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2011 東京ヤクルト・スワローズ 2月6日 「ふれあい少年野球教室」
『2011年 東京ヤクルトスワローズ ふれあい少年野球教室』
今年のキャンプも終盤に近づきましたが、今回は去る平成23年2月6日(日)に開催されました
「東京ヤクルトスワローズ ふれあい少年野球教室」の模様を報告したいと思います。
【前編】 |
【後編】 |
この日は、参加のする子ども達の思いが天に届いたのか、雲一つない晴天となりました。
子ども達も早くから球場に集まり、はやる気持ちを抑え、プロ野球選手の練習風景を見学していました。
また、ヤクルト選手らもこの日は通常よりもハッスルしているようでした。
いよいよ15時となり、グラウンドの中に参加の子ども達が入場して来ました。さまざまなチームカラーキャップとユニフォームの色で、緑と土色のグラウンドの中がカラフルな花畑の様に賑やかに見えてきました。
ここから取材報告を始めます。
参加者全員がグラウンドに集合すると、守備練習がスタートした。
守備練習は、外野、内野、バッテリーに分かれて始った。
まず外野守備から取材。
外野手の基本的な捕球方法を指導する、飯原誉士選手(9)、上田剛史選手(50)、福地寿樹選手(3)、濱中治選手(0)。
フライ捕球と、ゴロ捕球をアドバイスする。子ども達の視線も捕球役の上田選手(50)に釘付けになっていた。
「さあ、二手に分かれて練習しよう」と青木宣親選手(1)が声を掛けながら子ども達を分けると、いよいよお待ちかねの練習開始だ。
青木選手は、これから行う練習内容を伝え、上田選手(50)とペアになりフライキャッチ、と返球を練習する。
上田選手(50)がフライを上げ、捕球した球を青木選手(1)へ返球する。
帽子を脱ぎ「よろしくお願いします」と、元気で礼儀正しい挨拶をする子ども達に青木選手も上田選手も「おーっ」と元気な返事を返す。
「よぉし、みんな、うまいねぇー」青木選手(1)は、返球されるごとに声掛けを忘れない。
上田選手(50)も「オーケー」と賛辞を送る。
ひと回り終えたころだっただろうか、青木選手(1)は全員に集まるよう指示した。投球時の注意をするためだった。
「ボールはシュートを投げるような握りで投げる癖をつけて欲しい、そうしないとまっすぐ飛ばない。
そして、取ったらしっかり投げること」、と実際にその握り方を見せ、子ども達にも握ってもらっていた。
確認したところで、フライばかりではなくゴロも加えて再度練習を開始。
失敗を恐れず、無心で白球を追う子ども達のひたむきな姿はいつ見てもいい。
何やら和やかな笑い声が聞こえる一角があった。行ってみると、この方がいた。
野球教室監督代行、ベテランの宮本慎也選手(6)である。
ノックの受けた子や順番待ちをしている子に声を掛けていた、例えば「いいグローブもっとるなー」とかよれよれユニフォームの少年を見つけ、「ユニフォームはアイロンまでかけんとー」とか、気さくに話しかけていた。
リラックスしてもらおうとしているのか。
子ども達もわかっているのか、冗談でこずいても引くどころか、笑いながらますます宮本選手に寄って来る。
宮本選手の表情や言葉ははとても温和で、ユーモアたっぷりで、一人でコツコツ練習中している時のイメージとは少しかけ離れているような気がした。宮本選手の周りには絶えず子ども達の輪ができていたし、笑いがあった。
しかし、ベテラン宮本選手はただ談笑ばかりしているわけではなかった。
ノック待ちの子ども達が詰まってくると「早く打てよ」と、ノック担当の田中浩康選手(7)や川端慎吾選手(36)を叱り飛ばすこともあった。
子ども達にとっての貴重な時間を無駄にさせたくないのであろう。
内野守備を指導している、川端慎吾選手(36)、川嶋慶三選手(00)、荒木貴裕選手(24)、田中浩康選手(7)らも、練習の時と違って、笑顔を見せながらリラックスしてノックをしている。
