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第2回 特集「食糧難の時代に備え、有機・自然農法で行う家庭菜園作りを学ぶ」
(掲載日:2024年12月17日)
皆さん、お待たせいたしました。第2回 特集「食糧難の時代に備え、有機・自然農法で行う家庭菜園作りを学ぶ」を始めさせて頂きたいと思います。
その前に、前回の特集記事の内容について振り返りながら進めて参りたいと思います。まず、2023年1月30日に掲載した第1回目の特集記事では「食糧難の時代に備え」ということで、これから訪れるであろう食糧危機が日本に起きうる根拠を様々な角度から分析した情報、①~⑦までの要因について述べさせて頂きました。
①「自然災害による農作物への被害からくる輸入減少の影響」
ということで世界各地で起きた自然災害からくる農作物への影響を説明しました。その結果、昨年の2023年は世界各地で大規模な自然災害が発生、これまでの自然災害を遥かに超える地震・豪雨洪水・超巨大台風などの自然災害が連続発生した一年でありました。
②「長期帰化するロシア・ウクライナ紛争によって化学肥料・農薬の輸入が途絶える」
このことが日本の食糧生産に大きな影響を与えるということです。「日本の農業の約98%が大規模慣行農業として行われているため、化学肥料と農薬がないと慣行農業が出来なくなり生産活動がストップしてしまう」可能性が高いということです。
③「農家さんの平均年齢が高齢化し、後継者不足と悩ましい問題が長年横たわっている」
日本の農家の平均年齢が2022年で約68歳であるため上記の化学肥料や農薬が2~5倍以上に高騰した状況では農家経営として採算が取れない赤字経営となるため、恐らく「今春以降に農家を廃業してしまう農家さんが続出するであろう」と専門家又は農家さん自身がネットで訴えています。
④「政府は、やっと化学肥料と農薬を使わない「有機農法」を推進!しかし、前途多難!」
やっと、政府は重い腰を上げて昨年2022年7月に「みどりの食料システム戦略」を立ち上げ、慣行農法から大きく有機農法へと舵を切りました。しかし、日本の有機農業の栽培耕地面積は、1%にも満たっていないため、はたして間に合うのか?結論を出す前に、私達 国民消費者も意識を変え、有機農業の農家さんの農作物を数十円高くても購入する支援をして行かなければならないでしょう。
⑤「日本の食料自給率38%、食料を輸入に頼り切っているため危機的状況」
我が国の食料自給率約38%というのは先進国では有りえない数値だと、世界中の識者からも酷評されており、それでも政府は「米の販売自由化」(米の減反を招く政策)を未だに推進しているのです。我が国への輸出が止まったり、紛争が起き貨物輸送の流通が停止した場合、日本は自国の国民を守る食の確保が出来ず、常に危機にさらされています。
⑥「日本周辺海域(台湾/尖閣)で紛争が起きた場合、の危機とは」
まず、日本周辺の海域のシーレーンの海峡封鎖が考えられ、特に台湾・尖閣諸島の海峡ですね、ここは日本の大動脈であり、ここが封鎖されると食糧を積んだ貨物船が通れなくなります。又、中東に依存している石油エネルギーの石油タンカーも通過できなくなり、日本は流通が止まり、食糧だけでなく石油エネルギー(電気/ガス/石油燃料)も止まることになります。
⑦「中国のしたたかな食糧戦略(世界の穀物の約6割を買い占める)」
中国が、世界中から買い付けた穀物備蓄5億トンというレベルは、中国国内消費だけではなく、食糧不足に喘ぐ周辺諸国への食糧援助をも見据えた数字なのかも知れません。中国主導による新たな「食糧を武器」にする企てともとれます。
①~⑦までの要因から、日本にも食糧危機が訪れる可能性が確実に有ると、これらの諸問題の発生予想が物語っています。
以上が、前回、第1回目の特集記事の中で述べた食糧危機が日本へ訪れる要因であります。昨年は、要因が7つあったのですが、2024年の今年は更に1つ増えてしまいました。それは、
⑧「イスラエル・パレスチナ戦争による西側と中東諸国との対立」によって、日本が石油エネルギーをほぼ輸入に頼っている航海輸送海域が封鎖される危機が発生したことです。
前回、日本周辺海域の封鎖危機に関して述べましたが、新たに日本の石油輸入の9割が中東海域(ホルムズ海峡)を通り、その海域で封鎖危機が発生していることで食糧危機の要因がまた1つ増えてしまい要因は①~⑧になりました。
難局を乗り越える施策は有るのか?
