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カーミージー周辺の海をみんなで保全・活用するための地域円卓会議(報告)
2017年12月3日(日)浦添市立港川小学校 地域連携室 参加者:約60名
西海岸道路(浦添北道路・臨港道路浦添線)の平成30年3月18日開通を受けて、平成29年12月3日に行われた「西海岸のカーミージー海域の貴重な自然をどう守っていくか」という課題の論点を話し合い地域発のルールづくりを市民と行政が共同で作っていくという全国で初めての取り組みが今注目されております。
「ビジネス・モールうらそえ」ではこの取り組みを市民の皆様にお伝えし、また是非、浦添市内外の方々も参加して頂き、基地によって隠されてきた県内唯一の自然の海が県民の財産としてこれからも残せるようにルール作りの啓蒙に尽力して参ります。
浦添市の西海岸域にあるカーミージー(貴重な自然海域)の里浜を未来に残すための地域発のルールづくり!
「地域円卓会議」は、地域のテーマ(課題)を共有し、みなさんのアイディアとネットワークを持ち寄ることで、地域社会の多様な人々が連携することをめざした対話の場です。
企業、行政、地域、学識、メディアなど、多様な見地を持った6人のメンバーが着席者として情報を提案し、提案された課題の解決をめざして会場のみなさんが議論します。
● 平良斗星(司会、みらいファンド沖縄)
今回は、これまでのカーミージー周辺の海の保全・活用と自然環境の変化についての情報を共有し、多くの人々が快適で持続的に海を保全・活用するために必要なルール作りについて、みなさんから意見をつのり、議論します。
進め方は、まず論点提供者の港川自治会の銘苅会長から今回の論点を提供して頂きます。
そして、提議された論点に対し円卓に座られた様々な立場の参加者として行政の方、学校の方、自治会の方、学識研究者の方、事業者の方、メディア報道の方と6名の皆さんに それぞれの立場からご意見を頂きます。
その後に、会場のみなさんにも参加して頂き3~4名位のグループに分かれてもらい共有した情報を基にもっと深めたい事や、アイディア等の意見を募って行く時間を30分位作ります。
最後に、意見交換をして情報をまとめ、記録して、壁に掲示致します。
これが「最終的な成果」となります。
では、今回の論点提供者である港川自治会長の銘苅さんに論点の説明をして頂きたいと思います。
● 論点提供:銘苅全郎(港川自治会長)
・10年前、里浜フォーラムで里浜宣言を採択した。その3年前から、自治会では里浜活動を行っていた。
・昔のカーミージーは、遊んだり、食べるものを採ったりした所。生活の中で海が使われていた。
現代の暮らしにかなう形で、普段の生活で使える海にしていこうという活動が里浜活動。
◯ 海の体験 → 資源を獲ってしまう追い込み漁から、毎年たくさん生えるアーサの利用へ。
◯ 環境学習 → 港川小学校と連携して、10年以上続けている。
・自治会としては、地域づくりの視点を大事なこととして、海を活かしていく。生き物が減り、獲って食べる活動を自粛。カヌー活動、アーサ採り、自然観察会などの海の利用へ。
・西海岸開発計画は計画が遅れ、小学生のカーミージー探検隊からイノーを残す要請につながり、埋め立て予定が橋になった。国の事業(予算増)に市も対応し、イノーは残していこうということになった。
・里浜条例の目的は、「市民の海」として残していこうということ。
西海岸開発計画が遅れた時の利、基地に隠れてイノーが残った地の利、地域住民・海の専門家・学校の先生・行政担当者など人の利。この3つの利により今のカーミージーの海がある。
● 鹿谷麻夕
(しかたに自然案内、自然ガイド/環境教育)
・沖縄の西海岸は、糸満~那覇~読谷にかけて、自然海岸はほぼ残ってない。
たとえ小さい浜が点々と残っていても、元の自然とは言えない。
これは、海岸に人工構造物ができると周囲の環境も変わるから。
まともな面積(1km × 3km)の自然海岸が残っているのはキンザー沖だけで、都市に隣接して自然海岸が残ってるのは世界的に珍しく、貴重である。
・海草(うみくさ)の藻場があり、その沖にはアーサの生える岩場やサンゴもある。
日本全国、海草藻場はほとんど埋め立てられて無くなったため、海草はみんな準絶滅危惧種。
・水深が浅い海草藻場のイノーは、子供達が歩いて安全に観察しやすく、価値がある。
1 イノーの中ほどに広がる岩礁 |
2 カーミージー沖のサンゴ礁 |
3 岸近くの海草藻場 |
4 西洲のサンゴ礁 |
・里浜(国交省)とは、人が使い手入れして維持される海で、地元のみんなが暮らしで利用する海のこと。
・埋め立て計画が後退して、道路は橋となって海が残ったが、橋が開通すると多くの人の目に触れ、いろんなレジャーが入ってくる。宜野湾マリーナからエンジン付きボートが乗り入れ、同じ所で幼児づれの親子も泳いでいるので、レジャーの住み分けが必要。
