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シリンカー~カーミージを憩いの「親水公園」にするための実証活動

 

 

去った8月23日に、浦添市港川の自然海岸(通称:カーミージ)において浦添市の「平成23年度まちづくりプラン賞」を受賞した港川小学校と、港川自治会、また笹尾商工(株)(シリンカー~カーミージ、エンジョイ・カヌー実行委員会)との協働によって、まちづくりプランの事業が行われた。(「まちづくりプラン賞」はこちらから)

同事業は、同委員会の主催によって行われる、カーミージの海岸域で港川
小学校教諭約40名が参加したカヌー体験教室である。同事業の目的は、「シリンカー・カーミージ周辺の自然や資源の活用、里浜活動の推進、親水公園の事業化に向けた取組の一環としての実証活動」だという。

内容としては、これまでの里浜活動(港川小学校による子どもたちの自然観察会)西海岸の海からキャンプキンザーに沿って流れる川(シリンカー)とカーミージの環境保存活動によって国の西海岸開発計画を見直してもらった実績から、西海岸の道路建設計画の中で、カーミージ周辺域に市民の憩いの場である親水(しんすい)公園の実現化を目指し、浦添市と協働し、市民による海域での体験活動を実証して行くものである。

また、同事業は港川小学校、港川自治会はもちろんのこと、地域企業の笹尾商工株式会社(アウトドアショップ・NEOS)代表取締役社長 笹尾 修司さんと、スタッフの方々のボランティア協力により実現した。また、アウトドアショップ・NEOSからは、十数艇のカヌーの無料貸出や、同事業に関連する機材の設置なども支援していただいた。

 

当日の午後1時より開催されたカヌー体験事業は、港川小学校校長 崎濱 秀一さんの挨拶に始まり、港川自治会長 銘苅 全郎さんが趣旨説明を行い、笹尾商工(株)代表取締役社長 笹尾 修司さんから日程の説明や、カヌー体験への心得などで幕を開けた。

 

この日は快晴で波もなく、絶好のカヌー日和となった。先生方は2つのクルーに別れ移動。1クルーはカヌー体験へ、2クルーはカーミージの「亀岩」に登り、銘苅会長から沖縄本島で1、2の面積を誇るイノーの素晴らしさや、西海岸道路建設計画の説明を受け、真剣な眼差しで聞き入っていた。

亀岩から海を覗くと小魚の魚群が鮮やかに確認できた。その透き通った水中の透明度の高さは大サンゴ礁のイノーが与える天然の潤いであるかのように美しい。

そのころ1クルーの先生らは砂浜に降り、アウトドアショップ・NEOSのスタッフからカヌーを体験するためのレクチャーを受けていた。
ライフジャケットを装着し、浮かぶことからスタートである。女性陣は年齢を忘れ(笑)「わーっ!キャー!」と子どものように無邪気に歓声をあげていた。次は腰まで海に浸かりパドリングの練習。右、左と水面を優しく掴むように感触を確かめていた。
先生方の気持ちは、指導員の説明を超え、既に海の上にあったのではと思えるほど、眼差しは小学生の様に純粋に海を見つめるそのものであった。

さて、いよいよ2人乗りカヌーに乗り込みいざ海原へ。
始めは恐々パドリングをしていた先生方も次第にパートナーとの呼吸も合い、初めてとは思えないほどすいすいとスピードを増していった。カーミージから望む風景は、橋が架かる対岸のクレーンを背に、真っ青な海面に浮かぶ海鳥の戯れのようであった。
時間いっぱい海原を縦横無尽に走り回り、砂浜へ帰ってくる先生方は誰もがやんちゃな子ども達の笑顔にみえた。

1クルーのカヌー体験終了後、指導員から「1クルー1番の笑顔!」と黒島 千代子先生が紹介され、OTVの記者よりインタビューを受けていた。

黒島先生)
「この体験の素晴らしさを多くの方々に知っていただきたい。もっと もっと、このような機会を増やし、この海の美しさや貴重な自然を大切に守っていく重要性をアピールしていきたい。それからこの体験を活かして来年は子ども達にカーミージの魅力を伝えていきたい。カヌーから海を覗くと今までとはちがう海の素晴らしさがよくわかるし、そこから自然への関心や、地域への愛着を持つようになると思う」と、目を輝かせてインタビューに応えていた。今回の研修体験が先生方にとって、いかに感動的だったのかが伝わってきた。
続いて、OTVの記者から銘苅会長がインタビューを受けた後に話しを伺うことが出来た。