《備蓄のすすめ》
この様な状況が予見できるわけですから、各自で食品の備蓄が必要と言えるでしょう。備蓄出来る食品は缶詰や乾物、レトルト等の加工食品食品等が挙げられますが、その中で何と言っても主食の「お米」です。
ちなみに、日本では昔から米のみの「塩おにぎり」や「日の丸弁当」等で空腹を凌いでいたとの話は良く聞きますが、タンパク質(必須アミノ酸)を含む割合が米は(65%)、麦は(37%)と比べて約2倍近くあるため極端な見方をすると米だけで生きて行けるのです。
「お米」があれば何とか飢えることはないのです。終戦直後の日本はお米の配給のみで国民は生きながらえて来たという体験があります。しかし、みそ汁に入れる葉野菜ぐらいは何とか自前で作りたいものです。
《自己で行う家庭菜園のすすめ》
備蓄出来ない野菜類は、自分で作れますので、ノウハウを学び各自で家庭菜園を行って行きましょう。
当サイトの【自然農法特集】では、今回の結論として、化学農薬や化学・動物肥料を一切使用しない有機農法、或いは自然農法を市民の皆さんが家庭や職場で行えるプランター菜園のノウハウを今後、情報提供し、伝え教える啓蒙活動を行って参りたいと考えております。
有機農法栽培のプランター菜園の写真
【最後に、】
当サイトであります「ビジネス・モールうらそえ」では、これまで述べて参りました根拠から、これから訪れるであろう「食糧難の危機」に備え、様々な情報のご提供や、難局を乗り越えるための「有機農法・自然農法栽培」を複数の自然農法生産者農家さん達からの技術協力を頂きながら、今後「家庭菜園としてプランターを活用した栽培技術」を確立し、実践した内容を通して皆様へ「技術ノウハウの情報提供」を行なって参ります。
自然農法で「プランター菜園」を成功させるために技術的な指導を頂いている自然農法の実践農家さんをご紹介いたします!
沖縄県 南城市の畑(圃場)6,7ha 自然農法 実践農家、知念正雄さんと、 美江子さんご夫妻 |
脱サラして、友人から土地を貸してあげるからと、自然農法の栽培方法を習い、道具も貰いうける等、恵まれた環境でのスタートだったので、最初から自然農法の農業を始めることが出来たのです。2025年で14年になります!しかし、二人とも75才を超えており、いつまで続けられるか分かりませんが、もっと自然農法が広がるように頑張ります。
これだけの広い圃場ですけど、一切、農薬や、肥料・堆肥も使っていません。落ち葉を集め、オリジナルの腐葉土(企業秘密)を作り、畑にまき野菜を栽培することで、大きく育って みずみずしく お美味しい野菜が採れるんですよ。
一番大切なのが土作りです。自然土壌になるまでは虫が発生しましたが、自然の土壌を作れば、土から害虫は殆ど発生しません。作物によっては蝶チョが飛来して卵を産まぬようネットを掛けるぐらいです。他は、ほったらかしです。作った野菜は自然農法の野菜を販売していただける店に直売していますね。
自然農法農家の知念美江子さんが、ゴボウを抜いて育ち具合を見せてくれました! |
自然農法の畑で育つ大根はみずみずしくて美味しいよ! |
長ネギ圃場 |
長ネギ(拡大) |
相性の良いブロッコリーに挟まれて、虫も つかず、すくすく育つサニーレタス |
ブロッコリーの葉に付くてんとう虫、自然農法 だから、一切、農薬散布はしませんので このくらいはしょうがない。 |
灰色のニービ土壌の畑にゴロゴロと行ったり来たりしながら、淡々と人参の種を蒔く姿があった。 |
広い圃場も「ローラー自動種まき機」を使えば疲れない大丈夫だよ!と語る知念正雄さん。 |
どうぞ、有機・自然農法を学び、安心安全の食生活を確保し、食糧難を乗り越えるための備え「転ばぬ先の杖」として当サイトの情報配信をご活用ください。
前回、第1回特集記事での表現の訂正と、2025年 今後、日本の置かれている食糧安全保障の状況説明について
日本は、これまで米の自由化を選び、1999年に農業基本法が変わりました。米の販売自由化に伴い米農家が自主的に作を減らしてきました。米の自由化によって政府が米の買い上げを極端に減少させたので、農家は赤字になるため作量を減らし、これを機に輸入米(米国産)がその分増えたわけです。