クリックすると拡大します |
・生物が激減している中での保全のありかたを考える必要がある(例3年採取禁止とか)。
・自然保護は、実際には、専門家や環境省や行政だけではできない。究極的には、住んでる地元の人しか海の環境変化はわからない。このため、地域発の守る取り組みを続けていく仕組みを作ることで、何十年も保全を続けていけるだろう。
例えば、石垣島の白保には自主ルールがあり、地先のサンゴ礁を守っている。港川ならではのルールや人材を作っていく必要がある。
● 下地節於
(浦添市企画部長、 国や市の政策マネジメント)
・浦添市の里浜条例は、正式には「浦添市里浜の保全及び活用の促進に関する条例」。
12月1日に議案76号を提案し、一般質問を経て審議し、12月20日可決予定。
・理念条例であり、里浜の保全・活用を、行政も市民といっしょに取り組むことを明記してある。
利用ルール作りはこれからスタートし、どう作るか、どんなルールを作るのかは、まだこれからである。
・これまでは上から目線だったが、官と民が一緒に取り組むことは歓迎すべきこと。これからは官と民が一緒になってやっていく流れなので、円卓会議の提案を使って利用ルールを一緒に作り上げたい。
・里浜条例ができることにより、里浜を守るための予算化の根拠ができる。
・埋め立て範囲が小さくなったのは、港川自治会が海を利活用してきた、地域の小さな取り組みが今につながって国を動かした結果。
この条例が動き出したのは、港川自治会による環境学習などの利活用の実践が、大きな後押しとなった。このように、小さくてもやり続けている事実が重要。
● 笹尾修司
(笹尾商工(株)会長、NEOSアウトドアショップ)
・沖縄の人は、海遊びをあまりしないと聞いていた。
自然体験を通して、親子のふれあいや地域活性化を目指している。
・浦添の小5の子供達は、東村のキャンプ場で自然体験を行っている。
浦添には、子供が海の自然に親しめる場がないので、以前は玉城の海に行っていた。
カーミージーは、貴重な地元の海。
・カヌーを操れば、風と波を感じることで自立心が芽生え、子供の豊かな心を育むことにつながる。
また、自然観察やシューノーケリングでは、海の中の体験はその人だけの個人的な体験として残る。
・沖縄の観光は、平和学習から環境学習に視点が移っている。
マングローブのある東村は、カヌーで多くの雇用が生まれた。
浦添市には観光地がないと言われるが、新たなサンエー・パルコ前も含めたイノーでは、カヌー体験の可能性がある。
県外・海外からの観光客の増加や、生物保全の観点から、利用ルールと指導者の育成が必要。
司会)銘苅校長先生はいつ頃から里浜活動に携わったのですか?
校長)
私はもともと港川の地元住民でありまして・・・(笑)。
司会)では、最初の仕掛け人だった訳ですね、大変失礼いたしました。
● 銘苅 健(港川小学校 校長、港川出身)
・地元の人として、自治会長と共に、港川の子供達がカーミージーに接する活動を行ってきた。
今の子供達は、きっかけや仕掛けがないと、足元の魅力に気づきにくい。
・地域の宝物であるカーミージー(教育資源・浦添の宝物)で遊ぶことで、地域に誇りを持つことができ、
外部に発信できる自信を持たせることができる。
子ども達が 将来、港川に戻ってくることを見据えて活動している。
・4年生は、総合的な学習の時間に、
地域の散策(歴史)→ カーミージー探検隊(海の生物・大切さ)→ ごみ(環境教育)→ アーサ(地元の恵み、 食育)と、年間を通して立体的な取り組みを行っている。
・カーミージー探検隊では、事前学習→海でカーミージー探検→事後学習→新聞作り→3年生に向け発表を行い、次年度の後輩たちにつなげている。
この授業は大学生になっても覚えており、県外の大学で、自分の地域の誇りとなっている。
・市の宝物であり、市教育委員会が広く活用することで、市内の小学校も利用できる。
・港川小学校では、全職員がカーミージーでの地域体験学習に参加しており、校区の6自治会に先生がおりていくことで、教師が地域を学ぶ機会を広げている。
● 伊禮由紀子
(沖縄タイムス 記者)
・小さい時は、カーミージーで普通に遊んでいた。
でも、自分の足元の宝に気づかないまま、埋め立て計画の傍観者だった。
自治会の活動がなかったら既になくなっていた海だと思うと、取材しながら反省。
・マスコミとしての里浜条例の意味・価値は、地元による十数年の自発的な活動が、行政・国を動かしたこと。
これは大きなニュースバリュー(価値)があり、社内を説得して一面トップ記事となった。
地域が、要請ではなく、行動で示したことに価値がある。
カーミージーの里浜活動(イラストパネル) |
・カーミージーの里浜活動は、協働のまちづくりの理想のモデルであり、全県へメッセージを発信したい。今後の活動の広がりを期待している。
