たちに見せられる生き物が少ないと嘆いていた。子供たちに観察会で「生き物をたくさん見れましたか?」と質問すると、「ん~と(考えてから)海藻とナマコをたくさん見た!」との返事、4年生の子供たちは初めての観察会で昨年、一昨年の状況を知らないので、こんなもんだと思ったに違いない。

14年間続いたこの観察会が今年のゴールデンウィークを挟んで継続の危機にさらされ始めている。貝類が居なくなった海には貝を餌にする魚が現れず、貝が出す糞を食べる生物も姿を消す。生物の偏った減少により、生物共生のバランスが崩れて行っていることは見てすぐに分かる状況であった。私たちは出来る限りの努力を行い、県民に状況を周知し、心ない乱獲を急いで止めなければならないと実感した。

砂地の海には全く貝が見当たらないし、他の生物も少ない!

そのためには、最も効果的な啓蒙のアプローチを考え、急いで行う必要があり、残された時間もあまりない。メディアが積極的に継続して県民に啓蒙告知を行う事でしか方法がなく、私たちは夏休みに向け、県民、観光客へ向けた周知を真剣に取り組まないと生物は蘇生できず、生物のいない海になることは確実と判断した。その告知活動の中で考えられる魅力ある告知方法を考え、意識有る大人が皆で協力し合って子供たちの期待に応えるしかないであろう。

公共メディアの皆さんのご協力には誠に感謝に堪えない。今後も引き続き沖縄県の大切な海浜資源財産を守るために県民への啓蒙活動の協力サポートを是非ともご協力頂きたい。

 

パブリックゴルフうらそえ

この素晴らしい海が何故残されて私たちは活用できるのかを、行政も含めて改めて私たち市民・県民の大人たちが、ちゃんと理解することで保護&活用というスタートラインに立てるのではないだろうか。そうすることで啓蒙の意義を理解し、市民・県民が保護への行動に参加してもらえると思うのである。

この3キロにもわたる自然のイノー海岸は、もう どこにも残っていないので、世界中からの観光客が豊かな生物が息づく本物の海に入り、観察することの出来る貴重な観光資源である。美ら海水族館の入り口に設置展示されている人工で再現された小さなイノーの海は皆さんがご存じだと思うが、そのイノーの本物の海がそれも3キロにわたって残っているのである。私たち県民はその貴重な存在を後世に残す努力を重ねながら世界から訪れる観光客へ楽しんでもらう自然財産にして行かねばならないと思う。

私たちは意識を高く持ち、沖縄の貴重な自然財産を保全し、観光資源として活用する方法を考えて行かなければならない。

(2019年6月26日記事掲載)

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