これまで練習中の顔しか見ていなかったので、この笑顔はとても素敵に感じた。この後宮本選手(6)に怒られることにはなるが。
でも、子ども達は違った。この日しかプロの指導は受けられない、という事なのか。
小さな体の全身を使って捕球し、送球する、本番さながらのプレーだ。
彼らのひたむきな姿勢はヤクルトメンバーにも伝わっていたに違いない。最初笑顔を見せていた三輪正義選手(60)も、今は真剣な表情そのもの。
引率の父兄、監督、コーチ方と談笑をする宮本慎也選手(6)。「もっとたくさん練習させれば、もっとうまくなります。」とか話しているのだろうか。その目や表情は周りの人達を和ませるものだった。
その横では、ピッチングのチェックをする、ヤクルト投手陣。石川雅規投手(19)、中澤雅人投手(14)、松岡健一投手(21)らがいた。石川選手は子ども達の球筋を入念にチェックしているようだった。
投球フォームのチェックをする、松岡健一投手(21)と押本健彦投手(65)、投手志望の子の全力投球を見て「すごいなぁ!」と褒めながら指導を行う、中村恭平投手(15)と石川投手(19)。
「お願いします」の声が小さいため、キャッチャーにも聞こえるようもっと大きな声で挨拶するよう指導する石川雅規投手(19)。少し照れ気味の少年の顔も初々しい。
石川投手は野球は「礼節を重んじるスポーツ」だと教えたかったのだろう。
寡黙な相川亮二捕手(2)は、しばらく見ながらのアドバイスだったが、我慢できなくなったのか、自らミットを取って捕球しながらアドバイスするようになった。言葉で教えるより見てもらう、が信条なのだろうか。
「ここめがけて投げてごらん」、ピッチャーにアドバイスする。
後ろで見ていた少年は相川捕手に憧れているのだろか、相川捕手と同じ構えを取るようになっていた。
いよいよバッティングが始まる。
青木宣親選手(1)が中心となり、全員をホームベース上に集合させた。
まずは、青木選手(1)のバッティング講義が始まる。
「バッティングに大切なことは、バットを面としてとらえる事、バットを短く持ってミートすること、ピッチャー返しをする様にセンターに向けて打ち返すことがけることが大切」と、解説した後で自身でデモバッティングを行う。
しかし、あまり飛ばないゴム球を使用してるためイメージより遠くに飛ばなかったのか、青木選手自身が「あれ?」という場面もあった。
青木選手の講義とデモが修了すると、子ども達お待ちかねのトスバッティングが始まる。
青木選手が指名し、館山昌平投手(25)、田中浩康選手(7)、畠山和洋選手(33)、飯原誉士選手(9)がトスをする、こんな贅沢なトスバッティングがどこにあるだろうか。
子ども達は「ハイ!ハイ!ハイ!」と我先に手を挙げた。
青木選手(1)に指名されると、3球のトスバッティングを行うことができる。
ヤクルトの選手や大勢の仲間の前でも恥ずかしがらずに堂々と構える子ども達は大人の私が見ても、やはり凄いと思う。
何人かのバッティングを見ていた青木選手(1)が、トスバッティングを中断する。
見ていて伝えたいことがあったのだろう、またアドバイスを子ども達に与える。
「いっぱい練習しよう!監督やコーチのいう事をちゃんと聞くようにしよう!そうしたら絶対打てるようになるから」と教える。
青木選手が、今日一番に伝えたかったことは練習することの大切さと、監督やコーチのアドバイスに聞く耳を持つ事の大切さだったのかもしれない。
バッティング教室の最後にプロのバッティングを見てもらう、はずだったが子ども達のいる前だからか、三輪正義選手(60)は少し力んだようで、あまりかっこいい姿を見せることができなかった。
「三輪ちゃん、どうしたんだよぉ?」と失笑気味の青木選手(1)と大笑いする館山昌平投手(25)がいた。
面目躍如、とばかりでてきたのが、畠山和洋選手(33)と飯原誉士選手(9)の二人だった。