銘苅会長)
「地域の港川小学校を舞台に、この海を授業の中に活かしてほしいと思う。子どもたちが自分の街のことにもっと関心を持ってもらうために、まずは未経験のカヌー体験を通してカーミージの素晴らしさを知ってもらい、次は地域に目を向けてほしい。
市民への参加にも繋げて行き、カーミージを保全する重要性、公園化への必要性をアピールすることで西海岸の環境整備の可能性に挑戦したい」そして、若い世代にバトンタッチし市民に伝えていってほしいと語る。次のクルーも無事終了し、崎浜校長もインタビューを受けた。

崎浜校長)
「このカヌー体験は、これまでの総合学習を発展させたもので、カーミージーの海辺から河口を登りシリンカーの上流までを体感するカヌー散策につなげ、子ども達には実際に海から環境の変化を体験を通して見てほしい」と語った。

 

体験後は港川自治会からカーミージで採れた美味しそうなアーサー汁
とおにぎりが振る舞われた
。「海で冷えた体にすこぶる染み入るね~、旨い!」と、先生方は喜んでおにぎりを頬張り、お汁を啜っていた。体も温まり、最後は参加者全員でカーミージー周辺の清掃を行い、カヌー体験研修は幕を閉じた。

 

 

最後はこれからのカーミージーのために、参加者全員で海岸周辺を清掃活動

 

 

里浜づくり活動

港川自治会では、港川小学校・児童生徒らとともに、里浜づくりを通してさまざまな事業を展開して来た。
まちづくりプラン賞への提案以前は、自然観察と潮干狩りやチャリティーコンサート、追い込み漁など多種多様な事業を展開。その後、2006年よりまちづくりプラン里浜づくりが始まり、今回開催された「第1回カヌー体験研修」へと継っている。

港川自治会の主な活動(詳細はこちらからご覧になれます)
2006年(地域の再発見)
みんなで楽しもう!春の海「カーミージで浜下り」
第1回港川小学校4年生総合学習「海浜観察会」 
里浜まつり、春の里浜を遊ぼう 他

2007年(青少年の育成)
里浜に遊ぼう!「第2回港川小学校4年生自然観察会」
カーミージは私たちの宝!「浦添市民里浜フォーラム」
県公民館研究大会「優良自治会賞受賞」 他

2008年(情報の発信)
自治会ホームページ「里浜学習」の制作・運営
港川自治会クリーン作戦・カーミージ観察会
港川小学校4年生総合学習・カーミージ観察会 他

2009年(まちづくりの展開)
港川小学校5年生総合学習・地域散策
港川小学校4年生総合学習・カーミージ観察会
第1回シリンカー・カーミージ探検 他

2010年(協同のまちづくり)
浦添市まちづくり基本構想策定ワークショップ
都市計画マスタープラン策定ワークショップ
CGG運動・カーミージ周辺海岸清掃 他

このように様々な活動は、「自治会」から「学校」へ提案された事業が「港小の子ども達」に伝わり、子どもたちの活動によって浦添に残る素晴らしい自然環境が全国にクローズアップされ「親」たちを動かした。浦添市も国との調整に乗り出し「メディア」を巻き込んで、当初計画されていた西海岸の埋立てを自然環境をできる限り保全する方向に変えていった。同事業は、当初予定されていた埋立て計画を橋を架けるという計画に変貌させてしまった。橋梁という構造を考えてみても、かなり予算の変動があったのではないかと思われるが、そのことも含め「国」の計画をも変えてしまうほどのパワーを生み出したのである。

そのことが全国的に評価されることが起きた!
港川小学校の7年に渡って行なって来た取組みは、総合学習の一環として、戦前の自然がそのまま残る貴重な海岸(カーミージ)の生態系や自然環境の保護・保全活動などの活動が評価され、今年7月に全国174団体の中から「第18回コカ・コーラ環境教育賞(活動表彰部門)で大賞を受賞するという快挙を成した。

今後、港川自治会はカーミージー周辺の自然資源の活用、里浜活動の推進、親水公園の事業化に向けた取組の一環として、里浜体験プログラムの開発や、カーミージ周辺の自然を有形・無形な資源としてプランド化する予定。