また、日本人の食の変化(肉 ・ 「サラダ油/天ぷら油等の油脂類」の増加)も伴って、1965年当時73%あった、国内食料自給率が、現在の38%迄落ちたのです。前章では、政府の「減反政策」が逆行しているとお伝え致しましたが、正しくは、政策ではなく「1999年に農業基本法が変わり、米の販売自由化に伴い、米農家が赤字を避けるため、自主的に作を減らした」であり、表現に誤りがありましたので、ここで訂正いたします。(米の減反を招く政策)
しかし、現在、世界中で様々な要因による食糧確保の危機が叫ばれている中、日本政府も2023年度、緊急に日本の食糧安全保障対策を審議し、「日本の食料備蓄及び食糧自給率の極端な底上げを目的」とする法改正の必要性に至り、2024年度に日本の食料基本法を25年ぶりに改正致しました。
ところが、残念なことに、途中、外部から横やりを入れられ、食糧自給率を上げる方向には向かわず、「足りない分は輸入を増やせ」との内容にすり替えられてしまいました。政府の上部にいる「何者かの存在」の指示に従わざるを得ない現在の日本の状況は独立国ではないことが分かります。
ちなみに、「60パーセント食糧を外国に頼っているということは、外国に生命線を握られているということです。国として独立はしていますが、食べ物に関しては属国でしかない、ということになります」(小泉武夫氏の著作等)また、末松広行氏(元農林水産省事務次官)の著書「日本の食料安全保障」の中で「食糧を自給できない国は・・・」の章で、小泉武夫氏の言葉を紹介し、農水省事務次官を辞められたから発言できる言葉で、私達国民に問題の深刻性を理解して欲しいという覚醒を促す内容となっています。
要は、「日本政府の意思でなく、外部から意図的に食糧自給率を下げさせられ、コントロールさせられているので、国民の皆さんは、自覚して自衛してください」との意味だと解釈できるわけです。
これらの影響を受けて、私たちは、食糧の自作の仕方を学ばなければならないという必要性にたどり着くわけです。ということで、その農作物の作り方のノウハウをこれからお伝え致します。
今回は、下記で実践情報をご提供いたします。
「食糧難の時代に備え、有機・自然農法で行う家庭菜園作りを学ぶ」 実習編
そして、今回は農家さんの自然農法栽培技術のノウハウを生かし、圃場を家庭用のプランタ―に置き換え、これまでに実践を繰り返して蓄積した研究実績の成果を確立させ、「家庭菜園としてプランターを活用した栽培技術」として「有機農法」と「自然農法」の2種類に分けた育成方法を皆様へご紹介して参りたいと思います。
(農法の始まりと決まりの違い)
★自然農法には二人の代表的な提唱者がいます。その一人である岡田茂吉氏(おかだ・もきち)は、今から約90年前の1935年に無農薬・無肥料で育てる自然農法の基本となる理論を構築した第一人者です。
もう一人の提唱者である福岡正信氏(ふくおか・まさのぶ)は、その自然農法に加え、不耕起・無除草というなるべく人の手を加えずに育てる自然農法を掲げています。
★有機農法の場合、化学的に合成された肥料と農薬を使用しない代わりに、天然の有機物を用いた肥料である有機資材を用いて農業を行います。
● ●
自然農法 / 有機農法 / 特別農法 / 慣行農法
各種農法の違いを解説
■自然農法と有機農法との違いとは
まず、★自然農法は農薬や化学・動物肥料を一切使わず、唯一、落ち葉が腐敗発酵した腐葉土のみ使用し、出来るだけ自然の状態を保ち栽培方法する農法です。(収穫と育成期間は、慣行農法を標準とすると、自然農法の収穫は少なめで育成期間は日数が掛かります。)
そして、★有機農法は、化学的に合成された肥料や農薬を使用しませんが、天然由来の物質を発酵させ作った堆肥を主に使い、天然由来の物質であれば、人為加工した肥料や農薬も許容する点でこれらの栽培方法とは異なっています。(収穫と育成期間は、慣行農法を標準とすると、有機農法の収穫はやや少なめで育成期間はやや日数が掛かります。)
ちなみに、自然農法及び有機農法と、これまでの慣行農法との間には、農薬・化学肥料を50%以下に減らした栽培方法で「特別農法」というものがあります。
このように、大きく分けて農業には4種類の栽培方法があります。そして、今回は化学農薬と化学肥料を使用せずに作物を栽培する有機農法と、一切使わない自然農法を紹介してまいります。また、家庭菜園として皆様がどなたでも栽培できる「プランター栽培」に置き換えて、栽培方法を実践記録した写真実績を紹介しながらマニュアル化してご紹介したいと思います。