会場参加者の小グループ意見交換
では、一通り、論点に対して6名の方々の意見を伺いました。
後半は、会場のみなさんも現在の状況を共有できたと思いますが、これから論点「里浜カーミージーを未来に残すための地域発のルールづくり」に対して
どうしたらよいのか小グループに分かれてそれぞれの意見・アイディアを話し合って出して頂きたいと思います。
会場からの意見発表で3グループが代表で紹介された
■ サブセッション(参加者による話し合い)の意見発表 (グループ3つのみ)
美らまち推進課 |
① カーミージーの海は、宜野湾など近隣とは使い勝手が異なる。 宜野湾は若者向け、那覇はバーベキューなど、しかし浦添は自然学習に向いてる。差別化のために、地域の中でのルール作りが必要。
天描画家 大城さん |
② 関係者の中央に共通の目的をもってくると、それぞれの得意技で物事を動かしやすい。保全目的の中心にアーサを置いて、商品開発して、守るための資本とすると、面白い展開になりそう。周知することで興味を持ち、足を運ぶ事で自分ごとになり、共感者が増え、みんなが守る立場になれば、他の地域のいいモデルになる。
伊禮研一(市議) |
③ 昔はタマンがたくさん釣れた。ごみもあったが自然が豊富だった。橋ができれば人が増える。何か手をうっておかなければ、ごみが捨てられ、バーベキューで汚されるだろう。例えば、利用料金をとる、ごみを拾ってくれば入場料になるなど、海を守るためにみんなでアイデアを出し合っていきたい。
会場からの意見・アイディアをもとに考える
◎セッション2 港川の海から、みんなの海へ (着席者による、今後考えるべきこと)
鹿谷麻夕さん |
・スケジュールとしては、2018年4月に道路開通。年度内にルールを一度文章化して、発信する。
そのために、ルールを見直して行く仕組みと、作業メンバーを決める。一度は環境調査を行う。
・保全のためには、モニタリング(継続的な環境調査)が必要。日々の観察の中で見えてくる事の重要性の認識。日々、海を使っている人の感覚が重要であるし、専門家による環境調査も必要。
銘苅全朗さん |
・市民がだれでも自由に使う海として、保全との兼ね合いを検討。現状では、使った後のごみの問題。
経済価値を見出していく例としてアーサを活用し、自然を使った経済振興は埋め立てより有効だ!!という認識を広める。同時に、利用ルールの発信。
・リゾートホテルができるので、観光との両立を考える。
下地節於さん |
・海浜公園のカーミージーへのルート確保は、ホテルと調整中。公園管理は指定管理者制度の活用などがある。拠点施設への市民の参加を促す方法。
・里浜はただの保全区ではない。使いたいならどんな使い方をしたいか、まずは意見を出す。使い続けるには、エリアを分けたり人数制限などが必要。
笹尾修司さん |
・50年後も持続的に使っていくには、ルールを地域で作るのが基本。県のカヌー業者は、事故防止のため県への申請が必要で、講習会や検定会がある。
銘苅健さん |
橋が開通すると、これから多くの人々がカーミージーの自然に触れるわけですが、観光やレジャーで訪れた人々の後には必ず忘れ物が残ります。ゴミ処理ルールと、活用の仕方のルールが一体となって作られることが重要。
伊禮由紀子さん |
自然環境を使った経済振興が出来れば全国的な良いモデルになれると思う。
今回の論点の整理とまとめ
司会 平良星斗さん |
・様々な専門家が寄り添うことの重要性を認識した。先進事例が少ないので、利用による海の変化をモニタリングにより評価し、自らを変えていける対応力の高いルールづくりが大事。自然活用で価値が発生する例は沖縄では少ないので、今日の参加者の持続的な参加が必要。
今回の論点に対する円卓会議の成果発表
宮道氏による論点にたいする意見内容を振り返り、重要キーワードを解説し、まとめた説明が行われた。カーミージー周辺の海をみんなで保全・活用するための多くの大切なポイントがハッキリしてきた。これから行うべきルールづくりに必要な事柄が色々と分かってきた。
どうしたら良いのか?不安だけの状況が解決へ向けた答えを作る多くの材料を得ることができた。今回、円卓会議の中で大きな収穫と成果がもたらされたと言える。
さて、これから、浮上してきたこれらのルール作りに必要な要素を、更に話し合い 実際にルールの素案作りを行うワーキングチームのメンバーを募り、作業をして行くことになった。会場でワーキングチームに参加したい方々を募った。平成30年1月14日09:00~13:00にリサイクルプラザにてルール作りが行われる事が決まった。
次回の報告記事は、1月14日に実際行われた素案ルール作りの内容をお伝えいたします。
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