二人はレフト方面中心にガンガン打ちまくり、その中でも飯原選手はレフトホームラン一本を放つ。
子ども達は二人のバットから快音が出る度に、「おおー、すげー」と感嘆の声をあげた。
楽しかった野球教室もこれで最後。
締めくくりに、「東京ヤクルトスワローズ旗 学童軟式野球大会」の表彰式が行われた。
優勝は浦添タイガース、準優勝が浦城ファイターズ、3位が沢岻(たくし)ロケット。
主催者代表の挨拶から始まり、主催者としてのヤクルトスワローズへの感謝の言葉と、今シーズンヤクルトスワローズの優勝を希望する言葉を送る。
続いて優勝チームの表彰。石川雅規投手(19)から優勝旗の授与が行われ、青木宣親選手(1)と館山昌平投手(25)から優勝盾、松岡健一投手(21)から優勝賜杯が授与された。
松岡健一投手(21)、中村悠平捕手(52)、石川雅規投手(19)、川本良平捕手(28)、武内晋一選手(8)、田中浩康選手(7)、より優勝チーム全員に、優勝メダルが授与される。
引き続き、準優勝チームと3位チーム全員にメダルが授与された。
準優勝チームには、荒木貴裕選手(24)、飯原誉士選手(9)、青木宣親選手(1)、由規投手(11)、福地寿樹選手(3)、山岸穣投手(51)、宮本慎也選手(6)よりメダルを授与される。
最後に、選手代表のお礼の挨拶で野球教室は終了した。
ただし、マイクの調子が悪く、代表した少年の具体的なお礼のコメント聞くことができなかったことはとても残念なことだった。
すべての日程を終え、グラウンドを後にするヤクルト選手の面々。
どの選手も充実した時間を過ごしたことを満足しているような、表情だった。
東京ヤクルトスワローズの選手の皆さん大変お疲れ様でした!
地域の子ども達のために大変貴重な時間を割いて指導をして頂き本当に感謝致します。
子ども達が 野球教室で経験したことを糧に、皆さんのようなプロ野球選手や、興南高校我喜屋監督のような、素晴らしい野球指導者が一人でも多く誕生する事に期待します。
と、私はつぶやき、選手一人一人の背中にお礼をした。
【感想】
今年も無事に終了した、「プロ野球団主催の少年野球教室」ですが、私達がこの子ども達の歳の頃は本土復帰前後でプロ野球選手を目の前で見る事が、全く考えられせんでした。
ですからプロ野球選手達を見る事も「夢のまた夢」、ましてやプロ野球選手からの直々の指導・交流 をしている子ども達の姿など到底想像つかない事です。
しかし、それが可能になったのは各プロ野球球団が毎年沖縄県でキャンプを行うことのおかげであるという事を理解し、子ども達は素直に感謝しないといけないと思います。
また、関係者も子ども達にちゃんとその事を教える事が必要です。
その意味では子ども達がプロの選手に対する敬愛に狎(な)れてしまわぬように、地元の関係する大人の方々が開催の方法、演出で努力し、子ども達 の将来に繋がる影響力のある野球教室にしていく事が大切だと思います。
青木宣親選手(1)の「いっぱい練習しよう。監督やコーチの言うことをちゃんと聞くようにしよう。そうしたら絶対打てるようになるから」のコメントや、石川雅規投手(19)が小声の子に対して大きい声で「お願いします」と言えるまで、繰り返し挨拶をさせた事は、野球が技術のみのスポーツではなく、監督、コーチ、チームメンバーに対して、信頼と礼節を尽くすスポーツだと、教えたかったのではないでしょうか?それを大人の方々が、伝える事も必要だと考えます。
この野球教室で受けた衝撃(刺激・感動)が、憧れのプロ選手や指導者に成ることに繋 がる内容をもたせることに意味があると思います。
最後に今日参加した子ども達が参加したことを誇れるよう、ヤクルトスワローズは今シーズン是非優勝してください、とお願いして今回は終わりにしたいと思います。
今回も、長々と読んでいただき、誠にありがとうございました。
・・・・次回をお楽しみに!