有機農法の実践方法 (初心者向け編)
今回の目的は、飽くまで皆様が「食糧難の時代に食糧を確保するための家庭菜園作りの方法」の紹介ですので、菜園作りが初めての方のために自然農法に対して、比較的栽培が安易な有機農法の野菜作りを先にご紹介させて頂きたいと思います。
※有機農法での菜園経験のある方は次回、自然農法を詳しくご紹介いたしますので暫くお付き合いください。
有機農業の特徴
有機農業とは、天然の有機物を用いた堆肥と自然の土を混ぜ合わせた土壌で栽培する方法ですが、有機農業においては、微生物の働きによって土壌の保水性が向上し、根が発達しやすくなります。更に必要に応じて有機資材を使用し肥料を与えるため、作物の成長を促すことができます。また、野菜の味や栄養価が高いことが特徴で、日持ちも良いです。
有機物を用いた堆肥作りが一番大切で、それが肥料となり、土と混ぜることによって栄養価の高い土壌を創り出します。
まず、堆肥作りを行い、次に土(地元の土壌)と混ぜ合わせてプランターに移します。
今回は、堆肥作りを有機農法で行うプランター菜園で一番有名なコンポスト手法をご紹介いたします。
コンポストには2種類あり、排水機能を施した容器コンポスト(例:底に穴を開けた蓋付のバケツ等)と、段ボールを使用した段ボール・コンポストがあります。今回は有名な段ボールコンポストにチャレンジして頂きます。
《用意する物》
プランター:1台 (サイズは育てる作物によって選んでください)
島尻マージ :1袋(地元の土であれば良いと思います)
腐葉土 :1袋 (落ち葉を腐敗・発酵させた土)
赤玉 : 小袋1袋 (小石の代わりにセラミックの小玉を使う)
軽石 : 小袋1袋 (水捌け用にプランターの底に敷く)
堆肥作り用の土:1袋(菜園用の土:市販で肥料が入っていても可、出来るだけ純粋の土が良い)
段ボール箱:1箱 (サイズは自分で考えてください)
すのこ:1台 (木製で段ボールを載せられるサイズ)
スコップ:1個 (混ぜ合わせ用のためプラスチック製が良い)
ビニール :1枚(雨に濡れないよう段ボールにかぶせるサイズ)
噴霧器:1個 (水かけ用)
堆肥を加えた有機農法 プランター実験栽培の実績
(2008年10月~2009年4月)
2008年(16年前)に行った実験栽培で、段ボールコンポストで作った堆肥を、①市販培養土(菜園用)に混ぜて栽培した野菜と、②堆肥を使用せず市販培養土と腐葉土のみで栽培した野菜の成長がどのように違うのかを、種植えから収穫まで比較した記録実績がありますので皆さんへご紹介したいと思います。
堆肥作り (段ボール・コンポスト材料)
【段ボール箱コンポストで行う堆肥作りと、プランター家庭菜園の作業解説】
まず、堆肥作り用の土(菜園用の土:市販で肥料が入っていない純粋の土でも、既に肥料がブレンドされている培養土でも構いません)をコンポストの容器(段ボール箱)に入れて頂きます。
左:市販培養土 右:市販腐葉土 |
次に、その段ボール箱を用意して頂いた 「すのこ」の上に乗せる。(地面と離し段ボール内で発生する水分を蒸発させる、或いは雨によって段ボールが濡れないようにするため)
腐葉土(左)と培養土(右)を入れて、
腐葉土 |
培養土 |
掻き混ぜます。
腐葉土は、落ち葉や、木くずを腐敗菌を培養して腐敗・発酵分解し作られた土です。ですから、腐葉土の中には有機物を腐敗発酵分解する菌が入っており、腐葉土を「培養土」或いは「地元の土壌」と混ぜ合わせることが有機物を発酵分解する堆肥づくりの条件となります。(※培養土や地元の土のみでは、腐敗菌が少ないため腐敗・発酵が遅くなります)
そして、家庭で発生する生ごみの中から有機物の果物の皮や、野菜の歯切れ、卵の殻、等を刻んで入れ、土の表面に出ないように掻き混ぜます。
又、菌が発酵しやすいように土の表面に必要に応じて噴霧器で水をまきます。(この際に、動物性の有機物として魚や肉の骨を砕いて入れる方もいますが、栄養過多となり、害虫が発生しやすくなるためお勧めしません。)
段ボール箱の蓋を閉めて、上からビニールをかぶせ四方に重石を乗せ飛ばないようにし、ベランダや、庇のある玄関先などに1~2日放置します。(ビニールは土内の水分が蒸発しないようにすることと、臭いや発生するカビが飛ばないようにする役目 及び、雨除けのため)