港川小学校の生徒達による様々な活動実績を紹介

『港川小学校の生徒達による海洋生物の観察活動(2006年~2011年)実績』
(4年生を中心に総合学習の一環として、浦添市港川に残る自然海岸(カーミージ)などの生態系や自然環境の保護・保全などに取り組む)

第1回港川小学校4年生総合学習「海浜観察会」ー2006
カーミージ探検隊「第2回港川小学校4年生自然観察」ー2007
里浜に遊ぼう!「第3回親子体験追い込み漁」ー2007
里浜に遊ぼう!「第4回親子体験追い込み漁」ー2008
港川小学校4年生総合学習・カーミージ観察会ー2009
港川小学校5年生総合学習・地域散策ー2009
第2回・第3回シリンカー・カーミージ探検ー2010
第1回シリンカー・カーミージカヌー体験(対象:港川小学校教諭約40名)ー2011

 

西海岸道路の計画変更 道路建設から橋梁(きょうりょう)へ

地域を巻き込んだ里浜学習活動により、当初完全埋め立ての道路建設の予定が一部橋梁へと変化した。

約2.5キロで計画している臨港道路浦添線について、同市の西海岸開発検討委員会(委員長・吉村清副市長)は、北側の約900メートルを「水路方式」から環境に負荷の少ない「橋梁(きょうりょう)方式」に変えるよう国に提案することを決めた。環境への配慮のほか、「海浜保全で住民が高架式を望んでいる」ことや「基地返還時に自然海浜を活用した街づくりの可能性を残す」ことも理由のひとつである。建設費の増加が予想されるが、吉村副市長は「今後の要請で国の理解を得たい」と話した。予定地域の海岸は、小学校の総合学習に使われるなど地元で親しまれている場所。知事意見では「臨港道路と自然海岸の閉鎖海域で、環境に変化が生じた場合、回復させることは非常に困難」などとして事実上の計画変更を求めていた。
(琉球新報:2008年5月30日より一部掲載)

 

これまでは、完全に埋立てた敷地に、ボックスカルパートという少し海水路を通した道路建設が計画されていたが、地域住民、学校、自治会、行政の協働で、道路が一部橋梁へ見直された事で、これまでの事業が実を結んだ形となった。

完成イメージ(沖縄総合事務局空港港湾整備事務所より)

その後も、まだ問題点は多数存在していた。橋の着地する場所が交差点へ繋がる為、その土台として大きく埋め立てられる予定となっていた。そこは海洋生物には不可欠な海流の道が存在する。ここを埋め立てた場合、海流の変化によりサンゴに影響を与え、せっかく建設計画の変更で埋立てが橋に変わったとしても、サンゴが生き残れない可能性が高いといわれていた。しかし、子どもたちの切なる訴えが綴られた作文や、里浜活動を支援する地域の方々の努力で、国の技術者らの理解を得ることが出来た。

画像を通してみても潮の流れがよくわかる

埋立て予定地を調査さする国の技術者の方々

当初埋立てが予定されていた部分

大幅に埋立て部分が縮小している

ご覧のように、国の技術者らの素晴らしい技術を持って橋を建設しながら最大限に自然へ配慮した設計を実行していただいたという。

今回カヌー体験を通して見えてきたことは、この素晴らしカーミージー周辺の自然環境を残し、市民の憩いの場となる、親水公園の整備や、住みよい環境づくりを進める上で、私たち市民がさらに関心を持って、西海岸開発のこと知り、公園整備計画推進への実証の活用実績作りへ参加し、実際に体感見分することで、公園化実現への大きな可能性を導き出してくれるのではないだろうか。

「第1回シリンカー・カーミージ、カヌー体験研修」に引き続き、第2弾は、西海岸の工事着工から現在の進行状況や、浦添市に残る素晴らしい自然や、資源などを活かした公園計画について、市と住民との協働の活動、取組(ワークショップ)についての紹介をいたします。
浦添市には、まだまだ皆さんに知って頂きたいことが沢山存在します。素晴らしい公園の整備実現のためにも是非、この記事の続きを読んでいただき、次世代へ浦添市の素晴らしさを伝えていきましょう。

 

【関連記事】
浦添の西海岸開発で思うこと(下地幸夫)
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