2日して箱を開けると土の表面が一面、白カビ菌に覆われ白くなっているはずです。それをスコップで掻き混ぜます。恐らく、段ボール箱は徐々に、入れた生ごみの有機物質を菌が発酵分解するため熱を帯びてくると思われます。それは有機物が発酵し腐敗分解されている証拠でもあります。
また、有機の生ごみを入れ、掻き混ぜる行為を2~3週間くらい暫く繰り返します。
再度、有機物(生ごみ)を入れ、かき混ぜ 蓋をして寝かせ、発酵させる行為を繰り返し続けます。
(2~3日毎に繰り返す)
暫く寝かし、発酵腐敗により有機物質を分解させる。
堆肥作りは、段ボールが雨の影響を受けにくい場所が良い。(玄関の外) |
入れた物が完全に分解されたと思われるようになったら、一端止めて、ポリバケツのような別の容器に移しても構いませんし、段ボールが水分を吸って痛んでいなければそのまま使用しても良いです。段ボール箱で混ぜ作った土が堆肥となります。
そして、別の容器(かくはん用の容器)を準備し、栽培用プランターに入れる土作りを行います。
腐葉土と培養土を混ぜた土、又は、腐葉土と地元(島尻マージ)を混ぜた土と
段ボールコンポストで作った堆肥とを
混ぜ合わせます。その配合は【土7:3堆肥】の割合で掻き混ぜてください。
かくはん用の別容器 沖縄の土(島尻マージ) |
その際、洗面器よりも一回り大きな容器(かくはん用)に土を入れ、作った堆肥を加え(土7対3堆肥の割合)赤玉も1加えて掻き混ぜます。(腐葉土を混ぜた土7:堆肥3:赤玉1)
その前にプランターの底に水はけ用の軽石を敷き詰めます。
混ぜた土をプランターに移し、水をまき、1週間程、寝かします。その間、土に微生物がネットワークを作り栄養豊かな土壌が出来上がります。
実験栽培では、堆肥の効果がどれほどあるのかを調べるために段ボールコンポストで作った堆肥で、
(A)堆肥を全く加えず培養土と、腐葉土のみで作った土のプランター①②と、
(B)堆肥を、培養土に1割ほど混ぜたプランター③に分けて
野菜の成長具合を観察して見ました。
又、葉野菜の種は、リーフ・レタスの種/サラダ・ほうれん草の種/人参の種の3種類を①②③④の4台のプランターに分けて比較栽培しました。 種は当時の園芸専門店にて購入した種を使用。
【リーフ・レタスの比較実験栽培】
①白(20㎝×60㎝)プランター×1台に堆肥なし(培養土+腐葉土)の土にリーフ・レタスの種を蒔き栽培する。
※後日、リーフ・レタスの苗が育った段階で、苗を間引きし、堆肥を混ぜ合わせた別のプランターに植え替えを行い成長具合を比較確認した。(理由:種植え時に、比較植えするプランターの数が足りなかったため)
【サラダ・ほうれん草の比較実験栽培】
②白(20㎝×60㎝)プランター×1台に堆肥なし(培養土+腐葉土)のみ土にサラダ・ほうれん草の種を蒔き栽培する。
③白(20㎝×60㎝)プランター×1台に堆肥有り(堆肥1:9「培養土+腐葉土」)の土にサラダ・ほうれん草の種を蒔き栽培する。
【人参(にんじん)の比較実験栽培】
④茶色(30㎝×60㎝)プランター×1台に堆肥なし(培養土+腐葉土)のみ土に人参の種を蒔き栽培する。
※後日、人参の苗が育った段階で、苗を間引きし、堆肥を混ぜ合わせた別のプランターに植え替えを行い成長具合を比較確認した。(理由:種植え時に、比較植えするプランターの数が足りなかったため)
たね蒔き
有機微生物がネットワークをはり栽培土壌環境の整ったプランターに、今度は野菜の種を蒔いて行きます。皆さんが お好きな野菜で、その時期の種蒔きの季節に合った種を選んで蒔いて頂けると良いと思います。
只、沖縄の地域に合った野菜が好ましいと思います。また、最初は簡単なレタス系の葉野菜から始められた方が、育ちが早く 収穫までの期間も短いので自信をつけるためにもお薦めいたします。
それから、種を蒔く時期ですが、出来るだけ自然を重視するため、新月に入ってから満月に向かう時期に種を蒔くと芽吹きやすいです。
【これは、引力の作用が働いていて、潮位の満ち引きと関係していると思われます。生命の神秘で月が満月に向け大きくなる期間に植物も成長するのです。逆に満月後に種を蒔くと、新月に向けてどんどん力が削がれるのでなかなか芽吹きません】
(1) まず、指先のだい2関節くらいの深さの溝を2列、掘って行きます。(60㎝×20㎝プランターの場合)そして、種は必ず発芽するとは限らないため、芽が吹いた後に苗の間引きをする前提で、間隔を置かずに種を溝に蒔いて行きます。
(2) 1つのプランターに複数種類の種植えを行うこともOKです。しかし、葉野菜は葉が広がるためプランターの大きさにもよりますが、最初は1種類に限定して植え、慣れて増やしても2~3種類までが適当です。(一応、野菜にも相性が有りますので調べて相性の良いモノ同士の種を選ぶことをお勧めします)
種蒔き 2008年10月12日 |
(3) 種を蒔いたら、穴を埋めて、種に浸み込むように 水をジョロで まんべんなく掛けてください。
以上で種蒔きは終了です。 後は、毎日適度の水やりをして発芽を待ちます。
右から
①リーフ・レタス(堆肥なし)白プランター
②ほうれん草(堆肥有り)白プランター
③ホウレン草(堆肥なし)白プランター
④人参(堆肥なし)茶色プランター
サラダ・ホウレン草②堆肥なし③堆肥有り2008年10月17日発芽 |
①リーフ・レタス堆肥なし 2008年10月17日発芽 |
10月17日に発芽した左、②サラダ・ほうれん草(堆肥なし)と、③サラダ・ほうれん草(堆肥有り)
そして、右は①リーフ・レタス(堆肥なし)が発芽しました。人参も少し遅れて発芽しました。
サラダ・ホウレン草②堆肥なし 2008年10月30日 成長苗 |
サラダ・ほうれん草③堆肥有り(1割) 2008年10月30日 成長苗 |
10月30日に成長した
上記左②サラダ・ホウレン草苗(堆肥なし)と、上記、右③サラダ・ほうれん草苗(1割堆肥を混ぜた)
両方とも苗の成長具合は同等ですが、左②のサラダ・ホウレン草は、右③サラダ・ほうれん草に比べ、若干、葉が細いという違いが感じられます。
下記、左④人参苗(堆肥なし)が成長、 下記、右①リーフレタス苗(堆肥なし)の成長、
④人参堆肥なし 2008年10月30日 成長苗 |
①リーフ・レタス堆肥なし 2008年10月30日 成長苗 |
途中、プランターを追加してゴーヤーを植えました。成長が早く、10月30日には下記の様に成長しました。
⑤ゴーヤー堆肥有り(2割) 2008年10月30日 |
⑤ゴーヤー(堆肥)/④人参(無)/②ホウレン草(無)/③ほうれん草(堆肥)/①リーフ・レタス(無) |
上記の順序で①~⑤のプランターを並べ、2008年10月30日(上写真)
~11月7日(下写真)までの苗成長の見比べますと、堆肥入り/無しで野菜の成長の伸びに違いが少しずつ表れて来ました。
⑤ゴーヤー(堆肥)/④人参(無)/②ホウレン草(無)/③ほうれん草(堆肥)/①リーフ・レタス(無) |
特に、真ん中当りの②ホウレン草(堆肥無し)と、③ほうれん草(堆肥有り)は成長の違いが顕著に表れています。(約1週間経過しての野菜苗の成長変化)
①リーフレタス苗の成長2008年11月7日 |
2008年10月12日の種植えから26日後(約4週間弱)11月7日ある程度成長した堆肥なしで育てたリーフレタスの苗を間引きして、堆肥有りのプランターへ移植を行う。(堆肥有りと、堆肥なしとの成長比較実験を行うため)
①リーフレタスを間引きして別プランターへ移植する。2008年11月7日 |
にんじん(人参)も、同様に堆肥なしのプランターで育てた人参の苗を間引いて
④人参を間引きした後 2008年11月7日 |
堆肥を多く混ぜた(3割位)下のサイズW60×H40㎝プランターに移した。
⑥人参とリーフレタスをW60×H40㎝のプランター(3割堆肥有り)へ移植 |
移し替えた直後の写真なので苗は張りがなく、ぐったりします。しかし、その後水をまき、暫く放置いておけば大丈夫。
移植作業を子供たちに手伝ってもらいました。とても良い食育教育になりますよ。(お奨めです)
奥が人参、手前がリーフレタス移し替えてから6日後、元気にプランター内で育つ。
⑥人参と、リーフレタスの苗移植から一週間後、2008年11月13日 |
※ちなみに葉野菜は大きく葉を伸ばすため、間隔を空けて植えてください。又、成長する間、広がった葉で窮屈になって来ましたら更に間引いてあげてください。
移植~3週間後、堆肥を3割(土7:3堆肥)混ぜた⑥プランター人参&リーフレタス |
2008年11月30日、移植から3週間後、種植えから6週間後、堆肥を3割(土7:3堆肥)混ぜた⑥プランターではこんなにもリーフレタス&人参が成長しました。
⑥リーフレタスを真上から撮影 みずみずしく、美味しそうです。 |
④堆肥なしで育てた人参の葉は成長している様に見えますが、根野菜なので根っこの人参は育っているのか?気になります。 |
同じく、堆肥なしで育てた②ホウレン草(無)と、堆肥を混ぜて育てた③ほうれん草(堆肥1割)の成長ぶりを比較してみます。(下掲載)
堆肥なしで育てた②ホウレン草(無)のプランター |
堆肥なしで育てた②ホウレン草(無)は、種植えから6週間後も苗の成長がストップしたままである。
有機堆肥を混ぜて育てた③ほうれん草(堆肥1割) |
有機堆肥を混ぜて育てた③ほうれん草(堆肥1割)は、堆肥なしの②ホウレン草に比べ2・3倍に成長しています。しかし、これ以上成長していません。※混ぜた堆肥が1割(土9:1堆肥)では少なかったようです。今回、③堆肥有りと、②無しで育てたほうれん草の比較栽培実験で、有機堆肥を加えることによって成長の成果が全く違うことが分かりました。そして、堆肥は3割程度が必要だということも証明されました。
⑤ゴーヤー(堆肥2割)2008年11月30日 |
10月18日頃に植えたゴーヤーは、葉が大分成長しましたが、さすがに12月を前に成長が止まり下葉が枯れ始めたので、栽培を止めました。植えるのが8月頃であれは大きく成長したゴーヤーの瓜が採れたのでしょう。しかし、成長の確認は出来たので次回は植える時期を3月頃にすれば、5月、8月、10月頃の収穫での3期作が可能だということが分かりました。
①リーフレタス(堆肥なし)は、12/11の時点でこれ以上の成長は見込めません。 |
※リーフレタスの成長の比較実験では、上記の①リーフレタス(堆肥なし)と
下記の⑥リーフレタス(堆肥3割混ぜたプランター)では4倍近い成長の差が出ました。
⑥リーフレタス(堆肥3割混ぜたプランター)2008/12/11時点 |
見事に成長した⑥リーフレタス&人参です。
この様に、通常の(培養土と腐葉土を混ぜた)土壌のみでは成長に限度があることが明らかになりました。
ところが、その土壌に追肥すること(有機堆肥を混ぜる)によって実験栽培では、成長を大きく助ける働きがあり、その結果、野菜が大きく稔るという成長が確認でき、有機堆肥によってプランター栽培が可能であることの証明ができました。
収穫作業:リーフレタス 有機堆肥(a有り/b無し)の栽培比較実験
a) ①リーフレタス(堆肥なし)プランターからの収穫
①リーフレタス(堆肥なし)2008年12月14日に収穫する |
10月12日に種を蒔いたリーフレタスが、これ以上、成長しないことを確認し、12月14日に収穫しました。(※葉野菜は約2か月前後で収穫が出来ることが分かりました。)
子供たちの食育に良いと思い、リーフレタスの収穫作業を子供たちに手伝ってもらい収穫体験をしてもらいました。
約10cm~13cm程度に(堆肥なし)成長した①リーフレタスです。根を残し、ナイフでカット収穫。
b) ⑥リーフレタス(堆肥3割混ぜた)プランターからの収穫
⑥リーフレタス(堆肥3割混ぜたプランター)2008年12月14日に収穫する |
同日、12月14日までに成長したリーフレタス(手前)のみを収穫しました。
こちらも、子供たちに収穫を手伝ってもらいました。子供たちは先程とは違い、堆肥で大きく育ったリーフレタスだと知り、驚く!「同じ野菜なのに何故こんなに大きくなるの?スゴイ!」と叫びながら楽しんで収穫してくれました。
みて!―大きいでしょう! |
こっちも大きいよー! |
堆肥を加えた土で育ったリーフレタスは、見た目ウサギの耳が長すぎて折れ垂れている様な感じで、長さが40㎝以上あり、ウサギの耳より大きく成長していました。
子供たちは、収穫作業に飽きたのか、いつの間にか遊びに行ってしまいました。仕方ないので残りは私が収穫致しました。
化学肥料・農薬や、動物肥料を一切使わずに、有機堆肥のみを混ぜるだけで、こんなにも作物が大きくなるものかと正直、とても感激でした。今夜は焼き肉パーティーができそうだと、焼き肉をリーフレタスで巻いて食べる想いを馳せながら収穫したことを覚えています。
大変見事に成長したリーフレタスです。スーパーでも有機栽培でこんなに大きく育ったリーフレタスにお目にかかったことはありません。皆さん、ご自宅でこんなに簡単に野菜が育てられるんですよ!凄いですね!
最後のひと房を収穫!
リーフレタスを収穫し、人参のみが残った プランター。(人参は収穫時期が違うため) |
有機堆肥を3割加え栽培したものと、無し で栽培したものでは、この差です。 |
栽培比較実験では、見事に分かりやすい結果が収穫によって証明されました。
ホウレン草の、1割の堆肥を混ぜた栽培では、堆肥無し栽培との比較栽培実験で2倍程度の成長差が確認できました。しかし、1割程度の堆肥では成長の差があまり感じられないことが分かりました。
次に、リーフレタスで行った比較栽培実験により、3割程度の堆肥を混ぜることによって大きく3~4倍程に成長差が現れました。
逆に、それ以上加えると、栄養過多となり、肥毒となって害虫の発生が予測できます。或いは、大きくなりすぎて水腐れする可能性を感じました。(これまでの経験値から)
これらの結果から、堆肥は、3割程度を目途に加えることで良い栽培成果を出すということが分かりました。 これらの栽培実験により、堆肥は与えすぎてもいけない、少なすぎても良くない、丁度3割ぐらいが良い結果をもたらすことが証明されました。
※(注意)ちなみに、有機堆肥を作る際に、動物性の生ゴミ(魚/肉等のクズや、骨)等を入れてはいけません。(有機堆肥でなく動物性肥料になってしまいます)
動物性の有機物を加えると栄養過多の土壌を作り、肥毒となって害虫を発生させてしまいます。そうなると農薬が必要となり、有機農業とは大きく距離を置く栽培となります。
害虫の発生は、汚れた土壌を浄化するために発生すると言われています。出来るだけ自然に近い有機物によっての堆肥作りでないと良い土壌は作れません。(※宮崎駿監督のアニメ映画「ナウシカ」で語られる「放射能で汚染された地球の土壌を再生させるために虫たちが浄化させている」という内容は真実に基づいていると思えます。)
リーフレタス収穫量の成果 及び 焼き肉パーティー
収穫したリーフレタスを計ると、殆どが何と40センチ以上で大きいもので43センチ程に成長していました。
収穫したリーフレタスをテーブルに広げてみました。ざっと、こんなもんです!40×60cmのプランター半分を使ってこれだけの量を収穫できました。大収穫です!凄い成果です!
堆肥を使わず育てたリーフレタス(下)は、20×60cmプランター1台分から収穫できた分がボールに入っている量です。
堆肥入りのリーフレタスは40×60cmプランターの半分しか使っていませんので、もし、まるまる 1台分のスペースを使い育てていたら、この2倍の収穫になったことでしょう。
さて、我が家では、今夜のディナーとして本日収穫したばかりのリーフレタスを使った焼き肉パーティーが催されました。
最初に、長男の息子が我慢できずに 焼いた牛肉をレタスで巻き、早速「いただきまーす!」とかぶりつき 「美味しい!」と叫ぶと 下の娘、二人の子供たちも真似て、「わたしもーやるーと」、自分で収穫したレタスで焼き肉を巻き、楽しそうに肉の取り合いをしながら、家族がみんなで楽しく食したことを覚えています。
美味しい! |
私も、どれどれと、採れたての新鮮なリーフレタスに焼いた牛肉を乗せ、巻いて食べました。とても美味しく頂かせてもらった事を覚えています。同時に収穫したボールの中のレタスは、小ぶりなので味噌汁の中の葉野菜(具材)として使われ、収穫された野菜たちは、適材適所で無駄なく調理され料理になっていました。(16年前)
自然の恵みに感謝し いただきまーす! |
以上で、(2008年秋)16年前に行った有機堆肥を使った有機農法で栽培する葉野菜のプランター実験栽培実績を通しての「有機農法のプランター菜園栽培方法」の紹介を終わります。
これまで述べて参りました有機堆肥の作り方で栽培した人参や大根などの根野菜の栽培実績も随時、紹介してまいります。
最後に、実績報告に見るこの様なプランター栽培による家庭菜園が十分可能であることが、浦添市のような耕作地の殆ど見られない街での野菜の栽培方法としては、とても有効な方法だと思います。この有機栽培方法が、今後起こりうる食糧難を乗り越えるための転ばぬ先の杖(栽培技術)として市民県民の皆様へ普及して行くことを願っております。
※但し、アパート・マンションのベランダで行う場合、日照角度や、日照時間によって栽培可能な野菜と、そうでない野菜がありますので、その辺の事を良く考慮されて実践されてください。【今回の栽培実験は屋上に近い広さのベランダで行っていますご承知下さい。】
やはり、菜園栽培には、出来るだけ直射日光の当る時間の長い場所(屋上や庭先・屋根なし駐車場)で行うのが理想ですが、葉野菜のみでしたら、アパート・マンションのベランダでも可能ですので是非、チャレンジされてみてください。
今後、堆肥も使わず、出来るだけ自然な環境・条件で栽培する「自然農法」を実践し健康食を極めたい方々に向けて、この後、順次「自然農法」の実験栽培実績を踏まえた 「自然農法のプランター栽培方法」を紹介してまいりますので、ご期待の方々はもう暫くお待ちください。
《前回特集記事リンク》
特集Ⅰ「食糧難の時代に備え、有機・自然農法で行う家庭菜園作りを学ぶ」2023年1月30日掲載
また、本事業コンテンツの趣旨をご理解頂き、ご支援いただいております企業の皆様に心から感謝申し上げます。
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